木造建築の構造材は、製材品の品質保証区分(JAS材、無等級材)と、加工形態(無垢材、集成材、合板、LVL、CLT、I-Joist)の2軸で整理されます。さらに2025年4月施行の建築基準法改正で「四号特例」が大幅縮小されたことで、これまで構造計算や品質管理が簡略化されてきた小規模住宅でも、構造材選定の重要性が一段上がりました。本稿ではJAS構造材6種類(製材・集成材・合板・LVL・CLT・I-Joist)とJAS規格番号111/234/237/3079等、機械等級E50〜E150、含水率D15/D20/D25、4号特例縮小の影響、設計実務上の選定基準を数値で整理します。
クイックサマリー
- JAS構造材は製材(JAS 1083)・集成材(JAS 234)・構造用合板(JAS 233)・単板積層材LVL(JAS 237)・直交集成板CLT(JAS 3079)・I型ジョイスト(JAS 3079系)の6カテゴリで、それぞれ規格番号・基準強度・含水率管理が定義されている。
- 機械等級区分はE50・E70・E90・E110・E130・E150の6段階で、ヤング係数(GPa)と基準強度を非破壊測定で1本ごとに測定。スギは概ねE50〜E90、ヒノキはE70〜E110、ベイマツはE90〜E130、カラマツはE70〜E110が主流レンジ。
- 含水率はD15(仕上げ材級)・D20(構造材標準)・D25(許容上限)の3区分で、住宅構造材ではD15またはD20が要求水準。未乾燥(GRN)材は構造的に不可。
- 2025年4月から建築基準法の四号特例が大幅縮小され、これまで構造審査が省略されていた木造2階建・延床面積200m²超等の住宅で、構造関係規定の審査が義務化。JAS構造材の機械等級表示が設計根拠として直接使えるため、JAS材シェア拡大の推進力となる。
- JAS構造材の流通シェアは無等級材に対してまだ低く(製材品全体の概ね20〜30%)、四号特例縮小と構造計算の一般化を受けて、設計上の根拠材料として今後シェア拡大が見込まれる。
- 農林水産省 日本農林規格(JAS):https://www.maff.go.jp/j/jas/
- 林野庁 木材産業課:https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/
- 日本住宅・木材技術センター:https://www.howtec.or.jp/
- 日本CLT協会:https://clta.jp/
JAS制度の枠組み
JAS(Japanese Agricultural Standards、日本農林規格)は農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)に基づき、農林水産大臣が定める品質規格制度です。木材分野では1947年に製材JAS規格が制定され、その後合板(1950年代)、集成材(1960年代)、LVL(1980年代)、CLT(2013年)と対象が拡大してきました。各規格は5年ごとに見直され、最新の構造設計理論・市場ニーズを反映した改正が行われます。
JAS認定を受けるには、農水省に登録された認証機関(FIPC、HOWTEC、JAS協会等)の工場審査を経て、各製品ロットの品質試験データを記録・保管する必要があります。認定工場は2024年時点で製材JASが約450工場、集成材JASが約60工場、構造用合板JASが約30工場、CLT JASが7工場、LVL JASが約15工場と、規格ごとに認定工場数に大きな差があります。製材JASは流通量に対して認定工場が少なく、地域差も大きいことが、JAS材シェアの低さの一因です。
JAS規格番号の体系
主要な構造材JAS規格番号を整理すると以下の通り。「JAS 1083」「JAS 234」のように番号で参照され、設計図書・特記仕様書ではこの番号で品質要求を記載します。
- JAS 1083 構造用製材:機械等級区分・目視等級区分・たて継ぎ製材を規定。針葉樹構造用製材の基本規格
- JAS 234 集成材:構造用集成材・造作用集成材を規定。同一等級構成・対称異等級構成・特定対称異等級構成等の構成区分あり
- JAS 233 構造用合板:1類・2類・特類の使用環境区分、強度等級1級・2級を規定
- JAS 237 単板積層材(LVL):構造用LVL・造作用LVLを規定。曲げヤング係数で90E〜180Eの等級表示
- JAS 3079 直交集成板(CLT):層構成(3〜9層)、ラミナ構成、強度等級S60〜S125を規定
