木材供給量8,500万m³|用材需要の構造変化30年史

木材供給量8,500万m³ | 木と暮らす - Forest Eight

日本の木材供給量は2024年に約8,500万m³で、1996年のピーク約1億1,000万m³から長期的に縮小傾向にあります。30年で概ね2,500万m³(22%)の縮小は、住宅着工戸数の半減(1990年170万戸→2024年70万戸前後)と紙パルプ需要の構造変化に対応した需要側の構造変化の帰結です。一方、国産材自給率は2002年の18.2%底値から2024年の42.4%へと2.3倍に拡大し、国産材の量的な復権が進みました。本稿では木材供給量8,500万m³の用途別構成(製材・合板・パルプ・燃料材)、30年史の推移、需要側ドライバーの変化、燃料材急増(450万→1,300万m³、3倍)という新潮流、国産材自給率の構造的変化、CLT・LVL等の高付加価値新需要、輸入材ポートフォリオの多様化までを、林野庁「木材需給表」「森林・林業白書」データに基づき構造的に整理します。

この記事の要点

  • 木材供給量8,500万m³(2024)。1996年ピーク1.1億m³から22%縮小。
  • 用材需要1996年9,800万m³→2024年7,200万m³(26%減)。
  • 燃料材:450万m³→1,300万m³(約3倍)。FIT制度で急成長。
  • 国産材自給率:2002年18.2%底値→2024年42.4%(2.3倍)。
  • 製材用材:4割減、住宅着工減で大幅縮小。
  • 合板用材:3倍、国産合板の急成長。
  • パルプ用材:3割減、紙のデジタル化で。
  • 住宅着工:1990年170万戸→2024年70万戸前後(半減以下)。
供給量 8,500 万m³(2024) 1996年比 22%減 用材+燃料材 国産自給率 42.4% 2024年 2002年比 2.3倍 燃料材 1,300 万m³(2024) 2014年比 3倍 FIT制度で急成長 住宅着工 70 万戸(2024) 1990年170万戸 半減以下
図1:木材供給の主要諸元(出典:林野庁「木材需給表」、国土交通省住宅着工統計)
目次

クイックサマリー:木材供給量の基本数値

指標 数値 出典・備考
木材供給量2024 約8,500万m³ 用材+燃料材含む
ピーク値(1996) 約1億1,000万m³ 戦後最大
30年の縮小幅 約2,500万m³ 22%減
用材需要2024 約7,200万m³ 1996年比26%減
燃料材2024 約1,300万m³ 2014年比約3倍
住宅着工戸数1990 170万戸 国交省
住宅着工戸数2024 70万戸前後 国交省推計
製材用材の縮小 約4割減 1990年比
合板用材の拡大 約3倍 1990年比
パルプ用材の縮小 約3割減 1990年比
紙・板紙生産量 約2,300万t 2024年・電子化で漸減
国産材自給率2002 18.2% 底値
国産材自給率2024 42.4% 2.3倍に拡大
輸入材2024 約4,900万m³ 北米・欧州・東南ア・他
国産材2024 約3,600万m³ 用材+燃料材

木材供給量の30年推移

日本の木材供給量は1996年の1億1,000万m³をピークに、長期的な縮小トレンドに入りました。1996年は住宅着工戸数が160万戸前後、紙・板紙生産量が3,000万tを超え、用材需要が戦後最大となった時期です。その後、1997年の消費税増税、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年のコロナ禍といった外部ショックを経て、消費構造が変化し、2024年の8,500万m³水準に至っています。

木材供給量30年推移1990-2024 用材・燃料材別の供給量推移 木材供給量の30年推移(万m³) 12,000 9,000 6,000 3,000 0 1990 1996 2002 2010 2018 2024 用材 燃料材 ピーク約11,000 2024:8,500
図2:木材供給量の30年推移(出典:林野庁「木材需給表」をもとに概算)

