結論先出し(要点)
- 真庭市役所(岡山県真庭市、2017年3月開庁)は、地域材活用とCLTを前面に押し出した日本の自治体庁舎建築の代表例。延床約8,490 m²、地上2階建て、CLT・大断面集成材・鉄筋コンクリートのハイブリッド構造で、構造材の木材使用率は約9割(地域産材ベース)。
- 銘建工業(真庭市目木)は、2016年に日本初の本格量産CLT工場を稼働させ、年産約3万 m³規模を整備。真庭市役所はその出口として地域内サプライチェーンを実証した(出典:銘建工業・林野庁CLT普及推進)。
- 真庭ローカルバイオマス構想(真庭バイオマス発電所10,000 kW、2015年運転開始)と連動し、製材端材→ペレット・チップ→発電→売電収益→森林整備という循環を構築。CO₂削減・電力地産地消・林業所得向上・観光客年間60万人超の多面的成果を生んだ。
真庭市役所は、岡山県北部の山あいに立つ「木のまちのシンボル庁舎」です。設計・監理は佐藤総合計画、施工は鹿島建設・荒木組・大本組JV、CLTパネルは地元銘建工業が供給しました。本記事では、真庭の林業背景、CLTの構造詳細、銘建工業のCLT工場、真庭ローカルバイオマス構想、観光・経済波及、世界からの評価、そして残された課題までを、数字と一次情報源で総点検します。
真庭は、「林業の町」「バイオマスの町」「CLTの聖地」のいずれを切り口にしても、日本の中で別格の濃度を持つ場所です。市役所はその知見の結節点として、訪れる人に「森林資源を建築・エネルギー・所得・教育に同時に変換する技術と政策のセット」を一望させてくれます。本稿は、初学者には全体像の地図として、専門家には数値・固有名詞・出典を辿るリファレンスとして使えるよう、長めの構成にしています。
真庭市と林業の現状
真庭市は岡山県北部、面積828.43 km²と県内最大の自治体で、人口は約4.2万人(2026年現在)。市域の約79%(約654 km²)が森林で、そのうち約60%が人工林です。中心樹種は真庭杉(マニワスギ)と真庭ヒノキで、樹齢50〜70年の伐期を迎えた資源が豊富にあります。
素材生産量は年間約16万 m³(岡山県全体の約4割を占める県内随一の林産地)で、製材所・プレカット工場・集成材工場・CLT工場・木質バイオマス発電所が半径10 km圏に集積する「木材コンビナート」を形成しています。製材出荷額は約180億円、林業・木材産業の関連雇用は市内就業者の約7%に達します(出典:真庭市産業振興部、岡山県林政課)。
真庭市は「木のまち真庭」を標榜し、2018年に環境省「SDGs未来都市」、2019年に「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。これらの取り組みの可視化された建築的シンボルが、真庭市役所新庁舎です。
- 真庭市公式サイト(産業振興部 林業・バイオマス産業課)
- 岡山県林政課 森林・林業統計
- 林野庁 CLT建築物の普及推進
建築計画の経緯:合併と新庁舎構想
真庭市は2005年3月、9町村(旧勝山町・落合町・湯原町・久世町・美甘村・川上村・八束村・中和村・北房町)が合併して誕生しました。合併後しばらくは旧勝山町役場を仮本庁舎として使用していましたが、施設の老朽化、分散庁舎による行政効率の低下、防災拠点機能の不足、職員執務環境の悪化など、課題が積み上がっていました。
新庁舎建設の検討が本格化したのは2010年代前半。市は「市民協働・木のまち真庭の象徴・耐震防災拠点・地域経済波及」の4本柱を整理し、市議会・市民ワークショップを重ねて基本構想をまとめました。設計者は2014年のプロポーザルで佐藤総合計画(東京)が選定され、地元設計事務所がローカルパートナーとして参画。施工は2015年に鹿島建設・荒木組・大本組JVが落札し、約2年間の工事を経て2017年3月に開庁しました。
建築工事費は約53億円で、うち木材関連費用は約5.4億円(CLT・集成材・木製建具・木質内装等)、その大半が地域内に還流する設計とされました。設計監理においては、「目に触れる木は全て真庭産」を合言葉に、ラミナ品質管理から最終仕上げまでを地域企業中心のチームで進めた点も特筆されます。
建築の構造詳細:CLT・集成材・RCのハイブリッド
真庭市役所の構造は、1階:鉄筋コンクリート造(耐震・耐火コア)/2階:CLTパネル+大断面集成材ラーメン構造というハイブリッドです。1階RC部分が地震時水平力の主要部を負担し、2階の木造部分が軽量化により基礎・1階への負担を抑える、合理的な役割分担になっています。
