結論先出し
- 2025年大阪・関西万博「大屋根リング」は周長約2km、内径615m、外径675m、幅30m、高さ約12m(スカイウォーク高さ20m)、建築面積61,035.55m²の世界最大級木造建築。2025年3月4日にギネス世界記録「最大の木造建築物(面積基準)」に認定。設計は藤本壮介建築設計事務所+アラップ+TIS&パートナーズ設計共同体。
- 使用木材は国産スギ・ヒノキ約7割(柱材50%が四国産ヒノキ、梁材全量が福島産スギ)、外国産オウシュウアカマツ3割。CLT(直交集成板)は上部床材に採用、四国産材を原料とする国内CLT工場で製造。総木材使用量は推計約2万m³規模。
- 工法は伝統的「貫接合(ぬき)」を現代化し、ボルト・引寄せ金物・プレカット精度管理と組み合わせ。施工は北東/北西/南西/南東/西の5工区で大林組・清水建設・竹中工務店・戸田建設・大成建設等のJVが分担。閉幕後の「残す解体」を前提とし、移築・再利用計画が進行中。事業費は建設費約344億円。
2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博のシンボルとして、夢洲会場中央に建つ「大屋根リング」(Grand Roof Ring)は、現代日本の中大規模木造建築技術を集約した記念碑的事例です。本稿では構造・材料・工法・経済規模・関連認証/制度を整理し、大規模木造プロジェクトを企画・運営する関係者にとって参考となる論点を抽出します。建築面積で東京ドーム(46,755m²)の約1.3倍、ローマ・コロッセオ(約24,000m²)の約2.5倍に相当し、円環状の単一連続構造物として比較対象を超える規模です。
クイックサマリ:基本データ
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪市此花区夢洲(万博会場中央環状) |
| 建築面積 | 61,035.55 m² |
| 内径/外径/幅/高さ | 615 m/675 m/30 m/12 m(屋上スカイウォーク部20 m) |
| 周長 | 約2 km |
| 木架構ユニット数 | 109基 |
| 主要木材 | 国産スギ・ヒノキ約7割(四国産ヒノキ・福島産スギ)、オウシュウアカマツ約3割 |
| CLT使用部位 | 上部床材(四国産ヒノキ・スギ製) |
| 主要工法 | 伝統「貫接合(ぬきせつごう)」+現代金物工法 |
| 施工JV | 北東:大林組、北西:清水建設、南西:竹中工務店、南東:戸田建設、西:大成建設等 |
| 設計 | 藤本壮介建築設計事務所+アラップ+TIS&パートナーズ設計共同体 |
| 事業主体 | 公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会 |
| 事業費 | 約344億円(建設費) |
| 着工/竣工 | 2023年6月(部分着工)/2025年3月末(実質竣工) |
| 認定 | ギネス世界記録「最大の木造建築物」(2025年3月4日認定) |
計画の背景と意匠コンセプト
万博の主会場である夢洲は、2018年の大阪府市の万博誘致決定を受け、急速に整備が進められた人工島です。会場全体のマスタープランは「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」をテーマに、藤本壮介氏のチームが2020年8月の基本計画案で「大屋根リング」を中心構造として提案しました。リングは単なる屋根ではなく、内側を「静の空間(Forest of Tranquility)」、外側を「動の空間(Sea of Wonders)」として境界を形成する装置であり、来場者は屋上スカイウォーク(高さ20m)から会場全景と大阪湾を一望できます。
建築意匠としては、「世界中の参加者が一つに集まる」というメッセージを円環で象徴化し、伝統的な木造建築の表現と現代の構造技術を融合させた、巨大なスケールでの和の建築言語の再解釈と位置づけられます。意匠デザインは藤本氏、構造設計はアラップ(Arup)東京事務所、構造アドバイザーにTIS&パートナーズ(金田勝徳氏ら)が参画し、グローバルとローカルの設計知見が統合されています。
構造の核心:「貫接合」の現代化