用材需要の用途別構造変化

用材需要の用途別構成は、住宅・建築・パルプ・合板・その他で構成されますが、各用途の絶対量・シェアの動きが大きく異なります。製材用材は1990年比4割減、合板用材は3倍、パルプ用材は3割減、住宅・建築用は4割減と、用途別の動きの差が大きいのが特徴です。

用途 1990年(万m³) 2024年(万m³) 変化
製材用材(住宅・建築) 約4,500 約2,700 40%減
合板用材 約400 約1,200 3倍
パルプ用材 約4,500 約3,200 30%減
その他用材 約100 約100 横ばい
用材合計 約9,500 約7,200 26%減
燃料材 約400〜500 約1,300 3倍
合計 約10,000 約8,500 22%減

住宅着工戸数の半減と製材用材4割減

製材用材の4割減は、住宅着工戸数の半減(1990年170万戸→2024年70万戸前後)に直接連動しています。新設住宅着工戸数は、人口減少・高齢化・空き家増加・住宅ストック飽和等の構造要因で減少し、これに伴い住宅構造材としての製材需要も縮小しました。一方、リフォーム・リノベーション需要は安定維持されており、これは木材需給の小さなクッションとなっています。

住宅着工戸数の推移 1990年から2024年の住宅着工戸数 住宅着工戸数の推移(万戸) 200 150 100 50 0 1990 1996 2002 2010 2018 2024 170 160 120 90 95 70 30年で半減以下、製材用材4割減と直結
図3:住宅着工戸数の推移(出典:国土交通省「住宅着工統計」)

合板用材3倍:国産合板の急成長

合板用材は1990年の約400万m³から2024年の約1,200万m³へ約3倍に拡大しました。これは住宅構造材における合板(構造用合板・型枠合板・床板等)の用途拡大、国産合板産業の急成長、ロシア材停止後の代替需要の3要素が組み合わさった結果です。特に国産合板比率は2000年の20%から2020年の80%超へと劇的に増加し、住宅建材市場での国産合板の主流化が定着しました。

合板用途 主要内容 主要メーカー
構造用合板 住宅壁・床・屋根の下地 セイホク・ニッシンイートン他
型枠合板 コンクリート打設用型枠 各国産メーカー
木質ボード 家具・装飾材 各国産メーカー
耐火合板 商業建築・公共施設 専業メーカー
LVL(単板積層材) 大梁・大断面構造材

燃料材1,300万m³:FIT制度の影響

燃料材(木質バイオマス・薪・木炭・木質ペレット等)の供給量は、1990年代の400〜500万m³から2024年の1,300万m³へ約3倍に拡大しました。この急成長の主要ドライバーは、2012年からの再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)による木質バイオマス発電の急増です。

燃料材の用途 2010年(万m³) 2024年(万m³)
木質バイオマス発電 約100 約700
木質ペレット製造 約50 約200
薪・木炭 約200 約250
家庭用ストーブ・暖房 約100 約150
合計 約450 約1,300

木質バイオマス発電の燃料源は、間伐材・林地残材・端材等が中心で、これは森林資源の利用率向上と地域経済の活性化に寄与しました。一方、輸入木質ペレットの増加(年間300〜400万t)が国産燃料材の市場圧迫要因となっており、国産バイオマスの優先利用が政策課題となっています。

国産材自給率42.4%:底値18.2%からの復活

国産材自給率は、2002年の18.2%底値から2024年の42.4%へ約2.3倍に拡大しました。この復活は、戦後拡大造林の人工林が伐採適期に到達した供給側要因、住宅メーカーの国産材活用推進、合板・LVLでの国産材シフト、燃料材での国産優先利用の4要素の組合せです。林野庁の中期目標は2030年代に自給率50%超への引き上げを掲げています。

国産材自給率の推移 1990年から2024年の国産材自給率推移 国産材自給率の推移(%) 50 37.5 25 12.5 0 1990 1996 2002 2010 2018 2024 26.4 19.9 18.2 26.0 36.6 42.4 2002年18.2%底値から22年で2.3倍。2030年代の目標は50%超
図4:国産材自給率の推移(出典:林野庁「木材需給表」)