CLTパネル使用量は約402 m³、大断面集成材は約1,665 m³、合計の構造用木材は約2,067 m³。これは樹齢50年の杉約4,500本分に相当し、炭素貯留量に換算すると約1,800 t-CO₂(木材1 m³ ≒ 0.9 t-CO₂で換算、林野庁係数)。同規模RC庁舎と比較した建設時のCO₂排出削減と合わせると、合計約3,000 t-CO₂相当の気候貢献と試算されています。
CLTパネルは銘建工業製で、最大寸法は幅3 m × 長さ12 m × 厚230 mm。スギ・ヒノキの異樹種混合ラミナを5層直交させた構成で、JAS規格Mx60-3-5(曲げ強度等級60、3層5層)相当を確保しています。燃えしろ設計(45分準耐火)と石膏ボード被覆を組み合わせ、内装制限適合の上で意匠的に木の表しを最大化しています。
意匠面では、低層に抑えた「水平に伸びる屋根」と外周の格子状木製ルーバーが特徴で、夏期の日射遮蔽と冬期の採光を両立。エントランスホールには樹齢180年級の真庭ヒノキの一本柱(直径約60 cm)が象徴的に立ち、市民の写真スポットになっています。
空間構成と意匠:木と光の市民ホール
1階のメインアクセスは、車寄せ庇から続く広いエントランスホールに直結します。床は地元産ヒノキの縁甲板、壁・天井はルーバー状に組まれた真庭杉で、視界に入る木材面積は1階公共部だけで約1,200 m²に達します。窓口・市民ホール・多目的室は連続させ、間仕切りはガラスとカーテンウォールで透過性を確保。災害時にはホールを第二指令室・避難者受入スペースとして転用できる可動家具計画になっています。
2階の議場・委員会室・市長室・執務室は、南面の大きな格子ルーバー越しに自然光を取り込み、夏期の直射日射は約65%カットしつつ冬期の昼光は積極的に導入します。議場は54席の市民傍聴席を備え、議員席・執行部席との距離を従来より縮め、市民との対話性を高める配置です。天井に表される大断面集成材の登り梁(最大スパン約16 m)は、CLT壁との一体化で水平剛性も担う構造美となっています。
銘建工業:日本初の本格CLT量産工場
真庭市役所のCLTを供給した銘建工業株式会社(本社:真庭市目木)は、1923年創業の集成材メーカー。2016年4月、日本初の本格量産CLT工場(真庭工場)を稼働させ、後に年産約3万 m³規模まで拡張。これは2026年時点で国内シェア約50%に相当し、銘建工業を抜きに日本のCLT普及は語れません。
CLT製造ラインの主要設備は、長さ12 m級のフィンガージョイントプレス、3 m × 12 m対応の真空プレス機、5軸CNC加工機。JAS認証「直交集成板の製造」第1号を2014年に取得しています。原料となるラミナは、銘建工業の関連会社や地域協同組合から調達される真庭杉・檜が中心で、原木調達半径は概ね50 km圏内に収まっています。
銘建工業はCLT以外にも、大断面集成材(オーストリア式プレス)、木質ペレット(年産約8万 t、国内最大級)、そして後述の真庭バイオマス発電所の運営にも参画する複合木材企業です。製造端材→ペレット・チップ→発電・熱利用というカスケード利用を体現しています。
真庭ローカルバイオマス構想
真庭ローカルバイオマス構想は、2003年に策定された「真庭市バイオマスタウン構想」を起点に、2015年4月の真庭バイオマス発電所運転開始で本格稼働した、地域循環型エネルギー・産業政策です。中核となるのは以下の3要素です。
① 真庭バイオマス発電所:出力10,000 kW、年間発電量約7,920万 kWh(一般家庭約2.2万世帯分)、年間燃料消費約14.8万 t(チップ等)。運営は真庭バイオマス発電株式会社(銘建工業・市内製材所・真庭市等の出資)。FIT制度を活用し、年間売電収入は約23億円規模と公表されています。
② 燃料サプライチェーン:未利用材(林地残材)約3割、製材端材約5割、その他建廃等約2割で構成。製材端材1 m³あたり約1万円の市場価格がつき、従来は廃棄処分されていた残材が地域所得に変換されました。これは林業所得の約15〜20%押し上げ効果と試算されます。
③ 木質ペレット工場:銘建工業のペレット工場(年産約8万 t)は、家庭用ストーブ燃料および産業熱源として全国流通。真庭市役所の暖房もペレットボイラー+空調ハイブリッドで、化石燃料依存を大幅に低減しています。
関連事業:ペレット工場・チップサプライヤー・熱供給
