グリーンビルディング認証|LEED・WELL・CASBEE

グリーンビルディング認証 | Forest Eight

オフィスビルの広告で「LEED Gold認証」「WELL認証取得」といった言葉を見かけたことはありませんか。これらはグリーンビルディング認証と呼ばれ、建物の環境性能や快適さを第三者が評価する仕組みです。世界では米国発のLEEDが累計約20万件、英国のBREEAMが約60万件、健康に特化したWELLが約7万件、そして日本独自のCASBEEが約1.6万件規模で運用されています。この記事では、特に日本でよく使われるLEED・WELL・CASBEEの3つを比べ、木材がどう評価されるのかを見ていきます。

目次

3つの認証は「測るものさし」が違う

同じ「グリーン認証」でも、何を測るかが三者三様です。ざっくり言うと、LEEDは省エネや建材といった環境性能、WELLはそこで働く人の健康・快適さ、CASBEEは環境品質と環境負荷のバランスを評価します。

3大認証の評価軸比較 LEED・WELL・CASBEEの主要カテゴリと評価方式の比較 3大認証の評価軸比較 LEED 米国USGBC・1998年 ①敷地 ②水効率 ③エネルギー・大気 ④材料・資源 ⑤室内環境 ⑥イノベーション 最大110点 4ランク Cert/Silver Gold/Platinum WELL 米国IWBI・2014年 ①Air ②Water ③Nourishment ④Light ⑤Movement ⑥Thermal ⑦Sound ⑧Materials ⑨Mind ⑩Community 10カテゴリ 4ランク Bronze/Silver Gold/Platinum CASBEE 日本IBEC・2001年 Q:環境品質  Q1 室内環境  Q2 サービス性能  Q3 室外環境 L:環境負荷  L1-L3各分野 BEE=Q/L 5ランク C/B-/B+/A/S LEEDは環境性能、WELLは健康、CASBEEは環境品質と負荷の比。木材利用は3認証すべてで加点。
図1:3大認証の評価軸比較(出典:USGBC LEED v4.1、IWBI WELL v2、IBEC CASBEE 2014年改訂版)

3つは競合というより補完関係にあり、グローバル企業の本社ビルではLEEDとWELLをダブルで取得することも珍しくありません。日本では、東京都や横浜市などが一定規模以上の建物にCASBEEに基づく環境計画書の提出を義務づけているため、CASBEEが事実上の標準。LEEDやWELLは外資系企業や大手デベロッパーが差別化のために取る、という棲み分けになっています。

LEED:環境性能の世界標準

LEEDは1998年に米国で生まれ、いまや190カ国以上・約20万件に普及した最大手です。省エネ、節水、建材、室内環境など8カテゴリ・最大110点で採点し、40点以上でCertified、60点でGold、80点でPlatinumとなります。配点を見ると、やはりエネルギー・大気が33点と最も重く、省エネ性能が認証ランクを大きく左右することがわかります。

LEED v4.1カテゴリ 配点 主な評価項目
Energy & Atmosphere 33点 省エネ・再エネ・冷媒
Indoor Env. Quality 16点 換気・低VOC・自然光
Location & Transport 16点 交通アクセス・自転車
Materials & Resources 13点 FSC材・リサイクル・建材LCA
Water Efficiency 11点 節水器具・雨水利用
その他(敷地・革新・地域) 21点 ヒートアイランド対策ほか

木材が効くのは主にMaterials & Resourcesです。FSCなどの認証材を建材総額の25%以上使うと1点、50%以上で2点、さらに現場から800km以内の地域材も別途加点され、合わせて最大4点ほど狙えます。ただ日本のFSC認証森林は約42万ha(全森林の1.7%)と少なく、国産材で点を取ろうとすると認証材の調達がネックになりがちです。SGEC認証(約212万ha)も加点対象になります。

CASBEE:日本流の「品質÷負荷」

CASBEEは少し独特です。建物の環境品質Q(室内環境・サービス性能・室外環境)を、環境負荷L(エネルギー・資源など)で割った値「BEE=Q/L」で評価します。同じ快適さでも、より少ない負荷で実現したほうが高評価になる仕組みです。BEEが3.0以上ならSランク、というように5段階で格付けされます。

CASBEEのBEE評価方式 環境品質Qと環境負荷Lの比でランク分類 CASBEE BEE評価方式(環境品質Q÷環境負荷L) Q高 Q低 L小 L大 S BEE≧3.0 A BEE≧1.5 B+ BEE≧1.0 B- C Q(室内環境・サービス・室外環境)÷L(エネルギー・資源・敷地外環境)でBEE算出。
図2:CASBEEのBEE評価方式(出典:IBEC「CASBEE建築(新築)2014年改訂版」)

自治体の制度と結びついているため、CASBEEの累計取得件数は約1.6万件と、日本のLEED(約500件)の30倍以上。木造住宅専用のツールもあり、地域材利用やZEH対応が評価されるなど、林野庁の地域材促進策とも噛み合っています。木材は環境品質Qの「自然素材」と環境負荷Lの「再生可能資源」の両方で点が入ります。

市場の追い風とESGマネー

こうした認証が一気に広まった背景には、ESG投資の拡大があります。グリーンビルディングの世界市場は2022年の約4,300億ドルから、2030年には8,500億ドルへとほぼ倍増する見通しです。

グリーンビルディング世界市場予測 2010年から2030年までの市場規模推移 グリーンビルディング世界市場規模(億ドル) 9000 6000 4000 2000 0 2010 2015 2020 2025 2030 800 1,500 2,800 4,300 6,200 8,500 2010-2030の20年で10倍超に拡大予測。日本市場も2030年に5兆円超見込み。
図3:グリーンビルディング世界市場予測(出典:World Green Building Council、Dodge Construction Network 2023年)

不動産ファンドのESG評価「GRESB」では、保有物件の認証取得率がスコアを左右します。日本のJ-REITの認証物件比率は2018年の約20%から2024年には60〜70%へ急上昇しました。実際、認証物件は賃料が5〜15%上乗せされ、稼働率も上がるという調査が複数あります。初期コストは建物総工費の1〜3%増えますが、運用エネルギーが2〜3割減り、5〜10年で回収できる計算です。木造化はその差別化要素として、3認証すべてで加点に効いてきます。

よくある質問

LEED・WELL・CASBEEはどう使い分けるの?

グローバル展開する企業はLEED+WELLの併用、国内中心の物件はCASBEE、最高水準を狙う物件は3つ併用、というのが一般的なパターンです。3つとも木材利用が加点対象になる点は共通しています。

認証取得にいくらかかるの?

登録料・評価料・コンサル費などを合わせ、1棟あたり延床1万m²規模でLEEDが2,000〜4,000万円、WELLが1,500〜3,500万円、CASBEEは300〜800万円が目安です。建物総工費の1〜3%にあたり、賃料アップや省エネで5〜10年で回収できる水準とされています。

日本の取得件数は海外と比べてどう?

CASBEEは約1.6万件と国内標準ですが、LEEDとWELLは各約500件で、米国・中国・欧州主要国に比べるとまだ少数派です。ただ近年の伸びは年20〜30%と急成長しており、2030年には新築オフィスの認証取得比率が5割を超えるとの予測もあります。

出典・参考:USGBC(LEED)IWBI(WELL)IBEC(CASBEE)World Green Building CouncilGRESB

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この記事を書いた人

ハウスメーカーで住宅の構造を担当したのち、林業の世界へ。林業・木材・建築の3領域を横断する視点で、Forest Eight の記事を編集しています。

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