結論先出し
- 共立(KIORITZ)は1947年(昭和22年)創業の老舗農林機械メーカー。1956年に世界で初めて2サイクル肩掛け式刈払機を商品化した刈払機の生みの親であり、1963年からチェーンソー製造に参入、1972年には米国に ECHO Incorporated を設立して北米市場を切り拓いた。
- 2008年に新ダイワ工業と経営統合し株式会社やまびことして再編。現在は 共立(国内)/新ダイワ(国内)/ECHO(海外)の3ブランドで世界展開し、グループ売上は約1,500億円規模、海外売上比率は約7割を占める。
- チェーンソーは GOGOシリーズ/トップハンドル/オールラウンド/プロ/ルートカッターの5系統。中堅 CS362、中型プロ CS501S、大径木プロ CS621S が国内林業現場の標準的選択肢で、軽量・低振動・国内ディーラー網が選定の決め手になる。
共立(KIORITZ)は、戦後日本の機械工業を象徴する農林機械メーカーの一つです。「世界初の刈払機を作った会社」として知られ、その後チェーンソー・ブロワ・噴霧機など携帯型動力機械の領域で技術を蓄積してきました。本稿では、創業沿革、刈払機開発、北米ECHOの誕生、チェーンソー主力機種、やまびこ統合、現代のグループ位置づけまでを、出典つきで整理します。
クイックサマリ:企業データ
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社やまびこ(YAMABIKO Corporation、東証プライム 6250) |
| 創業 | 1947年(昭和22年)/株式会社共立として東京で発足 |
| 本社 | 東京都青梅市末広町1-7-2 |
| 主要工場 | 岩手県滝沢市、米国イリノイ州レイクザリッヒ(ECHO本社)、中国上海、ブラジル |
| 2008年経営統合 | 株式会社共立+新ダイワ工業=株式会社やまびこ |
| 展開ブランド | 共立(KIORITZ/国内)、新ダイワ(Shindaiwa/国内・海外)、ECHO(海外向け) |
| 主力製品 | チェーンソー、刈払機、ブロワ、ヘッジトリマ、噴霧機、防除機 |
| 連結売上(2023年) | 約1,500億円規模/海外売上比率約7割(北米中心) |
| 世界展開 | 北米・欧州・アジア・南米・オセアニア |
創業沿革:噴霧機メーカーから始まった共立
共立の出自は、戦後復興期の農薬散布機械にあります。1947年(昭和22年)、東京・大田区で創業した株式会社共立は、当初背負式の噴霧機(手押しポンプ式・動力式)を主力とし、戦後の食糧増産政策に伴う水稲・野菜の防除需要を取り込みました。1950年代の農村電化以前は、人力ポンプの背負噴霧機が果樹園・水田防除の主力で、共立はこの分野で国内シェアを確立していきます。
1956年には2サイクルエンジンを搭載した動力刈払機を商品化。これが世界の刈払機産業の起点となります(後述)。1960年代に入ると、日本の植林ブーム(戦後造林)と高度経済成長期の建設・造園需要を背景に、チェーンソー・ブロワ・ヘッジトリマなど携帯型動力機械の製品ラインを矢継ぎ早に拡大しました。
戦後植林ブームと国産チェーンソー需要
戦後の拡大造林政策(1950〜1970年代)では、スギ・ヒノキを中心に約1,000万ヘクタールの人工林が造成されました。この施業を支えるため、国産チェーンソー・刈払機の需要が爆発的に拡大し、共立は1963年(昭和38年)に初の国産チェーンソーを市場投入。当時主流だった輸入機(カナダ・米国製)に比べ軽量・コンパクトで、日本人作業者の体格・地形条件に適合した設計が支持を集めました。
1960年代後半には、林野庁の機械化補助事業を通じて森林組合・国有林事業所への納入実績を積み上げ、国産チェーンソーブランドとしての地位を確立。「軽量=安全」を国内市場の評価軸にした素地は、この時期の共立機が作ったといえます。
世界初の肩掛け式刈払機(1956年)