真庭ローカルバイオマスは、発電所単体ではなく多層的な事業群として成立しています。銘建工業ペレット工場(年産約8万 t)は国内最大級で、家庭用木質ペレットストーブの普及に貢献。市内および岡山県内の公共施設約30か所、農業用ハウス、学校、温泉施設に出荷されています。1 tあたりの卸売価格は概ね3万〜4万円で、灯油換算で同等以上の経済性を確保しています。
燃料チップを安定供給するのが真庭バイオマス集積基地(市内)で、年間取扱量は約14万〜15万 t。ここで山林からの未利用材、製材所端材、剪定枝、建廃木材などが集約・破砕・乾燥されて発電所と熱利用施設に出荷されます。木材価格指標は林家向けに「1 t=約3,000〜4,500円(チップ用、立木)」で公表され、収入の予見性が確保されています。
市内の温水プール、温泉施設、農業ハウスでは木質バイオマスボイラーによる熱供給が広がり、年間約3,000 t規模のCO₂削減と試算されます。市役所自体も、空調系統の一部に地中熱ヒートポンプ+ペレットボイラー併用を導入し、年間電気・燃料コストを従来仕様比で約25%低減しています。
CLT工法の構造設計と耐震性能
CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)は、ラミナ(製材板)を繊維方向が直交するように奇数層重ねて接着した大判パネルです。面内剛性・面外剛性ともに高く、壁・床・屋根として「面材構造」を成立させます。真庭市役所2階では、CLT壁パネルが地震時の水平力の主要部を負担する耐力壁として配置されています。
真庭市役所の構造設計では、限界耐力計算法により稀地震時(震度5強相当)で層間変形角1/200以下、極稀地震時(震度6強〜7相当)で1/100以下かつ崩壊しない性能を確認。CLTパネル接合部には専用Uプレート+ラグスクリュー、垂直接合部には引きボルト+ホールダウンが用いられ、「降伏は接合部で受け、CLT本体は弾性に留める」という塑性ヒンジ設計の思想が貫かれています。
また、CLTは密度約450 kg/m³とコンクリート(約2,400 kg/m³)の約1/5の軽量であり、地震時の慣性力が小さくなるため、基礎・1階RC部の負担軽減にも貢献。これは庁舎のBCP(事業継続計画)拠点としての耐震信頼性を高めています。
CLTパネル接合部とディテール設計
CLTを構造として成立させる肝は接合部です。真庭市役所では、CLT壁同士の垂直接合に半重ね釘打ち+鋼板挿入式、CLT壁と床の接合にL字Uプレート+ラグスクリュー、引抜抵抗が必要な箇所にHD(ホールダウン金物)+全ねじボルトを組み合わせています。この設計は、地震時に金物が延性的に降伏し、CLT本体は弾性に留まる「金物降伏型のラーメン的ディテール」を意図したものです。
大断面集成材の柱梁接合部には、SE構法系の引きボルト+ドリフトピン併用が採用され、最大引張力で1接合点あたり約120 kN級の支持耐力を確保。床はCLTパネル+構造用合板+制振フェルト+木仕上げの積層で、遮音性能LL-50相当を達成しています。これは庁舎での会議・電話応対・議事録作成に必要十分な性能です。
真庭ブランドの確立と観光・産業観光
真庭市役所はそれ自体が無料の観光スポットです。市は「バイオマスツアー真庭」を2006年から運営し、市役所→銘建工業CLT工場→真庭バイオマス発電所→製材所→ペレット工場を半日で回るルートを提供しています。2026年現在の年間ツアー参加者は約4,800人、視察対応を含めた関連観光客は年間約60万人に達しています。
視察者の内訳は、国内自治体・議会関係(約40%)、民間建築・林業関係(約30%)、教育機関(約15%)、海外(約15%)。海外からは欧州(ドイツ、オーストリア、スウェーデン)、北米(カナダ、米国)、アジア(韓国、中国、台湾)からの来訪が常時あります。視察者向け有料コース(1人2,000円〜)もあり、視察関連収入は年間約3,000万円規模に成長しました。
また、真庭市は「真庭あぐりガーデン」「勝山町並み保存地区」「神庭の滝」等の既存観光資源と組み合わせ、木造建築・温泉・里山食を掛け合わせた滞在型観光を展開しています。
世界に認められた真庭モデル:国際的評価
真庭市の取り組みは、海外メディア・国際機関でも高く評価されています。代表例として:
- CNN Business(2019年特集):日本の循環型林業モデルの先進例として、真庭バイオマス発電所と銘建工業を取材。
- Forbes Japan(2020年):「SDGs先進都市」として真庭市を特集、首長インタビュー掲載。
- OECD(2021年地方創生レポート):日本の中山間地域における循環経済モデルとして真庭を引用。