大屋根リングは、日本の神社仏閣建築に伝統的に用いられてきた「貫(ぬき)接合」を、現代の構造解析・接合金物・CADで再構成した工法を採用しています。貫接合は柱と梁を貫通する横材で水平力に抵抗する伝統工法で、清水寺・東大寺南大門・法隆寺等で1,000年以上の耐久実績を持ちます。柱に対して梁が直交方向に「貫通」することで、剛性とともに塑性変形による靭性も発揮し、大地震時に崩壊するのではなく粘り強く変形して耐えるという特徴を持ちます。
万博のリングでは、この基本原理を維持しつつ、以下の現代化が施されています。
- 第一に、貫接合部に高強度ボルト・引き寄せ金物(ホールダウン・ドリフトピン)を併用し、引抜き耐力を担保。
- 第二に、3次元構造解析(FEM)により応力集中を分散し、円環特有のねじれ・座屈に対応。
- 第三に、施工効率のためのプレカット精度をmm単位で管理し、109基の架構ユニットを工区横断で互換施工可能に。
- 第四に、屋根スパン部には積雪・風荷重に応じて部材断面を漸変させ、材料効率を最適化。
これにより、地震・台風・暴風の複合外力に対し、伝統工法のしなやかさと現代工法の精度を両立させた設計が実現されました。柱は最大断面660×660mm程度の集成材柱、梁は同等以上の集成材梁が採用され、組積(くみき)的な架構が109ユニット連続することで、リング全体としての剛性を確保しています。
使用した接合金物の総量は数千トン規模で、構造部材ごとに異なる規格金物を組み合わせるパッケージ設計が行われました。大林組の北東工区紹介では、事前にモックアップで組立・解体の実大実験を行い、「残す解体」を前提とした接合詳細を確立した経緯が報告されています。
使用木材の内訳:国産材7割・3割輸入材
大屋根リング全体の使用木材量は約2万m³規模と推計されます(公式公表数値の幅あり)。一般的な戸建住宅1棟あたりの構造材使用量を約20m³とすると、約1,000棟分に相当する木材を集中投下したことになります。内訳は以下の通り。
- 四国産ヒノキ(柱材約50%):愛媛・高知・徳島・香川県の集成材・無垢材。樹齢60〜80年級のヒノキ材を中心に、製材歩留まりとJAS強度等級D90相当を確保。
- 福島産スギ(梁材全量):東日本大震災復興の支援を兼ね、福島県会津・浜通り地域のスギ集成材を採用。同時に「復興×サステナビリティ」のメッセージング素材としての象徴性も担っています。
- 四国産CLT(上部床材):高知県の銘建工業ほかのCLT生産工場で製造、ラミナ厚30mm前後、3〜5層構成のCLTパネルを使用。
- オウシュウアカマツ(外国産、約3割):北欧産Pinus sylvestris L.の集成材・LVL。建材としての安定供給と価格抑制、強度等級の高さに寄与。
CLTの採用は、日本のCLT工法の中大規模建築への応用拡大の象徴とされています。床材は標準的なCLTパネルで、面内せん断力・面外曲げに対する剛性と耐火性能を発揮します。詳細はCLT記事(PEFC/SGEC認証関連)を参照。
森林認証材の調達:FSC・PEFC・SGEC
万博協会の調達基準では、木材調達においてFSC認証・PEFC/SGEC認証を含む適切な調達証明が要求されています。福島県産スギの集成材についてはFSCチェーン・オブ・カストディ(CoC)認証取得材が中心、四国産ヒノキ・スギについてはSGEC/PEFC認証材も含む構成となっており、サステナビリティ調達の象徴的事例として位置付けられています。
これは公的調達における認証材活用の好例で、今後の中大規模木造プロジェクト(公共施設・大規模商業施設・万博・五輪等)でも参照されるベンチマークとなります。FSC/PEFC/SGECの3スキームを並行運用することは、産地によって認証スキームが異なる日本の山林事情に即した現実解でもあり、「単一スキームへの統合」よりも「相互承認+複線運用」が大規模調達では合理的という設計思想を反映しています。
木材調達のサプライチェーン
2万m³規模の構造材を、JAS強度等級・含水率・寸法精度を満たす形で1〜2年に集中調達するには、製材所単独では困難で、原木供給→製材→乾燥→ラミナ製造→集成材/CLT製造→プレカットの各段階を複数事業者が分担するサプライチェーン構築が不可欠でした。福島県のスギ梁集成材については、地元素材生産業者・森林組合と県内集成材メーカーが組み、1年超かけて生産。四国のヒノキ柱材は、複数県の県有林・私有林からの原木を集約し、銘建工業ほかの集成材工場へ供給する枠組みで対応されました。
