結論先出し
- 生物多様性と炭素貯留の関係:樹種多様性が高い森林ほど、生産性・炭素蓄積量が高い(多様性-生産性仮説)。Liang et al. (2016) の世界規模解析(44カ国・777,126プロット)で実証。樹種数が倍増すると生産性は26-66%増、炭素貯留は20-50%増。
- メカニズム:ニッチ補完・促進効果・サンプリング効果・病害虫リスク分散。異なる樹種が異なる資源を利用し、互いの生育を助け(窒素固定樹種等)、被害分散と土壌微生物多様化で生態系機能を最大化する。
- 政策含意:単純林より混交林が炭素・生物多様性両方で有利。日本のスギ・ヒノキ単純人工林1,009万ha(人工林の73%)の混交化、CBD/30 by 30目標、TNFD開示、生物多様性クレジットが気候変動対策と生物多様性保全の統合解。
生物多様性は、長らく自然の本質的価値・倫理的価値で議論されてきました。しかし近年、生物多様性が森林の生産性・炭素貯留と直結することが科学的に明らかになっています。Liang et al. (2016) の Science 論文を契機に、「生物多様性こそ気候変動対策の鍵」という新たな視点が広まり、CBD(生物多様性条約)/UNFCCC(気候変動枠組条約)の統合的議論、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)、30 by 30 目標といった国際枠組みへ波及しました。本稿では研究知見、メカニズム、世界・日本の状況、林業実務、ESG財務、海外比較、機械学習活用、FAQまで詳述します。数値ファーストを旨とし、t-C/ha・種数・レッドリスト種数を可能な限り明示します。
1. Liang 2016 Science 論文の射程
Liang et al. (2016) の Science 論文「Positive biodiversity-productivity relationship predominant in global forests」(DOI: 10.1126/science.aaf8957)は、世界の森林における生物多様性と生産性の関係を、史上最大規模で解析した記念碑的研究です。著者は世界90機関・93名の研究者からなる Global Forest Biodiversity Initiative(GFBI)。観測ネットワークの統合により、単一国・単一バイオームでは到達できない汎世界的結論を導きました。
研究設計:
- 44カ国、777,126森林調査プロット(地球陸地の主要森林タイプを網羅)
- 北方林(boreal)/温帯林(temperate)/亜熱帯林(subtropical)/熱帯林(tropical)/地中海性森林(mediterranean)の5バイオーム
- 各プロットの樹種多様性(α多様性:種数・Shannon指数・Simpson指数)と純一次生産性(NPP, t-C/ha/yr)を計測
- 共変量:気候(年平均気温・年降水量)、土壌(pH・有機物)、林齢、林分密度
- 統計手法:階層線形混合モデル、空間自己相関補正、内生性対処(IV法)
主要結論:
- 樹種多様性は生産性と正の相関を示す(5バイオーム全てで統計的に頑健)
- 樹種数が倍増すると、生産性は26-66%増加(バイオーム平均で約36%)
- 北方林で効果が最大(多様性低下時の生産性損失が大きい)、熱帯林でも同方向
- 生物多様性10%減少につき、世界森林の生産性は2-3%減少と試算
- 世界全体で年間166-490億USドル相当の生産性損失リスク(2016年時点)
- 炭素貯留に換算すると、年間1.4-3.0 Gt-CO2eq.相当の隠れた気候影響
この発見は、長らく仮説段階だった「多様性-生産性関係」を、世界規模の実証データで決定的に確認した点で画期的でした。生物多様性の保全は気候変動対策と不可分という新しいパラダイムの科学的基礎です。Liang 2016以降、 Nature, Nature Climate Change, PNAS 等で同様の正の関係を確認する論文が相次ぎました。
2. メカニズム──なぜ多様性が生産性を高めるのか
多様性-生産性関係(Biodiversity-Ecosystem Functioning, BEF)の理論メカニズムは6つに整理できます。
(1) ニッチ補完(niche complementarity):異なる樹種は異なる資源(光・水・栄養・空間)を異なる方法で利用する。樹種が多様だと、生態系全体での資源利用効率が高まる。例:浅根樹(カエデ類)と深根樹(ナラ類)、陽樹(アカマツ)と陰樹(ブナ)、早期成長種(ヤナギ)と長寿種(ケヤキ)等の組合せ。林冠成層化により光資源を50-80%余分に利用可能。
