木材ヤング係数の樹種別ランキング|JAS等級・MSR・集成材の構造設計指標

木材ヤング係数の樹種別ランキング | Forest Eight

木造の梁を設計するとき、「どのくらいたわむか」を左右するいちばんの数字がヤング係数(弾性係数、記号E)です。同じ樹種、同じ含水率でも、節の位置や個体差によって実測値は大きくばらつきます。だからこそ、樹種や等級をどう選ぶかが、構造の出来栄えとコストの両方を決めることになります。この記事では、樹種別のヤング係数ランキングから、JAS集成材の等級区分、機械等級区分(MSR)と目視等級の使い分け、CLTの異方性、海外規格との比較、測定方法、そして実務での扱い方まで、設計者・林業関係者・木造建築主のどちらにも役立つように整理していきます。

目次

ヤング係数とは──弾性係数の物理的な意味

ヤング係数とは、弾性域における応力(σ)とひずみ(ε)の比例定数のこと。ざっくりいえば、材料の「変形しにくさ」を表す数字です。フックの法則 σ = E × ε の比例定数 E がそれで、単位はパスカル(Pa)またはGPa(=10⁹ Pa)。数値が大きいほど、同じ荷重をかけても変形が小さくなります。

木材で押さえておきたいのは、強い異方性を持つという点です。繊維方向(縦・L方向)、半径方向(R方向)、接線方向(T方向)の3方向で物性がまるで違います。構造材として効いてくるのは縦方向の曲げヤング係数(EL)で、ふつう「ヤング係数」といえばこれを指します。半径方向や接線方向は、縦方向の15分の1から30分の1程度しかありません。木の細胞(仮道管・道管)が縦に並んでいることから来る性質です。

金属と比べると、軟鋼が約205GPa、アルミ合金が約70GPa、コンクリート(普通強度)が約30GPa。スギの縦方向ヤング係数は約7GPaで、鋼の30分の1ほどしかありません。ところが、強度を比重で割った「比強度」で見るとスギは鋼に匹敵し、軽くて丈夫な構造材として実に優秀なのです。

樹種別ヤング係数ランキング

気乾比重と曲げヤング係数はおおむね比例し、比重の大きい樹種ほどヤング係数も大きくなります。森林総合研究所・林産試験場・北米FPLのデータをもとに、日本と世界の主要構造材を並べると次のとおりです(含水率12%基準・代表値)。

順位 樹種 気乾比重 曲げヤング係数(GPa) 圧縮強度(N/mm²) 主用途
1 ハードメープル 0.71 12.6 54 床材・楽器
2 レッドオーク 0.70 12.3 52 家具・床材・梁
3 ベイマツ(ダグラスファー) 0.51 12.0 50 梁・桁・大断面集成材
4 ホワイトアッシュ 0.62 12.0 50 建具・運動用具
5 サザンイエローパイン 0.55 11.7 49 梁・桁(北米)
6 カラマツ(ニホンカラマツ) 0.50 10.5 43 梁・桁・集成材ラミナ
7 ホワイトオーク 0.68 10.4 51 家具・床材・洋樽
8 ヨーロッパアカマツ 0.52 10.1 45 欧州構造材
9 ケヤキ 0.69 9.8 55 大黒柱・神社建築
10 ベイヒバ(イエローシダー) 0.46 9.5 43 土台・水回り
11 ベイツガ(ヘムロック) 0.45 9.0 41 梁・桁(汎用)
12 ヒノキ 0.44 8.8 40 柱・土台・社寺建築
13 クリ 0.55 8.5 38 土台・枕木
14 ヨーロッパトウヒ(スプルース) 0.43 8.5 38 欧州集成材ラミナ
15 アカマツ 0.53 8.5 40 梁・桁(伝統)
16 SPF(スプルース・パイン・ファー) 0.42 8.0 34 枠組壁工法
17 ホワイトスプルース 0.40 7.5 33 北米枠組材
18 スギ 0.38 7.4 34 柱・梁・羽柄材
19 ラジアータパイン 0.42 7.0 30 NZ集成材ラミナ
20 キリ 0.30 5.5 22 家具・装飾