共立の歴史で最も特筆すべきマイルストーンは、1956年に世界で初めて2サイクルエンジン搭載の肩掛け式刈払機を商品化したことです。それまでの草刈り作業は、鎌・大鎌・ロータリーモア(牽引式)が中心で、傾斜地・畔畦・林縁といった機械化困難な場所は完全な手作業に頼っていました。
共立の刈払機は、2サイクル小型エンジン+シャフト+金属刈刃という現代刈払機の基本構造を確立。肩掛けバンドで携行し、両手ハンドルで操作する形式は、その後60年以上にわたり世界の標準形式となりました。STIHL(ドイツ)、Husqvarna(スウェーデン)、Echo(米国)など海外勢が参入する以前から、共立は刈払機分野で世界の先駆者だったのです。
刈払機開発の意義と業界への波及
| 年 | 出来事 | 業界への影響 |
|---|---|---|
| 1956 | 共立、肩掛け式刈払機を世界初商品化 | 機械化困難地の人力作業を一変 |
| 1960年代前半 | 国内農協・林業組合向け普及拡大 | 畔畦・林縁の管理工数を約1/5に短縮 |
| 1968〜1972 | STIHL、Husqvarnaが追随参入 | 欧州勢の刈払機市場参入 |
| 1972 | 共立、ECHO Inc.設立で北米進出 | 北米刈払機市場の創出 |
| 1980年代 | 背負式・両手ハンドル式の派生展開 | 用途別最適化が進展 |
| 2000年代以降 | 4サイクル・電動・バッテリー化 | 環境規制・住宅地利用に対応 |
日本産業機械工業会の業種別統計によれば、現在も日本は刈払機の主要生産国の一つで、共立・新ダイワ(やまびこ)、ゼノア(Husqvarnaグループ)、丸山製作所、本田技研工業(HONDA)などが世界市場に供給しています。
ECHO Incorporated 設立と北米進出(1972年)
1970年代に入ると、共立は海外展開を本格化させます。1972年(昭和47年)、米国イリノイ州ノースブルック(現レイクザリッヒ)に ECHO Incorporated を設立。北米向けブランドとして「ECHO」を立ち上げ、刈払機・チェーンソー・ブロワを中心に販売網を整備しました。
ECHOは独立系電動工具・園芸機械の販売チャネル(IDC:Independent Dealer Channel)に強みを持ち、米国全土で約8,000店舗、カナダで約700店舗の直販ディーラー網を構築。STIHL、Husqvarnaに次ぐ北米第3位の商業用屋外動力機器(OPE:Outdoor Power Equipment)ブランドとして定着しました。
北米進出の戦略的背景
1970年代初頭の米国屋外動力機器市場はMcCulloch・Homelite・Pioneer・Stihl米国法人などが乱立し、日本メーカーが直接参入する余地は乏しい状況でした。共立は「新興ブランドを米国で立ち上げ、独立系専門ディーラーチャネル(IDC)に深く食い込む」戦略で、現地生産・現地サービス体制を組み合わせて参入障壁を超えました。
ECHOが切り拓いた北米市場
| 項目 | ECHO Incorporated |
|---|---|
| 設立 | 1972年(共立の100%子会社として) |
| 本社所在地 | 米国イリノイ州レイクザリッヒ |
| 主要市場 | 米国、カナダ、メキシコ、中南米 |
| 主要販売チャネル | 独立系専門ディーラー約8,000店、Home Depot等 |
| 主要競合 | STIHL、Husqvarna、Toro、Stanley Black & Decker系 |
| 主要製品 | 刈払機、チェーンソー、ブロワ、トリマー、噴霧機 |
| 北米シェア(OPE業務用) | 第3位グループ(推定10〜15%) |
ECHOの強みは「商業landscaper(造園業者)向け業務用機の信頼性」です。米国の造園業(landscaping)市場は年間約1,000億ドル規模(IBISWorld推計)で、職業ランドスケーパーが日々利用する刈払機・ブロワでECHOブランドは高い評価を得ています。Home Depot等の量販店でもプロ用ラインが扱われ、量販と専門店の両チャネルでバランスよくシェアを保っています。