(2) 促進効果(facilitation):ある樹種が他樹種の生育を助ける正の相互作用。例:マメ科樹(ハンノキ・ヤシャブシ・アカシア類)が窒素固定で土壌を富化、共生樹種の成長を15-30%促進。Mori et al. (2017, Biological Reviews) は冷温帯林で正の促進効果を統計的に確認。
(3) サンプリング効果(sampling/selection effect):多様な森林では、その立地に最適な樹種が含まれる確率が高い。多種混植は「賭けの分散」として、未知の環境変動への保険効果を持つ。
(4) 病害虫リスク分散:単一樹種は同一病害虫の被害を受けやすい(モノカルチャー脆弱性)。マツ材線虫病、ナラ枯れ、サクラてんぐ巣病等は宿主特異的。多樹種混交林ではリスクが分散され、森林衰退率が30-50%低下する事例が報告されています。
(5) 微気象創出:多様な樹冠構造は林内の微気象(湿度・温度・光・風)を多様化し、各樹種の生育を支援。極端な乾燥・高温時の生存率が単純林比1.5-2.0倍。
(6) 土壌微生物群集:多様な樹種は多様な菌根菌(外生菌根菌、アーバスキュラー菌根菌)・土壌微生物を支え、養分循環・耐病性・炭素隔離を強化。土壌微生物バイオマスが混交林で20-40%多いという研究が複数。
3. 樹種多様性と森林炭素貯留の量的関係
Liang 2016が生産性(フロー)に焦点を当てたのに対し、ストック量(炭素貯留量, t-C/ha)に着目した研究も蓄積しています。
- Mori et al. (2017, Biological Reviews):多様性-炭素貯留関係を世界の長期観測林から再分析。樹種数が10%増えると地上部炭素貯留が4-6%増。
- Huang et al. (2018, Science):中国の大規模人工混植実験(BEF-China, 2009-2018)で、6樹種混植は単一樹種比で地上部バイオマス2倍を達成。
- Zhang et al. (2019, Nature Communications):欧州23カ国メタ解析。混交林の地上部炭素 +35%、土壌炭素 +24%。
- Madrigal-González et al. (2023):欧州ブナ-モミ-トウヒ混交林、純粋林比で炭素 +28%。
典型的な数値レンジ(地上部+地下部+土壌、t-C/ha):
- 北方林(針葉樹単純林):80〜140 t-C/ha
- 温帯混交林:150〜260 t-C/ha
- 熱帯多種林:200〜400 t-C/ha(アマゾン中央部で最大値)
- 日本スギ単純人工林(50年生):120〜180 t-C/ha
- 日本広葉樹天然林:180〜280 t-C/ha
同一気候帯でも混交林が単純林を上回る傾向が頑健に確認されます。同じ土地から、より多くの炭素貯留と生物多様性を同時に得られるのが多種混植の核心的価値です。
4. 生物多様性の現状──レッドリストと国家戦略
森林の樹木自体も絶滅危惧種化が進行しています。
- IUCN Red List of Threatened Trees (2021):世界の樹木58,497種のうち、17,510種(30%)が絶滅危惧種。
- 環境省レッドリスト2020:日本の維管束植物約7,000種のうち、絶滅危惧種1,790種(25%)。樹木では約350種が絶滅危惧。
- 日本の森林依存種:哺乳類90種・鳥類270種・昆虫類7万種以上が森林を主たる生息域とする。森林劣化はこれら全てへ波及。
- 第6次大量絶滅:現在の絶滅速度は自然背景値の100-1,000倍(IPBES 2019)。森林伐採・分断化が主因の一つ。
生物多様性国家戦略2023-2030(環境省)では、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」を旗印に、2030年までに損失を反転させる目標を掲げます。森林分野では、混交林化、保護林ネットワーク、OECM登録、希少種生息地保全が柱。
5. 国際枠組み──CBD・IPBES・UNFCCC・30 by 30
生物多様性と炭素は、別々に議論されてきた国際枠組みが融合する局面にあります。
CBD(生物多様性条約, 1992):197カ国締約。2022年COP15で「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」採択。23のグローバル目標を掲げ、最重要が「2030年までに陸海の30%を保護地域・OECMで保全(30 by 30)」。
