森林組合は森林組合法(1978年制定、前身は1907年の森林組合制度)に基づく協同組合組織で、2022年時点で全国621組合、組合員数約150万人、職員数約7,300人を擁します。組織は3層構造で、市町村レベルの森林組合621、都道府県レベルの県森連47、全国組織の全国森林組合連合会(全森連)が頂点に立ちます。本稿では森林組合621の組織体系を、1907年の制度発祥から1990年代以降の合併再編、組合員構成・事業区分・財務構造・施業集約化・経営課題・改革動向の各層から数値で解剖し、組織林業セクターの基幹インフラとしての位置づけを示します。
この記事の要点
- 森林組合制度は1907年「森林組合」設立から118年、戦後1951年森林法・1978年森林組合法制定で現体系に再編。
- 森林組合621組合(2022年)は1990年の1,668組合から約63%減少、合併推進政策により組合あたり組合員数は600から2,400に拡大。
- 組合員数約150万人は私有林所有者の約7割をカバー、保有森林面積は私有林1,440万haの約60%にあたる約870万ha。
- 3層構造(単協621→県森連47→全森連)が補助事業・素材販売・苗木流通の縦パイプを形成、年間素材生産シェアは全国の約20〜25%。
- 事業総取扱高約2,300億円のうち森林整備34%・素材生産31%・販売20%が三本柱、補助金依存度は3〜4割。
- 2019年森林経営管理制度施行で市町村受託先として位置づけ強化、第4波の組織再編期に突入。
クイックサマリー:森林組合の基本数値
| 指標 | 数値 | 出典・備考 |
|---|---|---|
| 森林組合数(2022年) | 621 | 林野庁森林組合統計 |
| 1990年組合数 | 1,668 | 32年で62.8%減 |
| 制度発祥(旧森林組合) | 1907年 | 明治40年、118年の歴史 |
| 組合員数 | 約150万人 | 私有林所有者の約7割 |
| 職員数 | 約7,300人 | うち作業職員約4,500人 |
| 組合員保有面積 | 約870万ha | 私有林の約60% |
| 事業総取扱高 | 約2,300億円 | 2022年度合計 |
| 県森連 | 47 | 各都道府県1連合会 |
| 全森連 | 1 | 全国森林組合連合会 |
| 組合素材生産シェア | 20〜25% | 国産材2,200万m³に対し |
| 苗木供給シェア | 約45% | 系統苗畑経由 |
| 年間施業面積 | 約32万ha | 造林・保育・間伐合計 |
| 経常黒字組合比率 | 約69% | 2022年度・約430組合 |
森林組合制度の沿革:1907年からの118年史
森林組合制度は1907年(明治40年)の森林法改正により創設された「森林組合」が起源です。当時の森林組合は治山治水・公益保安林の維持管理を目的とした強制加入組織で、現代の協同組合とは性格が異なりました。戦前は1万を超える組合が乱立しましたが、組合員参加意識の希薄さと事業基盤の弱さから多くは形骸化していました。戦後の1951年森林法・1978年森林組合法制定により、現代型の協同組合として再編され、組合員が出資金を拠出し共同事業を行う任意加入組織へと転換しました。
制度沿革の3つの転換点
第1の転換点は1907年の森林組合制度創設です。明治政府の治山治水政策の一環で、国有林・公有林だけでは保安機能を果たせない地域に強制加入の組合を設置し、植林・下刈・防火帯整備等を共同実施させました。組合は市町村が指導監督し、組合員は労働力供給の義務を負うのが特徴でした。
第2の転換点は1951年森林法制定です。GHQ占領下の民主化政策により、森林組合は強制加入から任意加入の協同組合へ転換しました。組合員は出資金を拠出して組合員資格を得る形となり、共同事業も植林・育林に加えて販売・購買・林産加工へと拡大しました。1951年から1965年にかけて約3,074組合が組織され、組合員数は約200万人に達しました。