輸入材ポートフォリオの多様化

輸入材(年間約4,900万m³)は、北米材・欧州材・東南アジア材・南米材・オセアニア材の組合せで構成されます。1990年代までは北米材(米マツ・SPF)が主流でしたが、欧州材(オーストリア集成材・フィンランド製材)の比率が上昇し、現在では北米材30%・欧州材25%・東南アジア材15%・他30%という配分です。

輸入元 年間量(万m³) 主要品目
北米(米国・カナダ) 約1,500 米松・SPF・ベイマツ・OSB
欧州(オーストリア・北欧) 約1,200 集成材・製材・LVL
東南アジア(マレーシア・インドネシア) 約700 南洋材合板・木質ペレット
南米(チリ・ブラジル) 約400 パルプ・木質チップ
オセアニア(ニュージーランド・豪州) 約300 ラジアタパイン・木質ペレット
その他 約800
合計 約4,900

2022年のロシア材輸入停止以降、合板・LVL用の供給源が欧州・北欧・北米にシフトし、ポートフォリオの多様化が進みました。これは地政学リスク・為替リスク・物流リスクへの分散投資として、輸入商社・建材メーカーが採用する戦略です。

CLT・LVL:新規高付加価値需要

木材需要の構造変化の中で、新たに重要となっているのがCLT(直交集成板)・LVL(単板積層材)等の高付加価値新需要です。CLTは中大規模木造建築の構造材として、欧州で先行普及した後、日本でも2010年代後半から本格利用が始まりました。年間消費量は2024年で約20〜30万m³、2030年代には100万m³規模への拡大が見込まれます。

新規高付加価値木材 年間消費量 主用途
CLT(直交集成板) 約20〜30万m³ 中大規模木造、学校・庁舎・オフィス
LVL(単板積層材) 約30〜40万m³ 大梁・大断面構造材
集成材 約140万m³ 住宅構造材(柱・梁)
木質I型梁 約3〜5万m³ 大スパン梁
マスティンバー 増加中 木造ビル・大規模建築

主要外部ショックと需要への影響

木材需給は外部ショックの影響を受けやすい産業で、過去30年で複数の重大な変動がありました。これら外部ショックは需要側・供給側双方に影響し、市場構造の転換点となっています。

年・ショック 主要影響 木材需給への波及
1997年消費税増税 住宅着工急減 製材用材10%以上減
2008年リーマンショック 建設需要急減 木材需要15%減
2011年東日本大震災 復興需要+住宅減 復興建材需要急増
2014年消費税増税 駆込需要+反動 需要変動大
2020年コロナ禍 第三次ウッドショック 輸入価格急騰、自給率上昇加速
2022年ロシア材停止 合板・LVL需給逼迫 欧州材代替需要急増
2024年金融政策 住宅ローン金利動向 住宅着工に影響

これら外部ショックの累積影響で、木材需給は大きな変動を経験してきました。特に2020〜2022年の第三次ウッドショックは、コロナ禍による物流停滞・米国住宅需要急増・欧州材逼迫・ロシア材停止が複合した複合ショックで、輸入材価格が2倍以上に急騰しました。これを契機に住宅メーカーの国産材活用が一段と進み、自給率の急上昇に貢献しました。

木材産業の事業構造

木材供給は、林業(素材生産)・製材業・合板業・建材製造業・流通業・住宅メーカー等の多様な事業者の連鎖で実現します。各事業の生産額・事業所数・従業員数を整理すると、産業構造の概観が見えます。

主要事業 事業所数 従業員数 年間生産額
林業(素材生産事業体) 約2,400 約4.4万人 約2,500億円
森林組合 約630 約1.5万人
製材業 約4,000 約3.5万人 約7,000億円
合板・LVL業 約60 約1.0万人 約3,500億円
建築木工業 約3,500 約2.5万人 約4,000億円
木材卸売業 約3,000 約3.0万人
住宅メーカー(木造系) 大手30万人超