- JAS 600 木質I型ジョイスト:フランジ材(LVL/構造用製材)とウェブ材(OSB/構造用合板)を規定
JAS材を使う実務的メリット
JAS材を使う設計上のメリットは4つあります。第1に、機械等級表示値(E70・E90等)が建築基準法施行令第89条の基準強度表に直接結びつき、構造計算でそのまま使えること。第2に、含水率がD15/D20/D25で管理されるため、施工後の乾燥収縮による狂い・割れ・ねじれが大幅に抑制されること。第3に、寸法精度が±許容差で規定され、プレカット工場での加工精度が安定すること。第4に、JAS認証ラベルの貼付により、現場・施主・行政への品質説明責任が果たしやすくなること。とくに四号特例縮小後は、設計図書に「JAS 1083 機械等級E90 D20」のように品質要求を明記する運用が標準化しつつあります。
- 農林水産省 JAS規格一覧:https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/
構造材の分類体系
無垢材(JAS 1083 構造用製材)
立木から製材した1本ものの材で、芯持ち材(柱用、樹心を含む)、芯去り材(梁・桁用、樹心を含まない)に大別されます。樹種はスギ・ヒノキ・カラマツ・ベイマツ・ベイツガが主流。乾燥処理(KD材:人工乾燥)と未乾燥材(GRN材)で寸法安定性が大きく異なり、KD材は施工後の乾燥収縮による狂いが少なく、現代の住宅では基本がKD材です。JAS 1083では機械等級区分(E50〜E150の6段階)と目視等級区分(甲種1〜3級・乙種1〜3級)の2系統が用意されており、設計者は構造計算上の必要強度に応じて選定します。一般住宅では機械等級E70〜E90が標準仕様、中大規模木造ではE110以上が指定されることもあります。
集成材(JAS 234)
厚さ20〜45mmの「ラミナ」を繊維方向を揃えて接着積層した製品で、寸法安定性・強度ばらつきの抑制に優れます。柱・梁・桁の主構造材として、住宅で広く使われています。JAS 234では、対称異等級構成(外層を高等級、内層を低等級にした層構成)・同一等級構成・特定対称異等級構成の3種類の層構成があり、対称異等級が梁桁で主流。強度等級はE65-F255〜E170-F495等の組合せ表記で、左がヤング係数(GPa×10)、右が曲げ強度(MPa×10)を示します。海外大径材から製造する大断面集成材(800×1500mm等)は中大規模木造の主要部材で、体育館・オフィス・大型店舗の柱梁として用いられます。使用環境区分はA種(屋外暴露相当)・B種(高湿度屋内)・C種(一般屋内)で、住宅構造材ではB種以上が標準。
構造用合板(JAS 233)
単板(厚さ1.5〜3mm程度)を繊維方向を交互に直交積層した面材。構造用合板(JAS 233)は耐力壁・床下地・屋根下地として、構造設計上の根拠材料に用いられます。使用環境による接着性能区分は特類(屋外)・1類(高湿度屋内)・2類(一般屋内)の3区分で、住宅では1類以上が標準。強度等級は1級・2級の2区分、厚さは7.5・9・12・15・18・24・28mmが主流。耐力壁倍率では構造用合板厚9mm釘N50@150以下の仕様で2.5倍、厚12mm釘CN50@150以下で3.7倍といった倍率表が建築基準法施行令で整備されており、壁量計算の根拠材料として不可欠です。年間生産量は約280万m³で、住宅・非住宅構造の面材として最大の使用量を持ちます。
LVL(JAS 237 単板積層材)
厚さ3〜4mmの単板(ベニヤ)を繊維方向を揃えて全層平行に積層した製品で、合板(直交)と集成材(厚物ラミナ)の中間的な構成です。JAS 237では曲げヤング係数で90E・110E・130E・150E・180Eの5等級に区分され、180E等級は集成材の最高等級を超える剛性を実現。梁・桁・I型ジョイストのフランジ材として高強度を活用し、ばらつきの少ない構造性能で長尺の梁桁(10m超)に向きます。住宅では床根太・登り梁・大型開口部の補強桁、非住宅では中規模スパンの梁材として使用されます。年間生産量は約8万m³で、用途は限定的ながら高強度部材として代替不可能な位置づけ。
CLT(JAS 3079 直交集成板)