このようなサプライチェーンマネジメントの実証は、公共発注における国産材活用ガイドラインや、後続の中大規模木造プロジェクト(地方の市庁舎・体育館・大学キャンパス等)における調達設計の参照モデルとなっています。
関連する補助金・税制:木材利用促進の制度
大屋根リング自体は万博の施設整備事業として独立財源で建設されたため、特定の補助金スキームには直接該当しません。一方、同種の中大規模木造建築への適用が想定される主要制度を整理します。
| 制度名 | 所管 | 対象 | 補助率/上限 |
|---|---|---|---|
| サステナブル建築物等先導事業(木造先導型) | 国交省 | 先進的木造建築の設計・建設 | 1/2上限5億円程度 |
| グリーン建築物等推進事業 | 国交省 | ZEB・木造化建築物 | 事業種別で異なる |
| 地域型住宅グリーン化事業 | 国交省 | 地域工務店連携の中小規模木造 | 戸あたり最大140万円 |
| 木造公共建築物等の整備に向けた取組支援 | 林野庁 | 地方自治体の木造公共建築 | 1/2上限 |
| 木材産業・木造建築物連携強化対策 | 林野庁 | 地域材活用の木造建築 | 事業種別で異なる |
| 森林環境譲与税 | 総務省 | 市町村事業(公共施設木造化等) | 市町村に直接交付 |
公共木造建築の場合、複数制度の組み合わせ活用が一般的です。例えば、地方自治体が森林環境譲与税で公共施設を木造化する際、林野庁の「木造公共建築物等の整備に向けた取組支援」と組み合わせ、設計段階から「サステナブル建築物等先導事業」も検討するというパターンです。詳細は森林環境譲与税記事を参照。
カーボンストレージとライフサイクルCO2
木材1m³当たりのCO2固定量は概ね0.8〜0.9トンとされ、大屋根リングの2万m³規模では約1.6〜1.8万トンのCO2を木材中に貯留する計算となります。これは乗用車約4,000台分の年間CO2排出量、あるいは中規模オフィスビル1棟の建設時CO2排出量に相当する量です。
さらに重要な視点として、鉄筋コンクリート(RC)造で同規模の屋根を構築した場合、コンクリート・鉄筋の製造・輸送・施工に伴うCO2排出量は数万トン規模に達すると試算されており、木造化による「排出回避効果」と「貯留効果」の合計(substitution effect+storage effect)は、単純な木材中CO2の数倍のオーダーになる可能性があります。万博協会・各JVは、これらのライフサイクル評価(LCA)を公式データとして整備し、後続プロジェクトの参照値として公開する方針を示しています。
ただし、留意点として「残す解体」が成功した場合、貯留CO2は解体後の二次利用でも維持されますが、最終的にバイオマス燃料として燃焼利用すれば貯留は解放されます。それでも、木材は再生可能な森林資源から供給されるため、適切な持続可能林業(FSC/PEFC/SGEC等)と組み合わせれば、「炭素循環内で完結する建材」として位置付けられます。
「残す解体」とリユース計画
大屋根リングの最大の特徴の一つが、閉幕後を前提とした「残す解体」設計です。万博協会は2025年1月に大屋根リングのリユースについて公式発表し、以下の方針を示しました:
- 解体時に部材を破壊せずに回収できる接合詳細
- 移築・再活用に対応する構造ユニット化
- 移築候補先の公募
- 使用木材の最大限の二次利用
これは大規模建築の循環経済(Circular Economy)モデルとして注目され、日本のサーキュラー建築の参照事例となるべく開発・実証されました。木材は石油・金属と異なり、生分解性・再利用性・カーボン貯留性能を併せ持つ唯一の主要建材で、ここでの実証は今後の大規模木造の普及に大きな波及効果を持つと期待されます。
移築候補先としては、自治体の公共施設(屋根付き広場・道の駅・ホール等)、大学キャンパスのアトリウム、商業施設のシンボル屋根などが想定され、リング全体ではなく109基の架構ユニットを部分単位で配分する設計上の工夫が施されています。これにより、移築先の規模・予算に応じてフレキシブルに分配でき、結果としてリング由来の構造材が日本各地に分散してレガシーとして残る計画となっています。