- UNFCCC COP(複数回):自治体スマートウッドポリシーの事例として日本政府が紹介。
- FAO(国連食糧農業機関):林業×エネルギー×建築のSDGs統合事例として技術交流対象に指定。
銘建工業のCLTは、2017年から本格的に輸出を開始。主要輸出先は中国(上海・深圳の高層複合ビル向け)、台湾、シンガポール、フィリピン、米国西海岸(ホテル・学校)で、2025年度の輸出量は約3,500 m³(CLT全生産量の約12%)に達したと公表されています。日本の木材輸出のうち付加価値の高いCLT・集成材分野では、銘建工業が国内首位級です。
経済効果と地域所得への波及
真庭市役所+真庭ローカルバイオマスの一連の取り組みによる地域経済効果は、市の試算で累計1,000億円規模と公表されています。内訳の代表値は次の通りです。
- 建設・改修工事の地域発注:庁舎建設だけで地元・県内発注比率約60%、関連設備・改修を含めると数百億円規模。
- 木材販売・加工の付加価値:素材生産16万 m³/年、製材・CLT・集成材の出荷額合計で年間約180億円。
- 売電収入と固定資産税:真庭バイオマス発電所単体で年23億円規模の売電収入、市への固定資産税納付も継続。
- 視察・観光・関連消費:年間60万人の観光・視察客の市内消費は約30億〜40億円規模と推定。
- 雇用:林業・木材産業・発電・観光関連で市内雇用約1,500人、関連間接雇用を含めると2,000人を超える。
特筆すべきは、従来は廃棄物として処分されていた林地残材・端材が「有価物」に転換したことで、林家1戸あたりの年間素材販売収入が平均15〜20%増加した点です。これは「外部支援に頼らない構造的な所得改善」として、林業政策の見本とされています。
行政・市民の評価と運用実績
開庁から約9年が経過した時点で、市民・職員アンケートでは「木の香り・温かみ」「議会傍聴のしやすさ」「災害時の安心感」が高評価項目です。直近の市民満足度調査では新庁舎の総合満足度が約82%と公表されています(真庭市市民協働課調査)。
運用面では、年間維持管理費は約1.2億円(建築・設備合計)、うち木材部分の特別補修費は年平均約400万円と、想定範囲内に収まっています。外装ルーバーの塗装更新(5〜7年周期)、内装木部のワックス塗布(年1回)といった計画保全が予算化済みで、長期的にも持続可能な運用がなされています。
周辺の木造建築:真庭学園・湯原温泉・勝山ほか
真庭市役所と並ぶ周辺の代表的木造・木質建築は以下の通りです。
- 真庭高等学校(旧真庭学園)木造校舎群:地域材を多用、生徒の学習環境として国内屈指。
- 湯原温泉エリアの木造旅館・公衆浴場「砂湯」周辺:CLT・集成材を用いた改修事例多数。
- 勝山町並み保存地区:江戸〜明治期の伝統木造商家群。重伝建ではないが「のれんの町」として観光ブランド化。
- 真庭あぐりガーデン:CLT・集成材を用いた農産品販売・飲食複合施設。
- 蒜山高原の木造リゾート施設群:建築家・隈研吾による「GREENable HIRUZEN」(2021年)。CLT外装・木質サイディングが特徴。
課題と今後の展望
真庭モデルにも課題は残っています。第一に、FIT価格の段階的引き下げ(24円→今後は約13円/kWh水準へ)に伴うバイオマス発電の収益性低下リスク。第二に、原木供給の持続性──素材生産量の維持には植栽・保育・路網整備への継続投資が不可欠で、森林経営計画の更新と高性能林業機械の導入加速が課題です。第三に、CLTの国内需要の伸び悩み。供給能力が需要を上回る局面があり、輸出強化と用途開拓(中高層、土木、橋梁等)が必要です。
真庭市は「真庭SDGs未来都市計画(第2期、2024〜2028)」で、森林由来CO₂吸収量の見える化、J-クレジット創出、企業との森林整備パートナーシップを掲げ、次のフェーズに踏み出しています。建築・エネルギー・林業・観光が一体化した「真庭モデル2.0」の動向は、引き続き全国・世界の注目を集めるでしょう。
さらに、カーボンクレジット市場との接続も新局面です。J-クレジットに加え、森林CO₂吸収量の自治体オフセット販売や、都市部企業との「森のパートナーシップ協定」を通じた長期資金導入が始まっています。気候資本市場と地方林業を直接つなぐ動きは、「林業×ファイナンス」の新しい教科書として研究対象にもなっています。建築主・設計者・自治体・林業者・金融が一体で動く真庭モデルは、世界が探している「気候適応型地方経済」のリアルなサンプルとして、これからも進化を続けるはずです。
FAQ:よくある質問
Q1. 真庭市役所は誰でも見学できますか?