OECM(Other Effective area-based Conservation Measures):保護地域以外で生物多様性保全に貢献する地域。日本では「自然共生サイト」として2023年から登録開始、2025年時点で約290サイト・10万ha超が登録。社寺林、里山、企業林、私有林も対象。
IPBES(生物多様性版IPCC):政策決定者向け科学評価。2019年「地球規模アセスメント」で100万種絶滅警告。2024年「Nexus Assessment」で生物多様性・気候・水・食料の連関統合を提言。
UNFCCC/IPCC:気候変動枠組条約。AR6(2021-22)で初めて生物多様性章を独立配置、Nature-based Solutions(NbS)を気候緩和の柱に位置付け。
SDGs:SDG13(気候)、SDG15(陸の豊かさ)の同時達成は混交林化が中核解。
6. TNFD──自然関連財務情報開示の波及
TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)は、気候のTCFDに続き、企業の自然依存・自然影響を財務情報として開示する国際枠組。2023年9月にv1.0最終提言を公表。
- 4本柱(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標目標)はTCFDと整合
- 自然リスク評価ツール「LEAP」(Locate-Evaluate-Assess-Prepare)で森林・流域・生物多様性ホットスポットとの関係を分析
- 2024年1月時点で世界320社以上がEarly Adopterとして賛同、日本企業も80社超が参画
- 金融庁・東証も2025年以降の段階的義務化を視野に検討
森林を所有・利用する企業(製紙・建材・食品・アパレル等)にとって、混交林化・FSC認証・希少種保全はTNFD開示の重要指標。「自然資本会計」と「生物多様性ポジティブ」が経営の主流テーマに浮上しています。
7. 林業実務──混交林化・長伐期化のロードマップ
政策と科学が示す方向は明確でも、実務上の混交林化は技術・経済・所有制約が伴います。
(1) 混交林化の3経路
- 強度間伐+天然更新:単純林を30-50%間伐し、林床に下種更新。コスト中、樹種選定リスク高。
- 群状択伐+補植:0.1-0.5haの群状伐採で異齢混交林を造成。コスト高、生態系一致性高。
- 段階的樹種転換:5-10年単位で局所伐採-補植を反復し、50-100年で混交林化。長期計画必須。
(2) 長伐期化(Long Rotation Forestry):従来の40-50年伐期を80-120年へ延伸。立木材積成長は鈍化するが、大径材生産で単価3-5倍、炭素貯留量2倍、生物多様性回復が同時達成。林野庁「長伐期施業」推進、2024年時点で全国約20万haで実装中。
(3) 推奨樹種組合せ(地域別例)
- 東北:スギ・ブナ・ミズナラ・カラマツ・ヤマザクラ
- 関東:スギ・ヒノキ・コナラ・ケヤキ・ヤマザクラ
- 九州:スギ・クスノキ・タブノキ・コジイ・ヤマザクラ
- 北海道:トドマツ・エゾマツ・ミズナラ・ハンノキ・シラカンバ
(4) 経済性の確保:混交林化の初期コストは単純林造林比1.3-1.8倍。J-クレジット(森林由来)、生物多様性クレジット、FSC・PEFC認証材プレミアム、補助金(森林環境譲与税、林野庁補助)の組合せで回収する設計が必要。
8. 海外比較──北欧・ニュージーランドの示唆
北欧(フィンランド・スウェーデン):森林面積率68-75%、人工林ながら自然力活用型。スウェーデンでは2010年以降「Continuous Cover Forestry(連続被覆林業)」が拡大、皆伐放棄。混交林比率は40%超え、針広混交林が主流。FSC認証率80%超。
ニュージーランド:人工林の約90%がラジアータマツ単一樹種だったが、Forestry Action Plan 2022で多様化を国家方針化。先住民Māoriの伝統知(mātauranga Māori)を統合、Tāne Mahuta(森の神)思想に基づく多種混交林への転換。
ドイツ:2018-2020年の極端干ばつでトウヒ単純林の大規模枯死を経験、「森の改造(Waldumbau)」を国策化。年間2万ha超を混交林化、ブナ・ナラを核に再構築。