木材産業全体の年間生産額は約1.4兆円規模、関連雇用は20万人超です。林業の素材生産(2,500億円)は、木材産業全体の中で上流部分を担い、製材・合板・建築木工が中間加工、住宅メーカーが最終需要者という構造です。各段階の事業者連携と価格メカニズムが、木材需給の流れを決定します。

都道府県別の木材供給

木材供給は地域別に大きく異なります。森林面積・人工林比率・製材所・市場流通体制で決まる地域別の供給構造を整理します。

主要供給県 素材生産(万m³/年) 主要樹種
北海道 約400 トドマツ・カラマツ・エゾマツ
宮崎 約200 スギ(全国最大)
岩手 約140 スギ・カラマツ
大分 約120 スギ
熊本 約110 スギ・ヒノキ
秋田 約110 スギ(秋田スギ)
福島 約80 スギ・ヒノキ
長野 約50 カラマツ
静岡 約40 ヒノキ・スギ
三重 約40 ヒノキ・スギ

主要供給県は九州(宮崎・大分・熊本)と東北(岩手・秋田・福島)に集中し、戦後拡大造林の中心地と現在の素材生産が一致します。北海道は針葉樹3種(トドマツ・カラマツ・エゾマツ)の組合せで全国最大の素材生産量を維持しています。各供給県は地域市場・建材メーカーとの連携で、地域材ブランド化(吉野材・天竜杉・但馬材等)を進めています。

木造建築の革新と新規需要

近年、木造建築の技術革新が進み、従来の住宅・低層建築の枠を超えた中大規模木造建築・木造ビルが普及しつつあります。これは木材の新規需要創出に大きく寄与する分野です。

木造建築の新潮流 具体内容 木材需要への影響
中大規模木造建築 学校・庁舎・オフィス・倉庫等 CLT・大断面集成材の需要拡大
木造高層ビル 10階建て以上の木造ビル 新規需要、欧州・北米先行
マスティンバー 大断面木造建築技術 欧州メーカー主導
木造非住宅建築 店舗・公共施設の木造化 中大規模木造の標準化
耐火木造建築 準耐火・耐火認定材 木造化対応の新製品
SDGs対応建築 カーボンストック評価 環境価値の経済化

2010年に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(公共建築物木材利用促進法)と、2021年改正の「都市の木造化推進法」により、公共建築物・都市建築物の木造化が政策的に促進されています。これは年間500〜700億円規模の新規需要創出につながる構造で、CLT・LVL・大断面集成材等の高付加価値木材の安定需要源となっています。

木材市場の価格メカニズム

木材価格は、供給側(立木価格・素材生産コスト・輸入価格)と需要側(住宅着工・パルプ需要・建材市場)の力学で決定されます。日本国内の木材価格の標準的水準を整理します。

段階 主要品目 価格帯
立木価格 スギ・ヒノキ立木 3,000〜4,500円/m³
原木市場価格 スギ並材丸太 10,000〜13,000円/m³
原木市場価格 ヒノキ並材丸太 15,000〜20,000円/m³
製材価格 スギ柱材(120×120) 50,000〜70,000円/m³
集成材価格 ホワイトウッド集成材 100,000〜120,000円/m³(2024)
合板価格 構造用合板12mm(910×1820) 2,000〜3,000円/枚
木質ペレット 燃料用 40,000〜50,000円/t

立木価格3,500円/m³から最終製品価格までの間で、伐採・運搬・製材・流通・建築の各段階で付加価値が積み上がる構造です。立木価格の生産者還元率は10〜15%にとどまり、これが林業所得の構造的低水準の主因です。CLT・LVL等の高付加価値製品は、立木価格の生産者還元率を20〜30%に引き上げる可能性があり、林業経済の改善に寄与する期待があります。