ここで注意したいのは、これらが5%下限値ではなく代表平均値だという点です。設計時の許容応力度は、この6〜7割程度として扱います。針葉樹ではベイマツとカラマツが、広葉樹ではメープルとオークが上位を占めます。意外なのがケヤキで、比重は0.69と高いのに、繊維走向の乱れと内部応力のせいで、ヤング係数は針葉樹のベイマツに及ばない9.8GPaにとどまります。比重が高い=ヤング係数も高い、とは必ずしもいかないわけです。

JAS機械等級区分(E50〜E170)

JAS(日本農林規格)の構造用製材における機械等級区分は、E50・E70・E90・E110・E125・E150・E170の8段階に分かれます。各等級の保証曲げヤング係数は次のとおりです。

等級 曲げヤング係数(GPa) 基準曲げ強度 Fb(N/mm²) 主な対象樹種
E50 5.0以上 19.5 低密度スギ・キリ等
E70 7.0以上 23.5 スギ標準・ラジアータパイン
E90 9.0以上 28.0 ヒノキ・ベイツガ
E110 11.0以上 32.0 カラマツ・アカマツ
E125 12.5以上 36.0 ベイマツ・カラマツ上位
E150 15.0以上 42.0 選別ベイマツ
E170 17.0以上 48.0 北米選別材・LVL等

等級判定は1本ごとに行われ、ライン速度は毎分30〜120mで全数検査が可能です。E125以上のグレードは原木段階で20%以下しか取れないため、この選別歩留まりが価格を大きく左右します。中大規模木造のラミナ用途では、E105〜E120の中位等級が需要の中心です。

目視等級と機械等級の違い

JAS構造用製材には、目視等級区分機械等級区分という2つの系統があります。それぞれの特徴を見比べてみましょう。

項目 目視等級区分 機械等級区分(MSR)
判定方法 節・丸み・繊維走向の目視 曲げヤング係数の機械実測
等級数 1級・2級・3級 E50〜E170の8段階
個体差 大きい(同等級内CV20%) 小さい(同等級内CV5%)
許容応力度 等級ごと固定値 実測値ベース
検査コスト 低(人件費のみ) 中(機械設備投資)
主用途 住宅一般・在来軸組 大スパン・中大規模

目視等級は、節の位置や大きさ、丸みの有無、繊維走向などを人の目で確認して1級・2級・3級に分けます。計算に使う基準強度は等級ごとの固定値で、代表値より20〜30%安全側に取った数値が標準です。一方、機械等級区分(MSR)は、製材を1本ずつローラ式やマイクロ波式の装置にかけて曲げヤング係数を実測し、その値で等級を決めます。E125なら12.5GPa以上を保証する、という意味です。MSR材は個体差を排除した安定供給ができるため、大スパン梁や中大規模木造の主要部材に向いています。

含水率とヤング係数の関係

木材のヤング係数は、含水率に大きく左右されます。含水率30%(繊維飽和点)以上ではほぼ一定ですが、それを下回ると含水率1%の低下につき約2%上昇します。代表的な変化を表にまとめました。

含水率 状態 ヤング係数比(含水率15%を100とした場合)
30%以上 繊維飽和(生材) 70
25% 未乾燥材 78
20% JAS乾燥規格D20 87
15% JAS乾燥規格D15 100(基準)
12% 気乾標準 106
8% 暖房環境平衡 113

JAS構造用製材にはD15・D20・D25という3段階の乾燥規格があり、それぞれ仕上げ含水率15%以下・20%以下・25%以下を意味します。住宅用構造材ではD20以下が一般的で、化粧梁や造作材ではD15以下が求められます。施工後に含水率が変わると収縮・反り・ねじれが起きて剛性も変動するので、設計値と実性能を合わせるには含水率管理が欠かせません。

設計上の許容応力度──5%下限値という考え方

構造計算では、ヤング係数の平均値ではなく5%下限値(5パーセンタイル値)を許容応力度の根拠にします。母集団の下位5%を切り捨てた値で、確率的に安全側の設計を担保するためです。代表値(平均値)と5%下限値の関係は、おおむね次のように整理できます。

