高性能林業機械16,431台|10年で2.3倍、ただし数え方が途中で変わっている

機械は2.3倍に数え方も変わった

高性能林業機械の保有台数は、令和6年度で16,431台。10年前の7,089台から2.3倍。見出しにそのまま使える数字だ。ただ、この表の端には小さな注記がついていて、読むとだいたい肩の力が抜ける。

16,431台。ただし令和4年度から数え方が変わっている全国の保有台数の推移(台、平成7年度〜令和6年度)09,00018,000H7H12H17H22H267,089R211,273R4R616,431令和3年度まで(同じ数え方)令和4年度(フォワーダの数え方を拡大)令和5年度〜(調査様式の簡素化で回答者が増加)
図1:出典:林野庁「高性能林業機械の保有状況」表1(令和6年度まで)。H=平成、R=令和。令和4年度から「フォワーダ」にグラップルローダを搭載していない機種を含め、令和5年度調査から調査様式を簡素化した結果、前年度までは回答のなかった林業経営体からも回答があった(同表の注)。令和3年度以前の「その他の高性能林業機械」には「フォーク収納型グラップルバケット」が含まれる。
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2.3倍のうち、機械が増えた分はいくつか

林野庁の表1には、数え方が3回変わった跡がある。

  • 令和3年度:「フォーク収納型グラップルバケット」が、「その他」から独立した行になった。行の組み替えで、合計は変わらない(令和6年度は3,927台)。
  • 令和4年度:フォワーダの台数に、グラップルローダを搭載していない機種も入るようになった。
  • 令和5年度:調査様式を簡素化した結果、前年度まで回答のなかった林業経営体からも回答があった。

町の人口を数えるのに、途中から住民票のない人も数えはじめたようなものだ。町は急に賑わって見える。引っ越してきた人がどれだけで、数え直しがどれだけなのかは、表からは分けられない。年間の増加は、令和3年度の+418台から、令和4年度に+1,328台、令和5年度に+2,465台と跳ねた。

数え方が同じ平成26年度→令和3年度なら、7,089台→11,273台で1.6倍。2.3倍は、この1.6倍に数え方の上乗せが載った数字と考えるのが妥当だろう。

数え方が同じ期間で比べると、車両系の圧勝だった

伸びたのは、ハーベスタ(+47%)、フォワーダ(+46%)、プロセッサ(+34%)。林内を走って集める車両系だ。ワイヤーで集めるスイングヤーダは+18%、タワーヤーダは144台から143台でほぼ横ばい、引きずって集めるスキッダは131台から98台へ25%減った。

車両系は5割近く増え、架線系は伸びず、スキッダは減った機種別の保有台数の増減率(平成26年度→令和3年度、数え方が同じ期間)ハーベスタ1,357→1,999台+47%フォワーダ1,957→2,863台+46%プロセッサ1,671→2,239台+34%スイングヤーダ950→1,120台+18%タワーヤーダ144→143台−0.7%スキッダ131→98台−25%
図2:出典:林野庁「高性能林業機械の保有状況」表1。平成26年度と令和3年度は機種ごとの数え方が同じ(令和4年度のフォワーダの定義拡大・令和5年度の調査様式の変更の前)。増減率は編集部の計算。全体では7,089台→11,273台(1.6倍)。

ワイヤー集材の「架線系」(スイングヤーダとタワーヤーダ)は、合計で1,094台から1,263台と15%の増加にとどまる。

ワイヤー系が伸びなかった理由は、効率と「人の体」

編集部の見方はこうだ。ワイヤー系は、車両系ほど作業効率が高くなかった。しかも、林内で働く人の肉体的な負担が大きかった。台数と因果を直接結んだ資料は確認できていないが、公表資料の記述とは食い違わない。

  • 効率:令和2年度の白書は、一般に車両系は架線系より生産性が高いとしている。急峻な地形では架線系が適した地域もある、とも書く。
  • 体:林野庁の資料は、従来の集材機による架線集材を、急斜面を横に歩いてフックを運ぶ「危険な重労働」が伴うと書く。機械が集めてくれるのは荷掛けの先までで、そこまでフックを運ぶのは人の足である。
  • 台数:同じ資料の平成12年度→24年度で、集材機は43%減、タワーヤーダは25%減、スイングヤーダは約6倍。タワーヤーダは路網の不足・価格・直引力の不足が、スイングヤーダは「バックホウと兼用できる」「架設・撤収が容易」が理由に挙がる。

なお、旧来のウインチ式の集材機は、この記事の台数表には含まれない。「重労働」の記述は集材機のものだ。負担を減らす機器(無人で荷掛けできる搬器、ラジコン式の荷外しフックなど)も出ているが、荷外しフックは重く、荷掛け者の労働強度がかえって増す場合があると資料は注意している。負担を減らす道具が、別の負担を連れてくることもある。

いま何が、誰の手にあるのか

令和6年度はフォワーダが5,186台で最多。所有者別では、会社が11,646台(70.9%)、森林組合が3,833台(23.3%)、個人は560台(3.4%)だ。機械を持つのは、ほぼ会社と組合である。

フォワーダが最多。持ち主の7割は会社令和6年度の保有台数16,431台の内訳機種別(台)フォワーダ5,186台フォーク収納型GB3,927台プロセッサ2,348台ハーベスタ2,272台スイングヤーダ1,151台フェラーバンチャ672台その他613台タワーヤーダ156台スキッダ106台所有者別(台)会社11,646台(70.9%)森林組合3,833台(23.3%)個人560台(3.4%)その他392台(2.4%)
図3:出典:林野庁「高性能林業機械の保有状況」表1・表4(令和6年度)。「フォーク収納型GB」はフォーク収納型グラップルバケット(フェリングヘッド付きを含む)。所有者別の「その他」は支援センター、研究機関、地方公共団体、学校、その他の合計。台数は、林業経営体が自分で使うために当該年度中に保有した機械で、所有・借入・リース・レンタルを問わない。

台数が増えて、生産性は上がったのか

令和5年の会社経営体の1人・1日当たり素材生産量は、平均8.1m³。林野庁は令和12年度までに、主伐で11m³、間伐で8m³にする目標を置く(令和7年度白書)。機械が増えたことと、この数字の動きを直接結んだ公表資料は、今回確認できていない。台数は数えられている。成果のほうは、まだ数えきれていない。生産性の読み方は林業の労働生産性の記事に、林業重機については林業重機の記事にある。

公表資料では確認できなかったこと

  • ワイヤー系と車両系を、同じ条件で比べた全国の生産性。白書は「一般に車両系が高い」と書くが、数値は確認できなかった。
  • 台数の増加のうち、数え方の変更による分。表の注から変更の存在は分かるが、台数には直せない。
  • 国産機と北欧製の保有比率、メーカー別の台数。林野庁の表は機種別・都道府県別・所有者別で、メーカー別は出ていない。
  • 以前の版にあった「素材生産の8割が機械化作業」「投資回収4〜7年」「班は5〜8名」は、出典が確認できないため載せていない。

台数は、数え方を変えれば2.3倍にも1.6倍にもなる。表の隅の注記を読むのは、面倒だが、元が取れる。

出典・参考

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この記事を書いた人

ハウスメーカーで住宅の構造を担当したのち、林業の世界へ。林業・木材・建築の3領域を横断する視点で、Forest Eight の記事を編集しています。

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