林業就業者数43,500人(2020)|1980年比1/4の構造変化

林業就業者数 43,500人 | Forest Eight

1980年に14万6千人いた日本の林業就業者は、2020年の国勢調査で4万3,540人まで減りました。40年でおよそ4分の1。これだけ見ると「林業はもう終わりか」と思えてきますが、数字を細かく追っていくと、減り方が近年明らかにゆるみ、若い世代の参入も一定数続いている——という別の顔が見えてきます。この記事では、林業の担い手がたどってきた40年と、いまの構造を整理します。

林業就業者数の推移(1980〜2020年) 160,000 120,000 80,000 40,000 0 1980 1990 2000 2010 2015 2020 146,321 100,497 67,153 51,200 45,400 43,540
図1:林業就業者数の推移1980-2020年(出典:総務省国勢調査各年)
目次

急減の20年、そして下げ止まり

推移をならべてみると、減り方の「勢い」が時期で大きく違うことがわかります。

調査年 就業者数 10年前比 主要事象
1980年 146,321人 戦後造林・伐採期のピーク
1990年 100,497人 −31% 木材輸入自由化進行
2000年 67,153人 −33% 林業構造の縮小続く
2010年 51,200人 −24% 「緑の雇用」効果で下げ止まり
2015年 45,400人 −11% 機械化進展、効率化加速
2020年 43,540人 −4% 減少率は緩和傾向

1980〜2000年は10年で3割超という急減でしたが、2010年代以降は10年で1割前後まで落ち着きました。輸入材に押されて産業が縮んだ時代をくぐり抜け、「緑の雇用」による新規参入支援や機械化・効率化が効いてきた結果です。就業者そのものは減っても、1人あたりの生産性は1980年比で2〜3倍に向上したと推計され、少ない人数で生産能力を保つ構造へと変わってきました。

高齢化と、意外に多い若手

年齢構成を見ると、林業は二つの顔を持っています。一方には高齢化があり、65歳以上が約25%、平均年齢は52歳前後と全産業より高め。けれどもう一方で、35歳未満の青年層が20%を超えています。これは農業・漁業など他の地方産業に比べてむしろ良い数字で、林業の魅力を高める施策が一定の成果を上げていることを示します。

若手参入の入り口になっているのが、林野庁が2003年に始めた「緑の雇用」事業です。未経験者を林業会社や森林組合が雇い、3年間のOJT研修で技術者に育てる仕組みで、累計参加者は2万人を超えました。研修修了者の3年後定着率は60〜70%と、他産業の若年層と遜色ない水準です。加えて全国20校以上に増えた林業大学校、地域おこし協力隊、移住・Uターン者の自伐型林業、そして徐々に増える女性就業者(全体の約1割、約4,000人)が、新しい担い手の流れをつくっています。2024年度には林業が特定技能の対象分野に加わり、外国人材の受け入れも本格化し始めました。

誰が雇っているのか

仕事の中身は、伐採・搬出を担う素材生産業がおよそ4割、植栽・下刈り・間伐の造林業が約3割、ハーベスタなどを操る機械オペレーターが約15%。残りを森林整備・管理や特用林産物が占めます。機械化が進んで、人手作業から機械操作・データ解析へと業務がシフトしているのが近年の流れです。

働く先は大きく三つに分かれます。最大の受け皿が全国約630ある森林組合で、就業者の約4割がここで働きます。次に住友林業や王子グループのような大手から地域の中小まで含む民間林業会社。そして自家所有林を自分で手がける自伐型林業者で、全国に約1万人規模いると見られます。森林組合や大手では正社員・年収400〜600万円が一般的なのに対し、自伐型は出来高制で年収100〜500万円と幅が大きいのが特徴です。

避けて通れない「安全」の問題

林業を語るうえで欠かせないのが労働災害です。急な斜面で重い木を相手に重機を扱う仕事だけに、死傷年千人率は20〜30と、全産業平均(2〜3程度)のおよそ10倍。事故の約4割は伐木造材中の「倒す方向のミス」や「はさまれ」で起きています。チェーンソー作業や伐木の特別教育が法で義務づけられ、防護ズボンなどの保護具徹底、衛星通信での緊急通報体制づくりが進められてきました。機械化が進むこと自体が、人が危険な場所に立つ機会を減らし、身体への負担も軽くする——安全と省力化は表裏一体なのです。

少人数で高収益へ

農林水産省の「みどりの食料システム戦略」は、2030年までに林業の労働生産性を2倍にする目標を掲げています。就業者数を保ちながら生産性を倍にできれば、林業は「少人数・高収益・持続可能」な産業へと姿を変えられる。スマート林業、成長の早いエリートツリーの普及、森林経営管理制度といった道具を総動員する戦略です。

とはいえ、これは数字合わせの話ではありません。林業の担い手が地域に住み続けることは、人口の維持、山林の管理、山地災害の抑制、祭りや伝統技術の継承まで支えています。4万3千人という数字の一つひとつが、日本の山と森と地域を未来へつなぐ働き手です。処遇の改善、若手・女性・外国人材の参入、安全の確保——課題は多いですが、ここを地道に積み上げていけるかどうかが、これからの森林の行方を決めていきます。

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この記事を書いた人

ハウスメーカーで住宅の構造を担当したのち、林業の世界へ。林業・木材・建築の3領域を横断する視点で、Forest Eight の記事を編集しています。

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