  • 5%下限値 ≒ 平均値 × (1 − 1.645 × CV)
  • CV(変動係数)はスギ無等級材で約0.20、機械等級区分材で約0.08〜0.12
  • つまり同じ代表値でも、MSR材のほうが下限値は高くなる

許容応力度は、基準曲げ強度Fbに対して長期で1/3、短期で2/3の係数を乗じて求めます。スギE70機械等級材(基準Fb 23.5N/mm²)なら、長期許容曲げ応力度は7.83N/mm²、短期は15.7N/mm²です。たわみ計算ではヤング係数の平均値を使いますが、長期荷重時はクリープ補正係数 kdef = 1.6〜2.0 を乗じて最終たわみを評価します。

集成材のヤング係数──ラミナ等級と複合効果

集成材は、複数のラミナを長さ方向(フィンガージョイント)と厚さ方向(接着)でつないだ部材です。設計上の利点は次の3つに集約できます。

  • 大断面・長尺化:丸太の径や長さの制約から解放され、20m級のスパンも実現できる
  • 強度の均質化:個々のラミナの欠点が分散されるため、5%下限値が無等級の単材より高くなる
  • 異樹種・異等級の組み合わせ:外側に高ヤング材、内側に低ヤング材を配置できる

JAS構造用集成材には、E65-F225・E75-F240・E85-F255・E95-F270・E105-F300・E120-F330・E135-F375・E150-F435・E170-F495などの強度等級があります。最初のEがヤング係数(GPa)、後ろのFが曲げ強度(N/mm²×10)です。E150以上は北米産ベイマツや欧州産トウヒの選別ラミナを使うため、価格は同じ断面のスギ集成材の1.5〜2倍になります。

賢いのが異等級構成集成材です。外層(応力が集中する部分)に高ヤング・高強度のラミナを、中央層(中立軸付近)に低等級のラミナを配置します。たとえばE120-F330異等級構成材は、外側2層をE120相当、中間層をE85相当で組み合わせて、断面全体としてE120の見かけヤング係数を実現します。これにより高等級ラミナの使用量を約40%減らせて、コストと性能のバランスが取れるわけです。

CLTのヤング係数──強軸と弱軸の大きな差

CLT(直交集成板)は、ラミナを直交方向に積層接着した面材です。強軸(外層の繊維方向)と弱軸(その直交方向)でヤング係数が大きく異なるのが特徴。5層CLT(厚さ150mm、各層30mm)で構成ラミナがE95等級の場合、次のような値になります。

方向 有効ヤング係数(GPa) ラミナ平均比 用途
強軸(曲げEx) 約8.0 0.84 主応力方向の床・壁
弱軸(曲げEy) 約0.5 0.05 従応力方向(補助的)
面内せん断G 約0.5 耐震壁の水平剛性
転がりせん断Gr 約0.05 厚さ方向の応力伝達

強軸のヤング係数は構成ラミナ平均の約0.85倍、弱軸はほぼ0.05倍と、20倍近い差があります。設計上はγ法(ガンマ法)または有効剛性法でラミナ層構成を考慮した有効断面二次モーメントを算定します。CLTは中大規模木造の床版・壁版に使われ、3層・5層・7層・9層の標準構成があります。

海外規格との比較

構造用木材の規格は国ごとに異なり、ヤング係数の表記方法や許容応力度の算定もまちまちです。主要な規格を並べてみます。

規格 国・地域 典型ヤング係数 特徴
JAS集成材 日本 E65〜E170 5%下限値ベース、kdef補正
LVL(PSL/LSL含む) 米国・カナダ 11.0〜14.0GPa 単板積層、極めて均質
Glulam 米国(AITC/APA) 9.7〜13.8GPa 等級区分Combination記号
GLT/GL24h〜GL32h 欧州(EN 14080) 11.5〜14.2GPa EN規格、特性値ベース
MSR Lumber 北米 E1.0〜E2.4×10⁶psi psi単位、1.4×10⁶ ≒ 9.65GPa
SCL(Structural Composite Lumber) 北米 10.3〜13.8GPa LVL/PSL/LSL/OSL総称