A. 平日の開庁時間は誰でも自由に1階エントランスホール・市民ホールを見学できます。詳細解説付きの「バイオマスツアー真庭」は事前予約制(公式サイトから申込)。CLT工場・バイオマス発電所も組み込んだコースは半日〜1日で、料金は1人2,000〜5,000円程度です。
Q2. 真庭市役所のCLT使用量は?
A. CLT単体で約402 m³、大断面集成材を含めた構造用木材は約2,067 m³です。地域材使用率は約90%で、樹齢50年杉・ヒノキの真庭産材が中心です。
Q3. 銘建工業のCLT工場の規模は?
A. 真庭工場は2016年4月稼働の日本初本格CLT量産工場で、現在の年産能力は約3万 m³。国内シェアは約50%で、3 m × 12 m級の大判パネル製造が可能です。
Q4. 真庭バイオマス発電所のスペックは?
A. 出力10,000 kW、年間発電量約7,920万 kWh(一般家庭約2.2万世帯分)、年間燃料消費約14.8万 t。2015年4月運転開始で、運営は真庭バイオマス発電株式会社です。
Q5. 木造庁舎は本当に地震に強いですか?
A. 適切な設計で十分な耐震性が確保できます。CLTの軽量性(RC比約1/5)が地震慣性力を抑え、限界耐力計算で稀地震時1/200以下、極稀地震時1/100以下を確認済み。1階RC+2階木造のハイブリッドにより、災害時のBCP拠点としても機能します。
Q6. CLT建築は普通の木造に比べてコスト高ですか?
A. 同規模RC庁舎と比べて建築コストは0〜10%程度高いのが一般的ですが、地域経済波及・象徴性・SDGs対応・観光収入を含めた総合評価では十分に競争力ある選択です。真庭市役所の場合、視察関連経済効果と林業所得増を含めると数年で投資差額を回収したと市は試算しています。
Q7. 真庭モデルを他自治体が真似できますか?
A. 真庭モデルの本質は「半径50 km圏に森林・製材・CLT・発電・建築需要が揃う集積」にあり、完全コピーは難しい一方、(1) 既存林産集積地の強化、(2) 地域材公共建築の連鎖発注、(3) 残材エネルギー化、(4) ツーリズム化の4要素は他地域でも応用可能です。長野県塩尻市、宮崎県諸塚村、岩手県住田町等で類似展開が進行中です。
Q8. 木材輸出はどれくらい伸びていますか?
A. 銘建工業のCLT輸出は2025年度約3,500 m³(生産量の約12%)。中国上海・深圳の高層複合ビル、台湾の学校、米国西海岸のホテル等が主要納入先です。日本のCLT・集成材輸出全体は2020年以降年率2桁成長しており、銘建工業は牽引役のひとつです。
Q9. CLTの長期耐久性は大丈夫ですか?
A. 適切な雨仕舞い・防腐処理・定期メンテナンスにより100年以上の使用が可能とされます。真庭市役所は開庁9年時点で構造的劣化は確認されておらず、年平均400万円程度の計画保全で良好な状態を維持しています。海外のCLT建築(オーストリアの古い事例で築20〜30年)でも、構造的問題はほぼ報告されていません。
Q10. 海外の有名CLT建築と比べた真庭市役所の位置づけは?
A. Sara Kulturhus(スウェーデン、20階木造)、HoHo Wien(オーストリア、24階)、Mjøstårnet(ノルウェー、18階)といった超高層に対し、真庭市役所は2階建中規模ハイブリッドの先駆例として、「地域材・地域産業との一体性」でユニークな位置を占めます。日本のCLT建築普及の起爆剤として、世界のCLT建築リストに必ず登場する代表事例です。
- 真庭市公式サイト
- 銘建工業株式会社
- 林野庁 CLT建築物の普及推進
- 真庭バイオマス発電株式会社
- 岡山県森林・林業統計
- 真庭SDGs未来都市計画(第2期、2024〜2028)

コメント