カナダ:北方林管理で多様性指標を成果指標に統合。先住民First Nationsとの共同管理(IPCAs)が拡大。
共通項は「単純林の脆弱性を経験した後に多様化へ転換」。日本も2018年北海道風倒・2019年マツ材線虫被害拡大・2024年スギ大量枯損等の経験を経て、政策転換期にあります。
9. 機械学習×衛星画像で生物多様性を推定する
森林生物多様性のモニタリングは従来、現地踏査に依存し、空間解像度・時間頻度に限界がありました。近年、衛星リモセン×AIで広域・高頻度の樹種多様性推定が可能になっています。
- Sentinel-2 MSI(解像度10-20m, 5日周期)の多時期画像から、フェノロジー差を学習し優占樹種マップを作成。日本全土で精度70-85%
- GEDI(Global Ecosystem Dynamics Investigation, NASA):宇宙ライダーで樹冠高・林冠構造を25m解像度で計測。森林炭素・生物多様性同時推定に活用
- 機械学習モデル:Random Forest, XGBoost, U-Net等の畳み込みCNNで、種数・Shannon指数を推定。R²=0.6〜0.8
- 音響モニタリング:森林録音を機械学習で鳥類・昆虫種同定。BirdNET等のオープンモデルで自動化
- 環境DNA(eDNA):水・土壌・空気から生物DNA回収、メタゲノム解析で生物相把握。森林流域でのモニタリングが急拡大
環境省・林野庁・国環研が「生物多様性モニタリングDXプラットフォーム」を整備中(2025-2030年)。OECM評価・TNFD開示の客観データ基盤になります。
10. 民間企業の取り組みとカーボン×生物多様性クレジット
森林由来カーボンクレジットに加え、生物多様性クレジット(Biodiversity Credits)市場が立ち上がりつつあります。
- サントリーホールディングス:天然水の森(全国22カ所、約1.2万ha)で混交林化・水源涵養・希少種保全を推進、TNFD開示先行
- 住友林業:自社山林47万ha(うち国内約4.8万ha)で長伐期混交林、J-クレジット・FSC認証を統合運用
- アサヒグループ:「アサヒの森」(広島県、約2,165ha)で混交林化、サプライチェーン・ネイチャーポジティブ目標
- 三井物産:森林事業(国内・海外44万ha)で生物多様性クレジット試行
- イオン:国内外で植樹活動1,200万本超、生物多様性アクション認定
カーボンクレジットと生物多様性クレジットの統合:英Plan VivoのPV Naturaや豪国Nature Repair Marketは「炭素+生物多様性」のバンドル取引を制度化。日本でもJ-Bio(試案)が検討中。1ヘクタールから2種類の価値(炭素 t-CO2と生物多様性ユニット)を同時販売するビジネスモデルが2026-2030年に本格化する見込みです。
11. FAQ:よくある質問(10問)
Q1. なぜ単純林が広く採用されてきた?
A. 短期的な生産性・管理効率・出材均一性・機械化適合の点で、単純林は経済的に有利と長らく考えられました。Liang 2016以降、長期的・総合的にはむしろ混交林が優位という認識が広まり、北欧・独・NZ・日本で政策転換が進んでいます。
Q2. 日本のスギ・ヒノキ林を全部混交化できる?
A. 完全な混交化は短期的に困難です。スギ・ヒノキ人工林1,009万ha(人工林の73%)の段階的混交化(強度間伐・天然更新誘導・群状択伐・部分補植)が現実的アプローチで、50-100年スパンで進める長期戦略となります。林野庁は2050年に向けた長期構造改革を提示しています。
Q3. 何種混植すれば良い?
A. Liang 2016では2種から効果が現れ、種数とともに増加。生産性・炭素では10-20種、生物多様性では30種以上で十分な効果。地域生態系・経営目標で決定。BEF-China(中国大規模実験)では16樹種混植が最適という結果。
Q4. 混交林は管理が大変?
A. 単純林より複雑ですが、現代の機械化・GPS・ドローン・LiDAR等で対応可能。長期的に複数収穫・分散リスク・大径材高単価・補助金・クレジット収入の利点が管理コスト増(1.3-1.8倍)を補います。
Q5. 気候変動下で多様性は本当に有利?
A. はい。Liang 2016以降の研究で、気候変動耐性も多様性が高い森林が優れることが示されています。乾燥・温暖化・病害虫・極端気象等の複合ストレスへの分散効果。ドイツ・トウヒ大量枯損(2018-20)、北海道風倒(2018)等の実例が証明しました。
Q6. 生物多様性クレジットとは?