共立チェーンソー:開発の系譜
共立のチェーンソーは1963年の初号機以来、軽量・小型・国内地形最適化という一貫した思想で進化してきました。1980年代には電子点火・低振動設計の導入、1990〜2000年代にはマグネシウム合金クランクケース、2000年代後半には階層化制御スターター、2010年代にはストラット燃焼室・電子燃料噴射などの技術を順次採用しています。
| 時期 | 主要技術トピック | 実装機種の例 |
|---|---|---|
| 1960年代 | 20〜30 cc小型機、磁石点火 | 初号機シリーズ |
| 1980年代 | 電子点火、低振動マウント | CS-260、CS-350等 |
| 1990年代 | マグネシウム合金クランクケース、軽量化追求 | CS-3500、CS-4500等 |
| 2000年代 | i-30スターター、HDエアフィルター | CS-352、CS-450 |
| 2010年代 | 層状掃気2サイクル、ストラットシリンダ | CS362、CS501S |
| 2020年代 | 56V/eFORCEバッテリー、業務用電動拡張 | ECHO eFORCE CCS-58V等 |
同時期のSTIHL/Husqvarnaは、電子燃料噴射(M-Tronic/AutoTune)、コンピュータ制御点火、ハイブリッドプラットフォーム等の先進機能で先行しましたが、共立は「故障率の低い枯れた技術を、現場の感覚に合うよう最適化する」という日本的アプローチで対抗。修理性・可搬性・部品入手性を含めたトータルコストで国内ユーザーの信頼を維持してきました。
共立チェーンソーの5分類
| 分類 | 主要対象 | 主要モデル例 |
|---|---|---|
| GOGOシリーズ(小型) | 家庭用、薪づくり | CS2511T、CS292 |
| トップハンドルソー(樹上専用) | 樹木医、アーボリスト | CS2511T、CS3010 |
| オールラウンドソー(汎用) | 農業・園芸・準プロ | CS362、CS400 |
| プロソー(プロ用) | 林業伐倒・玉切り | CS501S、CS621S、CS720 |
| ルートカッター | 根切り・特殊作業 | RM-410 |
CS362:中堅プロ用
| 仕様 | 値 |
|---|---|
| 排気量 | 35.8 cc |
| 出力 | 1.7 kW |
| 重量 | 4.0 kg |
| 標準ガイドバー | 30〜35 cm |
| 主用途 | 準プロ、薪木、農業 |
| 価格目安 | 5〜7万円 |
CS501S・CS621S・CS720:プロ機種
| 機種 | 排気量 | 出力 | 重量 | 主用途 |
|---|---|---|---|---|
| CS501S | 50 cc | 2.6 kW | 4.7 kg | 中径木全般 |
| CS621S | 62 cc | 3.6 kW | 5.7 kg | 大径木 |
| CS720 | 72 cc | 4.5 kW | 6.4 kg | 大径木・特殊 |
CS501Sはプロ林業の主力中型機として、STIHL MS261・Husqvarna 545に対応する位置付け。価格は12〜15万円程度(2026年時点目安)でやや手頃な価格設定が国内市場で評価されています。CS621Sは胸高直径40cm前後の大径木伐倒に対応し、東北・北海道のスギ造林地での標準機の一つです。
共立独自技術
i-30スターター(始動ロス低減)
引きひも式始動の負荷を低減する独自機構で、初期巻き上げ時の重さが約30%軽減。寒冷地・始動失敗からの再始動でのストレスを大幅低減します。寒冷期にエンジンが冷え切った状態で複数回引き直す現場では、肩・前腕の負担軽減効果が体感的に大きく、長時間作業の疲労を抑えます。
軽量化設計
共立チェーンソーの伝統的アイデンティティが「軽量」。同等出力のSTIHL・Husqvarna機より0.2〜0.5 kg軽い設計が多く、日本人作業者の体格・連続使用での疲労低減に有利です。マグネシウム合金クランクケースの採用、樹脂部材の最適配置、チェーン張り機構の簡素化など、複数の積み重ねで実現されています。
