新ダイワ(Shindaiwa)のチェンソーは、いま何機種あるのか。公式の製品ページを数えると、エンジン式が52型式、電動式が3型式でした。本体の種類で数えれば20機種。そこにバーの長さ違いが枝分かれしています。
新ダイワは単独の会社ではありません。2008年に共立と経営統合して生まれた株式会社やまびこのブランドの1つです。本稿は、そのラインアップを排気量で整理し、やまびこの有価証券報告書から「このブランドは誰に向けて作られているのか」を読みます。結論を先に言うと、作っている会社の売上の6割はアメリカ大陸です。
新ダイワとやまびこ:2つの会社が1つになるまで
やまびこの成り立ちは、農林水産省が公表した事業再構築計画に経緯が書かれています。
- 2008年12月1日:株式会社共立と新ダイワ工業株式会社が、共同株式移転で持株会社「株式会社やまびこ」を設立(同日、東証一部に上場)
- 2009年10月1日:やまびこが共立と新ダイワ工業を吸収合併し、事業会社へ
- 2012年3月:米国子会社のエコー・インコーポレイテッド(ECHO)が新ダイワ・インコーポレイテッドを吸収合併
- 2022年4月:東証の市場再編でプライム市場へ
統合の理由について、同計画は世界経済の急速な悪化と円高を挙げ、両社に共通の「小型エンジンを搭載した屋外作業機械事業」を中核に据えて経営資源を一元化するとしています。会社は1つになりましたが、共立・新ダイワ・ECHOのブランド名は残りました。共立の歴史は共立チェンソーの記事で扱っています。
現行のチェンソー:排気量で5つのクラス
型式が一番多いのは38〜45ccのクラスで、E2038SR、E3043SP、E1145SP、E3045Sなど9機種が並びます。
- 25〜27cc:E2125TS、E2125S、E1427S。最も小さな排気量の帯です(小型機の一種であるトップハンドル機はアーボリスト用チェーンソーの記事で扱っています)。
- 34〜36cc:E2235S、EA2034、SSE3401など。ラインアップで最も安い機種(EA2034)を含む帯です。
- 50cc:E2048S、E2050DS、E2050GDS。
- 73cc:E757RC。ラインアップで最大の排気量です。
型式名に「G」が付く機種(E3043GSP、E2050GDSなど)は、同じ排気量の別仕様です。仕様の違いは製品ページの各機種の説明で確認してください。
価格は排気量では決まらない
公式の比較表には、型式ごとの希望小売価格が載っています。本体ごとに並べると、面白いことが分かります。
排気量50.2ccの3機種を見てください。E2048Sは12.4万円から、E2050DSは20.1万円から、E2050GDSは21.5万円から。同じ排気量で1.7倍以上の差があります。41.6ccでも、EA2040は5.3万円、E3041-ECは9.5万円です。
つまり、価格の差は排気量(≒パワー)ではなく、それ以外の仕様から生まれています。どの仕様にいくら差があるのかは、比較表だけでは分かりません。カタログの排気量だけを見て「同じクラスなのに高い」と判断する前に、各機種の詳細ページで質量や装備を見比べてください。
ラインアップの両端も特徴的です。最安は34.4ccのEA2034で4.1万円から。最高は73.5ccのE757RCで、超硬チップ付きのソーチェーンを組み合わせて40万円を超えます。
チェンソーは新ダイワの「一部門」
新ダイワの製品ページを開くと、チェンソーの隣に溶接機、発電機、投光機、エンジンカッター、高圧洗浄機が並んでいます。新ダイワブランドは、建設・産業の現場で使う機械を広く扱うブランドです。農林・緑地管理機械にも刈払機、ブロワ、薪割機などがあります。
やまびこの事業の柱は「小型屋外作業機械」で、2025年12月期の売上高1,740億円のうち1,320億円を占めます。チェンソーや刈払機はここに入ります。残りは農業用管理機械(241億円)と、溶接機・発電機などの一般産業用機械(156億円)です。
作っている会社の売上の6割は米州
やまびこの売上を地域で分けると、国内445億円、米州1,064億円、その他海外232億円。米州が61%で、国内は26%にすぎません。米国の子会社ECHOは、イリノイ州に生産設備を持っています。国内の生産拠点は、広島(北広島町)、岩手(滝沢市)、横須賀の3事業所です。
新ダイワのチェンソーを日本の林業機械として見ると、この数字は少し意外かもしれません。ただ、開発と生産の規模は世界市場が支え、国内には複数のブランドで届ける。統合で選んだのはそういう形でした。国内の林業従事者が使う機械の多くは、北米の庭の需要に支えられた開発・生産体制の上にあります。
選ぶときに確認したいこと
- 排気量とバー長:切る木の太さで決まります。公式ページはバー長ごとに型式が分かれています。
- 質量と振動値:製品ページの比較表には質量が載っていません。各機種の詳細ページや取扱説明書で確認してください。振動値は、1日に使える時間の上限計算に使います(保護具と振動の上限の記事)。
- 販売店:やまびこの国内販売は、2021年に国内販売会社7社が合併して発足した「やまびこジャパン」が担っています。
公表資料では確認できなかったこと
- 新ダイワ工業の創業年と創業の経緯:やまびこの公開資料・有価証券報告書の沿革は2008年の統合以降で、統合前の新ダイワ工業の創業年は確認できませんでした。旧版の「1962年創業」は削除しました。
- チェンソー単独の売上や世界シェア:有価証券報告書はチェンソー単独の売上を開示していません。「世界第3勢力」といった順位も、公表資料では確認できません。
- 旧版で紹介した機種:E1041S、E2041S、E2070Sなどは現行の公式製品ページに掲載がなく、旧版の重量・価格の表とあわせて削除しました。
出典
- やまびこ「新ダイワ 製品情報 チェンソー」ページ(2026年10月28日閲覧)
- 農林水産省「変更後の認定事業再構築計画の内容の公表」(株式会社やまびこ・株式会社共立・新ダイワ工業株式会社、平成21年9月15日)PDF
- 株式会社やまびこ 有価証券報告書(2025年12月期)、沿革(EDINET)

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