ラミナを繊維方向を直交させて積層した面材。3層・5層・7層・9層構成で、厚さ60〜300mm程度が主流。床版・壁版として「面で構造的に成立する」材料で、中大規模木造の主役格材料です。JAS 3079ではM30〜M120の強度等級(外層ラミナのヤング係数)と層構成(同一等級構成・異等級構成)が規定されています。日本でのCLT生産能力は2024年時点で年間約13万m³前後、認定工場は7工場まで拡大し、生産・流通の体制が整備されつつあります。1m²あたりの製品単価は120mm厚で18,000〜26,000円前後で、集成材柱梁構造の1.3〜1.8倍。住宅単体では経済合理性が限定的ですが、4階建以上の中層木造、保育園・福祉施設等の中規模公共建築で採用が拡大しています。
I型ジョイスト(木質I型梁)
フランジ(上下の水平材、LVLまたは構造用製材)とウェブ(垂直のせん断材、OSBまたは構造用合板)をH型断面のように接着組立した複合梁。住宅2階床の根太・天井野縁、長尺の小梁として使用され、長スパン・軽量・高剛性を実現します。北米では床根太の標準工法で、日本でも輸入製品(住友林業・三井ホーム・北米系メーカー)が主に2×4住宅で使用されています。標準寸法はせい240/300/360mmが主流、最大長は12m前後。重量当たり剛性が高く、配管・配線の貫通孔をウェブに開けやすい設計上の利点があります。
- 日本住宅・木材技術センター JAS制度解説:https://www.howtec.or.jp/
機械等級区分と強度等級
JAS 1083構造用製材の機械等級区分は、各材を1本ずつ非破壊測定(縦振動法・たわみ測定)してヤング係数(曲げヤング係数Eb)を測り、E50・E70・E90・E110・E130・E150の6等級に区分する制度です。等級番号はヤング係数の値(GPa)にほぼ対応し、E70は曲げヤング係数7.0GPa(=7000N/mm²)相当、E90は9.0GPa相当を意味します。建築基準法施行令第89条の基準強度表では、機械等級ごとに曲げ・圧縮・引張・せん断の基準強度(Fb・Fc・Ft・Fs)が定められています。
樹種ごとの主流E等級レンジ
樹種ごとに製材から得られるE等級の分布は異なります。スギは比重0.38前後と軽く、E50〜E90が主流レンジ(E70が中央値)。ヒノキはスギよりやや密で硬く、E70〜E110が主流(E90が中央値)。カラマツは強度が高くE70〜E110、ベイマツは輸入材中心でE90〜E130と高めの分布です。米ヒバ・ベイツガはE70〜E90程度。設計実務では、樹種を決めるとE等級の上限が概ね決まる関係にあります。
目視等級区分
機械等級と並行して、JAS 1083には目視等級区分(甲種・乙種、各3級)も用意されています。甲種構造材は梁桁向け(節径比・年輪幅・繊維走向・割れ等を厳しく管理)、乙種構造材は柱向け(甲種より緩い基準)。1級・2級・3級の3段階で、1級が最高品質。機械等級が一般化した現在、目視等級は地方の小規模製材所や、設備投資のないラインで用いられる比率が高くなっています。
含水率管理(D区分)
含水率はJAS材で表示が義務化され、D15(仕上げ材級、含水率15%以下)・D20(構造材標準、20%以下)・D25(許容上限、25%以下)の3区分で管理されます。住宅構造材ではD15またはD20が要求水準で、D25は許容下限。未乾燥(GRN、Green)材は構造的に不可で、施工後の乾燥収縮(接線方向で5〜8%、半径方向で2〜4%)による狂い・割れ・ねじれ・引き戻しによる接合金物の緩みを引き起こします。プレカット工場では入荷時の含水率を全数または抜き取り測定し、規格外材は返品・再乾燥に回します。乾燥方式は人工乾燥(蒸気式・高周波式・除湿式)が主流で、人工乾燥に48〜120時間程度を要します。
JAS材と無等級材の比較
JAS構造用製材
農林規格(JAS)に基づき、機械等級または目視等級で強度区分された製材です。機械等級では各材を1本ずつ非破壊測定(縦振動法・たわみ測定)してヤング係数を測り、E50/E70/E90/E110/E130/E150の等級表示が付されます。目視等級は節・目廻り・繊維走向・割れ等の欠点で1〜3級に区分。含水率はD15・D20・D25が標準表示で、住宅構造材ではD15またはD20が要求水準です。JAS認定工場で1本ごとに認定ラベル(製造工場名・JAS番号・等級・含水率・寸法)が貼付・打刻され、流通段階での品質保証が行われます。
無等級材
JAS規格認定を受けていない製材品で、流通のメイン。建築基準法施行令第89条で、樹種ごとに「無等級材」の基準強度(曲げ・圧縮・引張・せん断)が定められており、構造計算では各樹種の無等級材値を使えますが、JAS材より小さな値(保守的)です。地域の小規模製材所からの直送や流通慣行で、無等級材が主流のままです。無等級材の基準曲げ強度はスギ22.2、ヒノキ26.7、ベイマツ28.2、カラマツ26.7(いずれもN/mm²)等。
