【タカノツメ】Gamblea innovans|3出複葉と鷹の爪型冬芽、山菜と紅葉の里山樹種

タカノツメ(Gamblea innovans)の3出複葉

「タカノツメ」で検索すると、まず唐辛子が出てくる。鷹の爪という名の唐辛子は有名なので、木のほうが検索結果で負けている。だが、木のタカノツメ(Gamblea innovans)の名前の由来も、同じ「鷹の爪に似た形」だ。唐辛子は果実の形、木は冬の芽の形である。名前を貸し借りしたわけではなく、同じ見立てに別々にたどり着いた、というのが実態に近い。

ウコギ科の落葉小高木しょうこうぼくで、山地に生える。葉は3枚の小葉しょうようからなる3出複葉さんしゅつふくようで、5〜6月に黄緑色の小さな花をつけ、秋には鮮やかに黄葉こうようする。若芽わかめは山菜として食べられる。

タカノツメの主な特徴樹高約6m山地に生える落葉の小高木葉小葉3枚3出複葉縁に短い芒状の鋸歯花期5〜6月黄緑色の小さな花散形の花序につく果実紫黒色秋に熟す液果黄葉も鮮やか
図1:タカノツメの主な特徴
目次

ウコギ科の中の居場所

まず住所を確認しておこう。タカノツメは、セリ目ウコギ科タカノツメ属に属する。ウコギ科は約60属900種からなる大きな科で、ウド、タラノキ、コシアブラ、ウコギなど、山菜や野菜になる植物が多い。ヤツデ、カクレミノ、キヅタのような庭木もこの仲間だ。

タカノツメの分類上の位置目セリ目Apiales同じ目の別の科セリ科(ミツバ、ニンジン)トベラ科(トベラ)科ウコギ科Araliaceae同じ科の別の属タラノキ属(タラノキ、ウド)ウコギ属(コシアブラ)など属タカノツメ属Gamblea(旧 Evodiopanax)同じ属の仲間世界に4種ある日本にいるのはタカノツメだけ種タカノツメGamblea innovansこの記事の主役小葉が3枚の3出複葉冬芽の形が名前の由来※ 属の範囲は研究によって変わる。タカノツメは以前、Evodiopanax 属に置かれていた。
図2:目・科・属・種の位置づけ

同じセリ目には、セリ科もいる。ミツバやニンジンと、タカノツメは遠い親戚ということになる。分子系統ぶんしけいとうの研究では、ウコギ科はセリ科やトベラ科に近いとされるが、科の境界はまだ定まっていない。

タカノツメ属は世界に4種で、日本にいるのはタカノツメだけだ。属名は、かつては Evodiopanax が使われていた。名前が変わっても木は何も変わらない。変わったのは、分類する側の台帳である。

葉で見分ける山菜仲間

ウコギ科の山菜は、葉の形で見分けるのがいちばん早い。タカノツメは小葉しょうようが3枚、コシアブラは5枚で、タラノキは小葉がたくさんつく羽状うじょうの葉だ。タラノキの幹には鋭い棘とげがあり、棘のないタカノツメとは、触れば分かる。

ウコギ科の山菜を葉で見分けるタカノツメ3出複葉小葉は3枚冬芽が鷹の爪の形コシアブラ掌状複葉小葉は5枚葉柄の先に放射状タラノキ羽状複葉小葉がたくさんつく幹に鋭い棘がある※ 模式図(大きさは実際の比ではない)。
図3:ウコギ科の山菜3種の葉の違い(模式図)

見分け方のポイント

  • 葉:小葉しょうようは卵状楕円形らんじょうだえんけいで3枚。縁に短い芒状ぼうじょうの鋸歯きょしがある。
  • 冬芽ふゆめ:落葉後に枝先に残る。形が鷹の爪に似ていて、これが和名の由来とされる。
  • 花:5〜6月ごろ、黄緑色の小さな花が散形さんけいの花序かじょにつく。
  • 果実:液果えきかで、秋に紫黒色に熟す。
  • 黄葉こうよう:秋に鮮やかな黄色になる。
タカノツメの黄緑色の花序
タカノツメの花序(京都府舞鶴市、2023年4月)。黄緑色の小さな花が散形にまとまる。写真: iNaturalist 観察記録 by りなべる / CC BY 4.0, via iNaturalist(リサイズ・再圧縮のみ)
タカノツメの幹
タカノツメの幹(滋賀県大津市、2022年11月)。写真: iNaturalist 観察記録 by 岸本年郎 / CC BY 4.0, via iNaturalist(一部をトリミング、リサイズ・再圧縮)

若芽は山菜に、材は経木に

若芽わかめは山菜として食べられ、天ぷらやお浸しなどにする。ただし、山菜には、放射性物質による出荷制限しゅっかせいげんが続いている地域がある。自分で採る前に、自治体の情報を確認しておきたい。

材は年輪ねんりんがはっきりしないため、経木きょうぎ(薄い板)に使われてきた。

タカノツメの主な利用1若芽山菜として食べる2経木年輪が不明瞭な材3黄葉里山の秋を彩る
図4:タカノツメの主な利用

里山を黄色く染める黄葉

秋になると、3枚の小葉しょうようが黄色く色づく。3出複葉さんしゅつふくようは、枝先で見ると、小さな三つ葉の旗が並んだようだ。

タカノツメの黄葉
タカノツメの黄葉(京都府舞鶴市、2022年12月)。3枚の小葉が枝先で透けるように色づく。写真: iNaturalist 観察記録 by りなべる / CC BY 4.0, via iNaturalist(一部をトリミング、リサイズ・再圧縮)

近縁種との見分け方

  • コシアブラ:同じウコギ科の山菜。小葉しょうようの数が3枚か5枚かで区別できる。
  • タラノキ:幹に鋭い棘とげがあり、葉は羽状うじょうに小葉がつく。
  • ハリギリ:ウコギ科の高木。葉は大きく、掌状しょうじょうに切れ込む。
  • ミツバ:3枚の葉をつけるが、セリ科の草本。木のタカノツメとは別の科にあたる。

よくある質問

Q. コシアブラとの違いは?
小葉の数が決め手だ。タカノツメは3枚、コシアブラは5枚である。

Q. 唐辛子の鷹の爪と関係はある?
植物としては別物。どちらも、鷹の爪に似た形の見立てから名前がついている。

Q. 若芽わかめは食べられる?
山菜として食べられる。採る前に、地域の出荷制限しゅっかせいげんなどの情報を確認すること。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ハウスメーカーで住宅の構造を担当したのち、林業の世界へ。林業・木材・建築の3領域を横断する視点で、Forest Eight の記事を編集しています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次