施工プロセスと工程管理
5工区分担方式が採用された主因は、約2kmの円環を1社で施工した場合、工期24ヶ月以内に収めるのが極めて困難という工程上の制約でした。各JVが直線換算で約400m分のリングを担当し、並行施工で工期を圧縮。各工区での木材プレカット精度・接合金物仕様を完全に統一しつつ、現場での組立順序・仮設計画は各社の裁量で最適化するという、「規格は中央集権、施工は分散」のハイブリッド方式が機能しました。
工程上のクリティカルパスは木材生産(特に集成材・CLT)の供給で、2023年初頭から計画的にラミナ調達・乾燥・ラミネートを進め、2024年通年で本格的な架構材搬入が継続。架構の建て方は各工区とも約12ヶ月の集中施工期間で行われ、2025年3月末に5工区が連結された円環として実質竣工しました。風荷重・施工時の仮設計画では、円環の半分が完成した段階で発生する非対称荷重の評価が重要で、構造設計者と施工者が緊密に連携した工程調整が行われています。
耐久性・メンテナンスと長期使用の前提
屋外曝露される大規模木造の最大の技術課題は、耐久性とメンテナンス性です。大屋根リングでは、以下の設計対応が組み込まれています。第一に、構造材は集成材・CLTを中心に、表面は耐候性塗装・防蟻処理を施し、雨掛り部位の含水率上昇を抑制。第二に、屋根面は金属板葺きを基本として木材本体への直接の雨水暴露を最小化し、軒の出を十分に取って側面木材を保護。第三に、接合金物は亜鉛メッキ・ステンレス等の防錆仕様を選択し、海風塩害(夢洲は大阪湾岸立地)にも配慮。第四に、定期的な目視点検と、必要に応じた塗装更新・部分材交換が容易な接合詳細を採用。
木材の生物劣化(腐朽菌・シロアリ)対策は、設計時の含水率管理(19%以下)、雨水排水経路の確保、地盤面からの離隔(建築基準法施行令の要件以上)、防腐・防蟻処理材の使用などを多重に実施。これらは万博期間中(半年)の暴露には十分すぎる仕様ですが、解体・移築後の長期再利用も視野に入れた仕様設計となっており、これがリユース計画の信頼性を支える技術基盤です。
来場者体験としての建築価値
大屋根リングは単なる構造物ではなく、来場者の身体感覚に訴える建築体験そのものを提供します。地上階を歩くと、頭上に広がる連続する木組みの天井、両側を流れる柱列、外周に開かれた光と風が組み合わさり、独特のスケール感と素材感を体験できます。屋上スカイウォークに上がれば、会場全景・大阪湾・遠景の山並みが連続的に視界を流れ、約2kmの円環を歩きながら都市と自然のスケールを横断する体験が生まれます。
建築教育・建築観光の文脈でも、伝統工法を現代化した実例として、建築学生・設計者・建築愛好家の見学対象として高い価値を持ちます。万博期間中の来場者2,820万人想定の大半が、この空間を実体験することで、木造建築の可能性を肌で実感する機会となるという点で、PR効果としての社会的価値も大きいといえます。
建築・林業界への波及効果
大屋根リング建設が日本の林業・建築業界に与えた影響は多面的です。
- 大量の国産材調達実績:CLT・集成材の国内サプライチェーン強化を促進。中規模CLT工場の稼働率向上に貢献し、稼働率改善による単価低減も間接的に進行。
- 大規模木造の構造設計知見:構造解析・耐火設計・接合詳細・サプライチェーン管理の総合的ノウハウが蓄積。複数JVに分散したことで、多くの建設事業者が経験値を獲得。
- サステナビリティ調達の制度化:FSC/SGEC/PEFC材調達のガイドライン整備が進み、後続プロジェクトの参照例に。
- 「残す解体」ノウハウの蓄積:今後のサーキュラー建築設計の基礎資料に。プレカット精度・接合金物仕様の標準化で、解体・再組立の標準工法化が前進。
- 市民・観光客への木造建築訴求力:万博来場者数2,820万人想定の中で、木造の魅力的な空間体験が広く認知される機会に。
林業政策の観点では、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(2010年制定、2021年改正でCLT・中大規模木造を対象に拡張)が想定する利用拡大の象徴例となり、地方自治体・建築設計者・林業関係者の連携モデルとして繰り返し参照されることが期待されます。
国際比較:他のメガ木造プロジェクト
世界の中大規模木造で大屋根リングと比較される事例:
- Mjøstårnet(ノルウェー、85.4m、住宅・オフィス・ホテル、2019年竣工)
- Ascent MKE(ミルウォーキー、86.6m、集合住宅、2022年竣工、当時世界最高層木造)
- Sara Kulturhus(スウェーデン、80m、文化施設・ホテル、2021年竣工)
- Brock Commons Tallwood House(バンクーバー、53m、UBC学生寮、2017年竣工)
- 住友林業 W350(東京、構想中、350m)
- 大林組 Port Plus(横浜、44m、純木造オフィスビル、2022年竣工)
大屋根リングは「面積最大」のカテゴリで突出しており、高さ最大は他のプロジェクトに譲るものの、「世界最大の木造建築物(面積基準)」という認定でその規模感が示されています。詳細は PEFC/SGEC認証記事のCLT国際動向部分も参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 大屋根リングは万博閉幕後どうなりますか
A. 完全解体ではなく、部材を保存し、「残す解体」を実施します。一部は会場跡地での再利用、その他は移築候補先の公募により、公共施設・商業施設等への展開が検討されています。最終的な詳細は2025年〜2026年に確定される予定です。万博協会の2025年1月公開資料によれば、移築先の選定は公益性・実現可能性・木材保全条件などの観点から評価される方針です。
Q2. 工事費344億円は妥当ですか
A. 木造大規模建築の建築費は、一般的な鉄筋コンクリート造より高めとなる傾向ですが、サーキュラー設計の付加価値・カーボン貯留・地域材活用効果を含めれば、施設規模からは妥当な範囲と評価されています。当初予想250億円から上振れした主因は資材高騰・施工難度です。建築面積61,035m²で割ると単価は約56万円/m²となり、特殊木造として標準的な範囲に収まっています。
Q3. 木造建築の防火・耐火基準はクリアしていますか
A. 大屋根リングは仮設建築物としての特例適用+構造的な防火対策で対応。屋外無屋根構造のため、住宅・オフィスとは異なる適用基準でしたが、消防法・建築基準法の関連条項はクリアしています。木材自体の燃焼速度が遅い特性(炭化層形成)と、避難動線の十分な確保、消火設備の配備により、火災時のリスクは管理されています。
Q4. リング屋上のスカイウォークはいつまで利用できますか
A. 万博開催期間(2025年4月13日〜10月13日)に来場者が利用可能。閉幕後は移築・解体に伴い利用停止となります。スカイウォーク自体は周長約2kmで、徒歩で1周すると約30〜40分かかる規模です。
Q5. 国産材使用による経済波及効果は
A. 四国・福島の集成材・CLT工場稼働率向上、設計・施工事業者の人材育成、地域材ブランディング向上等で、数百億円規模の波及効果と試算されます。林野庁の「木材利用拡大施設整備事業」の好例と評価できます。森林組合の素材生産活動にも波及し、間伐材の利用拡大・林業従事者の雇用安定にも寄与しています。
Q6. 設計者の藤本壮介氏について教えてください
A. 藤本壮介(1971年北海道生まれ)は、Serpentine Pavilion(ロンドン、2013年)、House N(大分、2008年)、Lホテル白井(青森、2018年)、White Tree(モンペリエ、2019年)等で国際的に評価される建築家。藤本壮介建築設計事務所は東京・パリに事務所を構え、開放性・透明性・自然との連続性を主題とする作品群で知られます。大屋根リングは同氏の代表作の一つに位置付けられ、「リングという最も普遍的な幾何学」と「日本の伝統工法の現代化」を融合させたコンセプトとして発表されました。
Q7. 雨天や台風時の構造的安全性はどう確保されていますか
A. 構造設計では、想定される暴風(最大瞬間風速50m/s級)・地震(震度6強相当)・積雪荷重に対する複合外力評価が行われ、貫接合+現代金物の併用により余裕のある安全率を確保しています。施工中も、台風シーズンには未完成部の仮固定計画を実施。来場者がスカイウォークを利用する際も、強風時には部分閉鎖等の運用基準が定められています。

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