独自エアフィルター(HD仕様)
HD(Heavy Duty)エアフィルター搭載モデルでは、長期メンテナンス間隔を実現。プロ用途での燃費・耐久性に貢献します。粉塵の多い間伐・造材現場では、プレフィルター+メインフィルターの二段構成で清掃頻度を大幅に下げられます。
低振動設計
振動制御スプリング・ダンパーを多段配置し、振動病(白蝋病/レイノー症候群)リスク低減に寄与。Husqvarna LowVibに対抗する独自技術として展開され、ISO 22867準拠の振動値(前ハンドル/後ハンドル)が公開されています。
ストラタチャージドエンジン(層状掃気)
2サイクルエンジンの掃気時に未燃ガスを大気に逃さないため、新気とのあいだに「層」を形成する技術。HC(炭化水素)排出量を約7割削減しつつ、燃費を約2割改善します。米国EPA Phase 3、EU Stage Vの厳格な排ガス規制への適合の鍵となる技術で、ECHO/共立/新ダイワの新世代2サイクル機の標準仕様です。
新ダイワとの経営統合とやまびこ発足(2008年)
2000年代に入り、世界の屋外動力機器市場はSTIHL(独)、Husqvarna(瑞)の二強体制と、Stanley Black & Decker・MTD系米国勢の電動化攻勢の挟み撃ちにあい、業界再編が加速しました。
こうしたなか、2008年(平成20年)10月、日本の老舗2社である株式会社共立と新ダイワ工業株式会社が経営統合し、株式会社やまびこが発足。両社の補完性を活かした資源集約により、開発・購買・生産・販売の効率化が一気に進みました。
統合の背景と効果
| 観点 | 統合前(共立/新ダイワ) | 統合後(やまびこ) |
|---|---|---|
| 主要市場 | 共立:国内農林+ECHOで北米/新ダイワ:国内農林+業務用エンジン発電機 | 3ブランドで全世界カバー、北米はECHO中心 |
| 研究開発 | 2社で重複投資 | 共通プラットフォーム化で効率化 |
| 生産 | 岩手・国内中心 | 岩手+米国+中国+ブラジルの4拠点最適配分 |
| 販売チャネル | 国内ディーラー網が部分的に重複 | 地域・用途別に再編、共倒れ回避 |
| 連結売上 | 各社500〜700億円規模 | 1,500億円規模に拡大、海外比率約7割 |
統合直後は「共立」「新ダイワ」の2ブランドを国内で並列展開しつつ、機種ラインの共通化(同一プラットフォームで意匠とブランド名のみ差別化)が段階的に進められました。林業機械・園芸機械の主要機種は、現在も共立/新ダイワで筐体カラーとロゴ以外の差は限定的で、販売チャネル選択の自由度が国内ユーザーの実利になっています。
国内市場のポジション
日本国内のチェーンソー市場は、概略以下のシェア構成と推定されます(業界推計・販売店ヒアリング集計)。
| ブランド | シェア目安 | 主要強み |
|---|---|---|
| STIHL(スチール) | 30〜35% | プロ用ハイエンド、技術先進性 |
| Husqvarna・ゼノア | 25〜30% | 軽量・防振、北欧伝統 |
| 共立・新ダイワ(やまびこ) | 20〜25% | 国産、軽量、価格適正 |
| マキタ・HiKOKI | 10〜15% | バッテリー機、建設業向け |
| その他 | 5% | — |
共立・新ダイワ合計で国内市場の20〜25%を占め、欧州勢に伍する位置付けです。岩手・青森・北海道・四国・九州など地域林業現場では、地域ディーラー網と修理対応の強みから根強い支持があります。森林組合の標準採用機の一つとなっている地域も多く、入札・補助事業の機種選定でも候補に挙がりやすい存在です。
有価証券報告書から読む現代のやまびこ
株式会社やまびこ(東証プライム 6250)は、上場企業として有価証券報告書・統合報告書を公表しており、共立ブランドの位置づけを定量的に追えます。連結ベースの近年の傾向は次のとおりです。