欧州規格EN 14080のGLT24h(均質構成・特性値24N/mm²)は、ヤング係数特性値Emean=11.5GPa、5%下限値E0.05=9.6GPa。日本のE105-F300(10.5GPa保証)とほぼ同等なので、相互換算すれば海外プロジェクトの仕様調整もできます。北米のpsi単位は1psi=0.00689MPaで、E1.5×10⁶psi ≒ 10.3GPaに換算されます。

ヤング係数の測定方法

木材のヤング係数測定には、用途と精度に応じていくつかの手法が使い分けられます。

静的曲げ試験(破壊試験):JIS Z 2101に規定された伝統的な方法で、3点曲げ・4点曲げ装置で試片に荷重をかけ、荷重-変位曲線の弾性域勾配からヤング係数を求めます。最も信頼性が高い反面、試片を壊してしまうため、研究用途や規格の基準値設定で使われます。

縦振動法(FFT共振法):製材を打撃して固有振動数を測り、共振周波数 f1・長さ L・密度 ρ から E = 4ρL²f1² で算出する非破壊試験です。1本あたり数秒で測れるので、製材所の全数検査に広く使われます。実測ヤング係数(Edyn)は静的ヤング係数(Estatic)の1.05〜1.10倍ほどになります。

超音波法:製材の片端から超音波パルスを入れ、反対端での到達時間から音速 V を求め、E = ρV² で算出します。節周りで超音波が屈折するため、節の少ない無欠点材で精度が高くなります。

機械等級区分(MSR):製材を3点曲げで連続走行させ、ローラ間の中央点でひずみゲージにより曲げヤング係数を実測する全数検査装置です。JAS認定工場で運用され、8等級にリアルタイムで選別、検査票が個別ロットに添付されます。

中大規模木造の実例

近年の中大規模木造では、ヤング係数の高い材料を効果的に配置することで、長スパンや高層化が実現されています。代表的な事例を見てみましょう。

建物名 規模 主要構造材 主要部材ヤング係数
Mjøstårnet(ノルウェー) 18階・85m GLTグルーラム GL30c(13.0GPa)
Brock Commons(カナダ) 18階・53m CLT+集成材 E120相当
仙台秋保木造ホテル 4階建 カラマツCLT・集成材 E120-F330
住友林業つくば本社 4階建 ベイマツ集成材 E150-F435
東京虎ノ門木造ビル計画 12階建(計画) ベイマツGLT E170-F495

中規模木造(4〜6階建)のオフィスやホテルでは、6m以上の梁スパンが求められることが多く、E120以上の集成材が必須になります。10階を超える高層木造ではE150〜E170の最高等級ラミナが使われ、北米産ベイマツや欧州産トウヒの選別材が国際物流で調達されています。

クリープと経年変化

木材は荷重をかけ続けると、時間とともにクリープ変形が進みます。瞬時の弾性ひずみに対し、長期荷重下では含水率の周期変動にともなう「メカノソープティブ・クリープ」が加わり、最終ひずみは初期の1.6〜2.0倍に達します。設計上は次のクリープ補正係数 kdef を乗じます。

  • 常時湿潤(外部・屋外):kdef = 2.0
  • 通常室内(含水率12〜20%):kdef = 1.6
  • 暖房乾燥環境(含水率8〜12%):kdef = 0.6

たわみ評価では、初期たわみ δinst にクリープ分を足した最終たわみ δfin = δinst × (1 + kdef) を許容たわみと比べます。たわみ限界はスパンの1/200〜1/300が一般的で、L=6mの梁ならδfin限界は20〜30mmです。なお、千年以上を経た法隆寺の芯材ですら、ヤング係数は新材の60〜80%を保っているという研究報告があり、屋内環境での木材の長期安定性の高さがうかがえます。

経済性──等級と規模で最適解は変わる

2026年5月時点の国産材集成材ラミナの価格は、スギE70等級が約4.5万円/m³、E105等級で約5.8万円/m³、ベイマツE150等級で約9.2万円/m³、E170等級で約11.0万円/m³というレンジです。中大規模木造のコスト最適化の鍵は、構造計算上必要なヤング係数を満たす最低等級を選ぶことにあります。

