林業の現場で「クローラダンプ」「キャリアダンプ」と呼ばれる、キャタピラで走る運搬車。作業道の資材運搬、砕石の投入、間伐材の搬出に使われます。最大積載量1トン以上のものを運転するには、不整地運搬車運転技能講習の修了証が必要です。緑の雇用ではフォレストワーカー2年目に置かれることが多い資格です。
1トンで資格が分かれる
不整地運搬車とは、不整地を走行して荷を運ぶための車両のこと。クローラ式のクローラキャリア、ホイール式のホイールキャリアが代表例です。最大積載量1トン以上なら技能講習(労働安全衛生法第61条の就業制限業務)、1トン未満なら特別教育で足ります。
ここで混乱しやすいのが、フォワーダとの関係です。フォワーダも不整地を走って荷を運びますが、法令上は走行集材機械という別の区分にあり、必要なのは走行集材機械の運転の業務に係る特別教育です。
分かれ目は何を運ぶために作られた機械か。原木等の集材のために作られていればフォワーダ(走行集材機械)、汎用の荷物運搬車なら不整地運搬車。実務では、同じ現場に両方が入っていることも珍しくありません。機械ごとに必要な資格が違うので、事業体としては両方を持たせておくのが無難です。
35時間の中身と、大幅な短縮
全科目を受講すると学科11時間+実技24時間=35時間。うち20時間が走行の操作で、これは車両系建設機械の技能講習とまったく同じ配分です。不整地を走る車両の危険は、やはり走行にあります。
ただし、この35時間をまるごと受ける人はほとんどいません。免除規定が広いためです。登録教習機関のコース区分では、たとえば次のようになっています。
| 受講資格 | 時間の目安 |
|---|---|
| 大型特殊自動車免許保有者/車両系建設機械運転技能講習修了者/普通〜大型免許+3か月以上の関連運転経験 | 11時間・2日 |
| 小型車両系建設機械の特別教育修了後6か月以上の運転経験/最大積載量1トン未満の不整地運搬車の特別教育修了後6か月以上の経験 | 15時間・2〜3日 |
時間数は教習機関によって差があるので、申し込む前に自分の修了証・免許証を持って確認してください。受講料は2〜5万円が目安です。
学科の「荷の運搬に関する知識」4時間では、荷の積み方と荷崩れの防止を扱います。重心を低く、前後左右に偏らせない。積みすぎない。傾斜地で積むときは下り側に荷重が寄らないようにする。当たり前のことばかりですが、これを守らないから横転します。
林業で使うときの注意点
不整地運搬車の災害でもっとも多いのは転倒・転落です。林業の現場では、次の条件が重なります。
- 作業道の幅が狭い――待避所以外では方向転換できない。バックで長距離を戻る場面がある
- 路肩が弱い――盛土側の路肩は締固めが甘く、荷を積んだ状態で乗ると崩れる
- 雨で路面が変わる――前日走れた道が翌日は走れない。毎朝の路面確認が要る
- 荷が動く――丸太や砕石は走行中に移動する。急制動で前方へ寄れば重心が変わる
また、荷台に人を乗せてはいけません。作業員の移動に荷台を使うのは、林業の現場で長く行われてきた慣行ですが、明確な違反であり、転落による死亡災害の典型的な原因です。
そして後進時の接触。誘導者を配置し、機械側は誘導者が見えなくなったら止まる。単純ですが、少人数の現場では誘導者を置かない判断がされがちです。
あわせて取っておきたい資格
不整地運搬車の技能講習は、免除の連鎖という点でも価値があります。この修了証があると、車両系建設機械(整地等)運転技能講習で走行装置の知識と走行操作が免除されます。逆もまた同様で、どちらかを先に取れば、もう一方が短くなる。
大型特殊自動車免許を先に取っておけば、両方の講習が最短コースになります。緑の雇用に入る前の準備として、これほど費用対効果の高い投資はありません。
また、荷役に関連してはい作業従事者に対する安全衛生教育も緑の雇用のカリキュラムに含まれます。「はい」とは倉庫や土場に積み上げた荷の山のこと。丸太を段積みするときの崩壊防止は、林業の土場でそのまま必要になる知識です。
地味だが、いちばん使う機械
ハーベスタやタワーヤーダのような花形の機械と違い、クローラダンプは地味です。しかし現場で稼働している時間は、おそらくいちばん長い。資材を運び、砕石を入れ、丸太を出し、道具を運ぶ。止まっている時間がない機械ほど、慣れが事故を呼びます。
35時間(あるいは11時間)の講習で伝えられるのは、結局のところ「積みすぎない」「路肩に寄らない」「人を乗せない」という三つです。修了証を取ったあと、その三つを何年守り続けられるかが本番になります。

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