強度設計上の差
例えばスギの場合、無等級材の基準曲げ強度は22.2N/mm²ですが、JAS機械等級E70等級では25.5N/mm²、E90では33.0N/mm²、E110では38.4N/mm²。同じ断面寸法でJAS E90を使えば、無等級材の概ね1.5倍の曲げモーメントに耐える設計が可能です。柱・梁の断面縮小、スパン拡大、間取りの自由度向上に直結する差で、構造計算前提の中大規模木造ではJAS材選定が一般化しています。例えば、4mスパン梁の必要断面はJAS E90を使えば105×240程度で済むのに対し、無等級材では120×270が必要になるケースがあり、材積で約20%の削減が可能です。
4号特例の縮小
建築基準法第6条の特例(いわゆる「四号特例」)は、小規模建築物について建築確認時の審査対象規定を限定する制度でした。木造2階建・延床500m²以下の住宅では、構造関係規定の図書審査が省略され、建築士の責任で適合確認すればよい運用が長く続いていました。1983年の制度創設以来、4号建築物は年間着工約30万棟(2010年代後半)と、木造住宅市場の主流を占めてきましたが、構造図書の審査・保存が省略される運用は、2020年前後から構造設計の質確保の観点で議論が継続していました。
2025年4月の建築基準法改正で、この区分が再編されました。新たな「新3号建築物」(平屋・延床200m²以下)のみが特例対象として残り、それ以外(階数2の住宅・延床200m²超)は「新2号建築物」として構造関係規定の審査が義務化されます。木造2階建の住宅のほぼすべて(延床200m²以下を除く一般的な住宅)が、構造図書を提出して審査を受ける運用に変わりました。改正対象棟数は年間概ね20〜25万棟(4号建築物のうち平屋を除いた数)で、業界全体での実務影響は大きく、設計事務所・工務店・プレカット工場の対応が2024〜2025年の重要課題となっています。
影響
影響は3点。(1) 設計実務の負担増:壁量計算・偏心率・N値計算・床倍率・接合金物選定の図書化が必要。設計工数は1案件あたり10〜30%増の見込み。(2) JAS構造材の根拠化:構造計算ではJAS材の機械等級表示値が直接使えるため、無等級材より設計が楽になり、JAS材シェア拡大の推進力に。(3) 省エネ基準適合義務化との同時施行:構造と省エネを両立する設計(断熱層と耐力壁の取合い、貫通配管との干渉)が新たな実務課題に。
これに加えて、設計事務所・工務店の体制整備(構造設計担当の確保、構造ソフト導入、JAS材取扱店との取引関係構築)の負担も大きく、2025〜2027年は設計実務の過渡期として、JAS材・構造計算・電子図書化の3つの領域で大きな変化が進みます。
- 国土交通省 建築基準法改正資料:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000183.html
- 林野庁 木材利用課 ウッド・チェンジ:https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/
選定基準と価格レンジ
2024〜2025年時点の構造材価格レンジ(材積m³単価、KD材ベース、産地・規格・流通で大きく変動):
- スギ無等級材(柱用):80,000〜100,000円/m³
- スギJAS構造材(E70):90,000〜115,000円/m³
- スギJAS構造材(E90):100,000〜130,000円/m³
- ヒノキ無等級材(柱用):120,000〜160,000円/m³
- ヒノキJAS構造材(E90):135,000〜180,000円/m³
- ヒノキJAS構造材(E110):155,000〜205,000円/m³
- スギ集成材(柱用):90,000〜110,000円/m³
- カラマツ集成材(梁用):105,000〜140,000円/m³
- ベイマツ集成材(梁用):120,000〜160,000円/m³
- CLT(120mm厚):150,000〜220,000円/m³(製品ベース)
- LVL(梁用、180E):130,000〜170,000円/m³
- I型ジョイスト(せい240):1m長さあたり3,500〜4,800円
- 構造用合板(厚12mm、1820×910mm):2,000〜2,800円/枚