需要構造の変化と林業政策

木材需給の構造変化を踏まえ、林野庁・経産省・国交省・環境省等が連携した政策パッケージが推進されています。需要側の構造変化(住宅減・木造ビル・木質バイオマス・新規高付加価値)に対して、供給側(林業・森林整備)も柔軟に対応する制度設計が進んでいます。

主要政策 主管 主目的
森林・林業基本計画 林野庁 10年単位の総合計画
林業構造改革推進ビジョン 林野庁 素材生産4,000万m³目標
公共建築物木材利用促進法 林野庁・国交省 公共木造化
都市の木造化推進法 林野庁・国交省 都市木造化
木材利用促進ボード(CLT等) 林野庁 新規高付加価値促進
FIT制度(木質バイオマス) 経産省 再エネ導入
森林環境譲与税 総務省・林野庁 市町村経由森林整備
森林経営管理制度 林野庁 所有者不明森林の集約
クリーンウッド法 林野庁 合法木材流通の確保

これら政策の連携で、2030年代の日本の木材需給は、量的縮小の中での質的転換(高付加価値化・国産化・脱炭素化)を実現する方向に向かいます。住宅着工減少という需要側の構造変化を、CLT・LVL・木造ビル・木質バイオマス等の新規需要で部分的に補う構造です。林業経済の持続性確保と森林資源の長期維持の両立が、2030年代の重要な政策課題となります。

パルプ・紙の需要構造変化

パルプ用材は1990年比約3割減で、紙のデジタル化(電子書籍・電子新聞・オンライン文書化)が主要因です。日本の紙・板紙生産量は1990年代の3,000万t規模から2024年の2,300万tへ約23%縮小しました。一方、Eコマースの拡大による段ボール(板紙)需要の増加、衛生用紙(ティッシュ・トイレットペーパー)の安定需要が、パルプ用材需要の下支え要因となっています。

紙・板紙の用途別動向 需要動向 パルプ材への影響
新聞用紙 50%以上の縮小 大幅減
印刷・情報用紙 30〜40%の縮小 減少傾向
段ボール(板紙) 10〜15%増(Eコマース) 増加
衛生用紙 横ばい〜微増 安定
包装紙・その他 横ばい 安定

パルプ材の供給は、国産材(針葉樹チップ・広葉樹チップ・古紙パルプ)と輸入材(北米・南米・東南アジア・オセアニア)の組合せです。古紙再生利用は紙原料の60%超を占め、これが紙産業の循環型構造の柱となっています。新規パルプ用木材需要は、新聞・印刷紙の縮小と段ボール・衛生用紙の維持で、全体として中長期的に微減傾向が続く見通しです。

木材輸入の地政学リスクと多角化

木材輸入は地政学リスク・為替リスク・物流リスクに大きく影響されます。2022年のロシア材輸入停止は、これらリスクの典型例で、輸入合板・LVL・木質チップの主要供給源を欧州・北米・東南アジアに切り替えるという大規模な調整を要求しました。輸入材ポートフォリオの多角化は、将来のリスク対応の柱となります。

主要リスク 具体内容 対応策
地政学リスク 東欧紛争、貿易摩擦 供給源多角化、3〜4ルート併用
為替リスク 円安での輸入価格急騰 長期契約、為替予約
物流リスク コンテナ運賃急騰、港湾混雑 在庫増、複数港利用
規制リスク EUDR等の環境規制 合法性確保、認証取得
気候リスク 森林火災・病虫害 多地域分散調達
市場価格リスク 世界市場の急変動 長期契約、ヘッジ

輸入商社・建材メーカー・住宅メーカーは、これらリスクへの対応策を組合せ、3〜4の主要輸入先(北米・欧州・東南アジア・オセアニア)を併用するポートフォリオ戦略を採用するケースが増えています。同時に国産材活用拡大も、輸入リスクへの根本的対応策として位置付けられ、これが2030年代の自給率50%超への引き上げ目標の戦略的根拠となっています。