たとえば住宅用2階建ての梁伏なら、たいていE70スギで構造設計が成立します。わざわざE105を選ぶ必要はありません。一方、6階建ての中規模木造オフィスで梁スパンが6m以上必要になればE120以上が要求され、ベイマツやカラマツのMSR材が選ばれます。10階以上の高層木造ではE150以上が必要で、北米産・欧州産の選別ラミナが世界中から集まってくる、という構図です。高い材料を使えば必ず得をするわけではない——この見極めが、設計者の腕の見せどころです。

🌲 現場メモ

(運営者の実体験コメントを後日追記)

たわみ計算の基本式

木造梁のたわみ量は、次の式で算出します(中央集中荷重・両端単純支持の場合)。

δ = (P × L³) / (48 × E × I)

等分布荷重なら δ = 5wL⁴/(384EI) です(δ:たわみ、P:荷重、L:スパン、E:ヤング係数、I:断面二次モーメント、w:単位長さあたり荷重)。スギ梁(E=70GPa)を高ヤング材(E=120GPa)に変えれば、同じ断面でたわみが約42%減ります。逆に同じたわみ条件でよいなら、断面を約30%小さくできて、材料コストの削減と内部空間の確保に直結します。長期荷重に対しては、前述のとおりクリープ補正係数 kdef(1.6〜2.0)を乗じ、初期たわみの2倍程度を最終たわみとして扱います。

よくある質問

Q. 製材所から「E70の保証」と言われましたが、信頼できますか?

A. 機械等級区分の検査記録(ヤング係数の実測値とラインID)を発注時に求めてください。JAS認定工場なら個別の検査票が発行されます。目視等級だけで「E70相当」と称されるものは保証性能が低いので、構造計算には機械等級区分材をおすすめします。

Q. 集成材のE等級と無垢材のE等級は同じ意味ですか?

A. 厳密には違います。集成材のE等級は完成した集成材としての等級で、ラミナ単独のE等級とは別物です。E105集成材は、実際にはE65〜E120のラミナを最適に配置して、全体としてE105を保証している、という構成になっています。

Q. ヤング係数の単位、GPaとkN/mm²、N/mm²はどれが正しいの?

A. 1GPa = 1kN/mm² = 1000N/mm² で、どれも同じ値の別表記です。日本のJAS集成材ではGPa(またはkN/mm²)が標準。海外ではpsiやMPaも併用されます。E105 = 10.5GPa = 10500N/mm² = 10.5kN/mm² です。

Q. ヤング係数が同じでも強度が違うことはありますか?

A. あります。ヤング係数は弾性域の剛性の指標で、強度(破壊までの最大応力)とは完全には比例しません。破壊強度は節の数や大きさ、繊維走向、内部応力で決まるため、E125材でも節の多い材は基準曲げ強度Fbが規定値を下回ることがあります。MSR検査では節検査も併用して品質を担保しています。

Q. ヤング係数の高い材料を使えば、必ず経済的になりますか?

A. そうとは限りません。たわみで決まる設計(長スパンの梁・桁)ではE値が効きますが、応力で決まる設計(短スパン梁・耐震壁)ではFb値が効きます。設計条件に応じてE値とFb値のバランスを評価することが、最適な等級を選ぶ鍵です。

まとめ

ヤング係数は、木材の「変形しにくさ」を表すたった1つの数字ですが、その背後には樹種・含水率・等級・異方性という幾重もの要因が絡み合っています。樹種別ランキングではベイマツやカラマツが上位に立ち、JASの機械等級区分(MSR)を使えば個体差を抑えた安定供給が得られます。集成材やCLTでは、ラミナの配置や積層方向を工夫することで、限られた高等級材を効率よく活かせます。

実務で大切なのは、「とにかく高い等級を」と考えないことです。たわみで決まる長スパン梁ではE値が、応力で決まる短スパンや耐震壁ではFb値が効いてくる——設計条件を見極めて、必要十分な等級を選ぶ。それが、性能とコストの両立につながります。発注の際は乾燥方式と機械等級の検査票を確認し、含水率管理まで見据えておけば、図面上の設計値と実際の建物の性能を、しっかり一致させることができます。

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この記事を書いた人

ハウスメーカーで住宅の構造を担当したのち、林業の世界へ。林業・木材・建築の3領域を横断する視点で、Forest Eight の記事を編集しています。

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