住宅1棟(延床120m²、木造2階建、在来工法)あたりの構造材コストは、無等級材中心で180〜230万円、JAS材+集成材中心で210〜280万円が目安です。JAS材化による追加コストは1棟あたり概ね20〜50万円ですが、構造計算の容易さ・将来の住宅性能評価書取得・耐震等級向上のメリットを考えると、住宅価格全体(坪単価70〜100万円×36坪≒2,500〜3,600万円)に対しては1〜2%程度の上乗せです。
樹種・規格の選定論理
柱は耐久性(ヒノキ)か経済性(スギ)の選択、梁は強度(ベイマツ集成材・LVL)か国産材活用(カラマツ集成材)、土台は耐朽性(ヒノキ・ヒバ)が鉄則。中大規模木造ではCLT・大断面集成材を主役に、用途・スパン・防火要求で複合的に組み合わせます。具体的な選定論理は以下の通り。
- 土台:耐朽性最優先。ヒノキD15またはヒバD15が標準。スギは防腐処理材(K3保存処理)でも可。
- 柱(管柱・通し柱):スギJAS E70 D15が住宅標準。耐震等級2以上ではヒノキJAS E90への置換が増える。
- 梁・桁(短スパン4m以下):ベイマツ集成材E105-F300、またはスギJAS E90 D20。
- 梁・桁(中スパン4〜6m):ベイマツ集成材E120-F375、またはカラマツ集成材E105-F300。
- 梁・桁(長スパン6m超):LVL 180E、または大断面集成材E150-F435。
- 耐力壁面材:構造用合板1類厚9〜12mmが住宅標準。
- 床版:構造用合板1類厚24〜28mm(剛床仕様)、CLTは中大規模のみ。
FAQ
Q1. 無等級材は使ってはいけないのか
A. 使えますが、構造計算では基準強度の最低クラスで設計する必要があります。同じ部材でJAS材より大断面化が必要になり、コスト・施工性で不利になる場合があります。具体的には、スギ無等級材を使うとJAS E90と比較して材積で15〜20%増、価格差を織り込んでもJAS材選定の方が経済的になるケースが増えています。
Q2. 集成材は強いというのは本当か
A. ばらつきが小さく、設計許容応力度の安全率を確保した上で同じ断面で大きな荷重に耐えられます。同一強度等級で比較すると、無垢材のばらつき(変動係数20〜25%)に対して集成材は10〜15%と小さく、設計値の信頼性が高い。ただし接着剤の劣化が長期信頼性の鍵で、JAS集成材の使用環境区分(A種・B種・C種)の選定は重要です。住宅構造ではB種、屋外暴露相当ではA種が必要。
Q3. CLTは普通の住宅で使えるか
A. 使えますが、製品コストが集成材の1.5〜2倍、施工は専用クレーンとプレカット精度が必要、なため、住宅単体での経済合理性は限定的。中大規模建築(4階建以上の中層木造、面積300m²以上の保育園・福祉施設等)で本領発揮します。住宅でのCLT採用は、スキップフロア・大空間リビング・薄型床版を求める意匠優先のケースが中心です。
Q4. 構造計算はすべての住宅で必要になるのか
A. 新3号(平屋・延床200m²以下)以外は、構造関係規定の図書審査対象です。簡易計算(壁量計算・四分割法)で対応する場合が多いですが、図書化と保存義務が新たに発生します。許容応力度計算(ルート1〜3)が必要となるのは、3階建以上、混構造、特殊形状、大スパン等のケース。標準的な木造2階建では壁量計算+N値計算で対応可能です。
Q5. 国産材構造材のシェアは伸びるか
A. 4号特例縮小で構造計算の根拠材料としてJAS国産材の優位性が出ます。林野庁の「ウッド・チェンジ」・「JAS構造材活用拡大」事業で公共建築の国産JAS材活用も進められており、シェア拡大は10年スパンで継続する見込み。木材自給率も2010年代の26%から2024年には約42%まで回復しており、国産JAS構造材の安定供給体制が整備されつつあります。
Q6. JAS規格番号は設計図書のどこに書くか
A. 構造仕様書(特記仕様書の構造材編)に「構造用製材:JAS 1083 機械等級E90 D20 含水率20%以下」のように、規格番号・等級・含水率を明記するのが標準です。プレカット発注書、見積書、施工計画書にも同じ記載を引用します。
Q7. 製材JASと無等級材の見分け方は
A. 製材1本ごとに認定工場のJAS印(押印または焼印、印刷ラベル)が貼付されます。表示内容は工場名・JAS番号・等級・含水率・寸法・製造年月日等で、現場検収時にこの表示の有無で判別できます。集成材・CLT・LVL・構造用合板も同様にJAS表示が義務付けられています。

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