2025〜2030年の展望

木材需給の構造変化は、次の5〜10年でさらに進展します。

  • 第1に住宅着工の継続的減少:2030年代に60〜70万戸まで減少、製材用材の縮小傾向継続。
  • 第2にCLT・LVL・木造ビルの拡大:中大規模木造建築の普及で新規需要創出。
  • 第3に木質バイオマス発電の安定化:FIT制度の更新と国産燃料材の優先利用。
  • 第4に国産材自給率50%超への引き上げ:林野庁の中期目標、再造林率向上と素材生産拡大の連動。
  • 第5に輸入材ポートフォリオの多様化:地政学・為替・物流リスクへの対応。

これら5軸の構造変化により、2030年代の日本の木材需給は、供給量9,000〜9,500万m³(燃料材拡大で)、国産材自給率50%超、CLT・LVL等高付加価値需要500万m³規模、住宅製材用材縮小2,000万m³水準という新たなバランス点に向かう見通しです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 木材供給量8,500万m³の内訳は?

用材7,200万m³(製材2,700・合板1,200・パルプ3,200・他100)と燃料材1,300万m³です。製材は住宅・建築用、合板は構造材・型枠、パルプは紙・板紙、燃料材は木質バイオマス発電・薪・木炭です。

Q2. なぜ1996年から減ったのですか?

住宅着工戸数の半減(170万戸→70万戸)と紙のデジタル化による紙需要減が主因です。一方、合板用材3倍・燃料材3倍の拡大で、減少幅は22%にとどまりました。

Q3. 国産材自給率42.4%はどう実現したのか?

戦後拡大造林の人工林が伐採適期に到達した供給側要因、住宅メーカーの国産材活用推進、国産合板比率の急上昇(20%→80%超)、燃料材での国産優先利用の4要素の組合せです。2002年の18.2%底値から22年で2.3倍に拡大しました。

Q4. 燃料材1,300万m³の急増の理由は?

2012年からの再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)で木質バイオマス発電が急増したためです。間伐材・林地残材・端材等を燃料化することで、森林資源の利用率向上と地域経済活性化に寄与しています。

Q5. CLTとは何ですか?

Cross Laminated Timber(直交集成板)の略で、ひき板を直交させて積層・接着した大型木質パネルです。欧州で先行普及し、日本でも2010年代後半から中大規模木造建築の構造材として本格利用が始まりました。学校・庁舎・オフィス・倉庫等の建築で活用され、年間消費20〜30万m³規模です。

Q6. 2030年代の見通しは?

住宅着工は60〜70万戸まで減少、CLT・LVL・木造ビル等で新規需要創出、木質バイオマス発電は安定化、国産材自給率50%超への引き上げが予想されます。供給量9,000〜9,500万m³(燃料材拡大で)、CLT等500万m³規模、住宅製材用材2,000万m³水準という新たなバランス点が中期的に形成される見通しです。

関連記事

まとめ

日本の木材供給量は1996年ピーク1.1億m³から2024年8,500万m³へ22%縮小しました。用材1996年9,800万→2024年7,200万m³(26%減)、燃料材450万→1,300万m³(3倍)の対照的な動き。住宅着工170万→70万戸の半減で製材用材4割減、合板用材3倍、パルプ用材3割減と用途別の動きが大きく異なります。国産材自給率は2002年18.2%底値から2024年42.4%へ2.3倍に拡大、林野庁の2030年代目標50%超に向け再造林率向上と素材生産拡大の連動が課題です。輸入材4,900万m³は北米30%・欧州25%・東南ア15%・他30%の多様化したポートフォリオで、ロシア材停止後の供給源シフトを反映。CLT・LVL・木造ビル等の新規高付加価値需要、FIT制度による木質バイオマス発電の継続、住宅着工の継続的減少が交錯する2030年代に、供給量9,000〜9,500万m³・自給率50%超の新たなバランスが形成される見通しです。

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