A. 1ヘクタールあたり一定の生物多様性向上を取引可能なクレジット化したもの。英・豪・コロンビア等で先行。日本でもJ-Bio構想が進行中、TNFD開示と連動する見込み。1ユニット数千-数万円で取引される試算。
Q7. OECMと自然共生サイトの違いは?
A. OECMは国際枠組(CBD GBF)の概念、自然共生サイトは日本での運用名称です。社寺林・企業林・里山・私有林も登録可能で、保護地域(国立公園・保安林)と並ぶ30 by 30達成手段。2025年時点で約290サイト10万ha超が登録済み。
Q8. 個人の山林所有者でも参加できる?
A. はい。自然共生サイトは規模制限がなく、数haから登録可能。森林経営計画・施業計画と整合的に作成すれば、J-クレジット併用、生物多様性クレジット、TNFD開示企業との取引機会が広がります。フォレストエイトは個人所有者の登録支援を事業化しています。
Q9. 機械学習の精度は実用レベル?
A. 樹種優占マップで70-85%、種多様性指数推定でR²=0.6-0.8。広域モニタリングには十分実用的で、現地調査と組み合わせることで補完的に運用できます。Sentinel-2・GEDI・eDNA・音響AIの統合で2030年までに精度がさらに向上見込み。
Q10. TNFDは森林所有者にどう影響する?
A. 大企業(製紙・建材・食品・アパレル等)が森林サプライチェーンの自然影響を開示するため、認証材・混交林・希少種保全を実施する所有者に「自然資本パートナー」として需要が高まります。価格プレミアム、長期契約、共同事業の機会が拡大します。
12. 数値で読む生物多様性×炭素
議論を量的に締めくくるため、本稿で登場した主要数値をまとめます。
- 世界森林の樹種数:約60,065種(IUCN 2021)。うち絶滅危惧30%(17,510種)
- Liang 2016:44カ国、777,126プロット、5バイオーム横断
- 樹種倍増による生産性増:26-66%(バイオーム平均36%)
- 樹種倍増による炭素貯留増:20-50%(混交林vs単純林)
- 日本のスギ・ヒノキ単純人工林:1,009万ha(人工林の73%)
- 日本広葉樹天然林炭素貯留:180-280 t-C/ha(針葉樹単純林比+30-50%)
- 長伐期化(80-120年)による大径材単価:3-5倍、炭素貯留:2倍
- 混交林の病害虫被害:単純林比 -30〜-50%
- 30 by 30目標:陸海30%を保護地域・OECMで保全(2030年)
- 日本の自然共生サイト:約290サイト10万ha超(2025年時点)
- TNFD早期賛同企業:世界320社超、日本80社超(2024年1月)
- 衛星×AI樹種マップ精度:70-85%(Sentinel-2活用)
- 国内主要企業所有森林(一例):住友林業4.8万ha、サントリー1.2万ha、アサヒ2,165ha、三井物産44万ha(国内+海外)
これらは独立した数値ではなく、「生物多様性 × 炭素貯留 × 経済価値 × 国際枠組み」が一体化したシステムとして理解すべきものです。1つのレバーを動かすと他が連動します。混交林化(生物多様性↑)が炭素貯留↑、TNFD評価↑、生物多様性クレジット販売↑、長期収益↑へ波及する構造です。逆に単純林・短伐期は、短期収益最大化の代わりに、気候耐性↓、保険コスト↑、TNFDマイナス評価↑というリスクの蓄積です。
13. まとめと展望
Liang 2016を起点に、生物多様性と炭素貯留は不可分の科学的事実として確立しました。単純林より混交林、短伐期より長伐期、経済単一価値より自然資本多価値──この三つの転換が、2026-2050年の日本の森林政策・林業経営・所有者戦略の中心軸となります。CBD/UNFCCC統合、30 by 30、TNFD、生物多様性クレジットの国際潮流に乗ることで、所有者は気候変動対応・生物多様性保全・経済価値創出を同時達成できます。「同じ森林から、より多くの価値を」──多様性という自然の原理を活かす森林経営が、これからの主流となります。
- Liang et al. 2016 Science 354:aaf8957
- Mori et al. 2017 Biological Reviews
- Huang et al. 2018 Science (BEF-China)
- CBD Kunming-Montreal Framework
- TNFD v1.0
- IPBES Global Assessment 2019
- 環境省 生物多様性国家戦略2023-2030
- 林野庁 森林・林業基本計画
- IUCN Red List
- FSC

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