| 指標 | 近年の水準(概算) | 共立ブランドへの含意 |
|---|---|---|
| 連結売上高 | 1,400〜1,600億円規模 | 国内農林機械専業メーカーでは上位 |
| 海外売上比率 | 約7割 | ECHOブランドが牽引、共立は国内軸足 |
| 地域別売上構成 | 北米5割超/日本2割/欧州・アジア他2割 | 北米市場の景況感が業績に直結 |
| 主要セグメント | 小型屋外作業機(OPE)、農業機械、産業機械 | 共立は主にOPE・農業機械に集中 |
| 研究開発費比率 | 売上の数%水準 | 3ブランド共通プラットフォームで効率化 |
グループの屋台骨は北米ECHOが支え、共立は国内ユーザーのサポートに集中する分業が進んでいます。「共立=国内の信頼維持/ECHO=海外の成長エンジン」という分担は今後も続くと見られます。
国内ディーラー網と修理対応
共立の最大の強みは、全国的な販売・修理ディーラー網です。農業機械総合店、林業機械専門店、ホームセンター系列等を含めて全国数千店舗で取扱・修理対応が可能です。地方林業の現場では、修理対応の早さ・部品供給の安定性が機種選定の決定的要因となるため、ディーラー網の厚さは重要なメリットです。
森林組合・素材生産業者にとっては「1日の停止時間がそのまま売上ロスに直結する」ため、半日以内に修理または代替機を確保できる体制があるかは死活問題。共立/新ダイワは、農機・林機の総合ディーラーを軸に部品在庫を厚くしており、特に岩手工場直送の純正部品供給が早い点は、現場で繰り返し評価されてきたポイントです。
樹上作業向けトップハンドルソー
樹木医・アーボリストの樹上作業(剪定・特殊伐採)向けには、片手操作可能なトップハンドルソーが必要です。共立の代表機種:
| 機種 | 排気量 | 重量 | 用途 |
|---|---|---|---|
| CS2511T | 25.4 cc | 2.4 kg | 樹上小径枝 |
| CS3010 | 30.1 cc | 3.0 kg | 樹上中径枝 |
樹上作業の安全のため、片手操作チェーンソーは「アーボリスト等のロープ作業特別教育」修了が必須です。詳細はE27予定記事(樹上伐採)参照。CS2511Tはクラス最軽量級2.4 kgで、ロープアクセス時の腰道具負担を抑える点で人気があります。
バッテリーチェーンソーと電動化対応
共立はバッテリーチェーンソー市場にも参入していますが、STIHL・Husqvarnaに比べてラインナップは限定的。マキタ・HiKOKI(建設業向け)と競合する形で、農業・林業向けバッテリー機を展開しています。
北米ECHOブランドでは 56V/eFORCEシリーズとして、刈払機・ブロワ・トリマー・チェーンソーを統一バッテリープラットフォームで展開し、商業ランドスケーパー向け電動化を推進しています。日本国内市場でも、住宅地・公園での騒音規制強化、自治体の排ガス機更新需要を背景に、今後数年で電動・ハイブリッドの比重が拡大する見込みです。
ECHO・新ダイワとの違い
3ブランドの基本的な使い分け:
- 共立(KIORITZ):国内市場、農林業全般、伝統ブランド。販売チャネルは農機ディーラー・林機専門店中心。
- 新ダイワ(Shindaiwa):国内市場、共立と並列ブランド。建機系・建設リース・産業機械チャネルにも強い。
- ECHO(エコー):海外市場(特に北米)、世界市場対応設計。商業ランドスケーパー向けに振った業務用ライン構成。
3ブランドは生産工場・基幹部品を共通化しつつ、市場別・販売チャネル別に商品ラインを最適化する戦略です。共立CS501Sと同等クラスの北米向け機種は、ECHO CS-501P/CS-590等として販売されます。
環境・規制対応
共立はEU Stage V・米国EPA Phase 3・カリフォルニアCARB Tier 3など、主要排ガス規制に対応。2サイクルエンジンの最適化と層状掃気・触媒排ガス浄化技術の組み合わせで、低排ガス・低燃費の継続的改善を実施しています。
EUDR(EU森林破壊フリー規則)の2025〜2026年本格運用に向けて、海外向けECHOブランドではFSC/PEFC認証木材使用機械の取り扱いと、サプライチェーン透明性に関するデューデリジェンス体制の強化が進められています。
カリフォルニア州では2024年以降、新規販売の小型携帯エンジン式OPE(チェーンソーを除く一部)に対しゼロエミッション要件が段階導入され、ECHOは56V eFORCE系で対応。日本国内でも環境省・林野庁の補助事業で電動機械が補助対象になるケースが増えており、今後の市場形成のドライバとなります。
歴史年表(拡張版)
| 年 | マイルストーン |
|---|---|
| 1947 | 株式会社共立設立、噴霧機製造開始 |
| 1956 | 世界初の2サイクル肩掛け式刈払機を発売 |
| 1963 | 初の国産チェーンソーを発売(戦後植林ブームに対応) |
| 1971 | 共立工業株式会社設立(後の岩手工場の母体) |
| 1972 | 米国ECHO Inc.設立、北米市場進出開始 |
| 1980年代 | 軽量チェーンソー・低振動設計で国内シェア拡大 |
| 1990〜2000年代 | 排ガス規制対応、海外OEM・ブラジル・中国生産拡大 |
| 2008 | 新ダイワ工業と経営統合、株式会社やまびこ発足(東証一部上場) |
| 2010年代 | バッテリー機・電動工具市場参入、ECHO eFORCE展開 |
| 2020年代 | EUDR対応、層状掃気2サイクル+電動の二本柱で持続可能性強化 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 共立と新ダイワ、どちらを選ぶべきですか
A. 機種・販売チャネル・地域ディーラー次第で、「親しみのある販売店があるかどうか」が現実的な判断軸となります。製品仕様・性能はほぼ同等です。価格・キャンペーンは時期により異なるため、最寄りディーラーの見積もりで比較してください。
Q2. 共立はSTIHL・Husqvarnaに比べて性能が劣りますか
A. 同等出力クラスでは、性能はほぼ同等。共立の強みは軽量・国内サポート、欧州勢の強みは技術先進性・最大級プロ機ラインアップ。1日8時間以上のプロ使用では、好み・地域性・修理対応で選ぶのが現実的です。胸高直径50cm超の超大径木では、STIHL MS500i等の電子燃料噴射機も視野に入ります。
Q3. 共立CS501Sは林業初心者でも使えますか
A. プロ用機種ですが、操作は標準的。伐木業務特別教育(前E01記事参照)を受講した上で、最初は小径木から徐々にステップアップすることを推奨します。重量4.7 kgは中型機としては平均的で、扱いに慣れれば1日中の連続作業にも耐えます。
Q4. ECHOブランドを国内で買えますか
A. 海外向けブランドのため、国内では基本的に取り扱われていません。海外旅行時の購入や並行輸入は、保証・修理対応の制約があるため推奨されません。共立・新ダイワブランドが国内向けの選択肢となります。仕様の互換性が高いため、国内向け同等機を選べば困ることはほぼありません。
Q5. 中古共立機の入手は可能ですか
A. 国内中古市場で広く流通しています。機種・年式・状態を確認し、できればディーラー経由(整備済み)で購入することを推奨します。プロソーは個体差が大きく、整備履歴のない個体は燃料系・点火系・チェーン駆動部のオーバーホールを前提に予算を組みましょう。
Q6. 「世界初の刈払機」というのは本当ですか
A. 共立は1956年に2サイクル肩掛け式刈払機を商品化し、これが現在の刈払機の基本形式の起点となったとされます。やまびこ公式の沿革および国内農業機械史の文献で記述されており、業界内では広く認知されています。
Q7. やまびこ株(6250)は買い時ですか
A. 本記事は投資助言ではありません。財務情報は東京証券取引所のIR資料・有価証券報告書をご確認ください。

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