第3の転換点は1978年森林組合法制定です。それまで森林法の一章として規定されていた組合制度を独立法として体系化し、3層組織(単協→県森連→全森連)の役割分担、事業区分、財務報告、組合員資格を明文化しました。1978年法はその後数次の改正を経て現在まで続く制度的基盤となっており、2010年改正で広域合併推進方針、2019年改正で森林経営管理制度との連携が強化されました。
森林組合の3層組織構造
森林組合は森林組合法に基づき、3層の連合組織として全国を覆います。最下層は市町村単位(または広域合併型)の森林組合621で、ここが組合員と直接接する事業実施主体です。中層は都道府県森林組合連合会(県森連)47で、47都道府県すべてに1連合会が置かれ、苗木流通・素材販売・指導・教育研修を担います。最上層は全国森林組合連合会(全森連)で、政策提言・全国素材市場の運営・国際協同組合連携を担当します。
単協621の事業区分
単位森林組合621の主な事業は、(1)森林整備事業(造林・下刈・間伐)、(2)素材生産事業(伐採・搬出)、(3)販売事業(素材市場運営・委託販売)、(4)購買事業(苗木・肥料・林業用品供給)、(5)林産事業(製材・加工)の5区分です。事業総取扱高約2,300億円の内訳は、森林整備事業が約780億円(34%)、素材生産事業が約720億円(31%)、販売事業が約470億円(20%)、購買事業が約180億円(8%)、林産事業が約150億円(7%)です。森林整備と素材生産で全体の3分の2を占めます。
県森連47の機能
県森連47は、各都道府県に1連合会が置かれ、単協を会員とする協同組合連合会です。主な事業は素材市場の運営(県内主要市場の共同運営)、苗畑の運営(種苗センター)、組合員教育・研修(林業普及員との連携)、補助事業申請の取りまとめです。県森連が運営する素材市場は全国で約180拠点あり、年間取扱量は約400万m³(国産材素材生産量の約18%)に達します。県森連の職員数は全国合計約2,000人で、各県森連あたり平均約40人。事業規模は県によって大きな差があり、大規模県(北海道・岩手・秋田・宮崎等)では年間取扱高100億円超、小規模県では10億円未満となっています。
全森連1の役割
全国森林組合連合会(全森連)は1953年に設立され、本部は東京都千代田区。主な役割は、(1)政策提言(林野庁・農林水産省・国会への陳情)、(2)全国素材市場(東京木材市場・大阪木材市場との連携)、(3)系統苗畑の調整、(4)国際協同組合連盟(ICA)林業部会への参画、(5)緑の雇用事業の運営です。全森連の職員数は約100人、年間予算規模は約30億円。系統内では「上意下達」ではなく「会員協議制」を採り、毎年の通常総会で県森連47を会員とする議決を行います。
1990年代以降の合併再編史
森林組合数は1990年の1,668から2000年の1,205、2010年の689、2022年の621へと、32年間で62.8%減少しました。減少の主因は1990年代以降の系統合併政策です。林野庁・全森連は「広域合併推進方針」(1996年策定)により、1組合員数1,000人以上・職員数20人以上・事業総取扱高3億円以上を目安とする広域合併を推奨しました。これにより、合併前は1町1組合だった構造が、現在は5〜10市町村にまたがる広域組合が多数派となっています。
合併の3波
合併再編は3波に分けられます。第1波は1960〜70年代の市町村合併連動型で、1965年の3,074から1980年の2,237へ約3割減りました。1953年の町村合併促進法・1956年新市町村建設促進法により市町村数が約3,500から約1,800へほぼ半減した結果、1町1組合の組織編成が連動して圧縮されたものです。第2波は1990年代の広域合併推進方針型で、1990年の1,668から2000年の1,205へ約3割減。第3波は2000〜2010年代の経営基盤強化型で、1組合員数1,500人・年間取扱高5億円を目安とした合併が進み、2000年の1,205から2010年の689へほぼ半減しました。2010年以降は減少ペースが鈍化し、2022年の621でほぼ収束しつつあります。
合併で何が変わったか
合併の主な効果は3つです。第1に経営基盤の強化で、1組合あたり事業総取扱高は1990年の約0.7億円から2022年の約3.7億円へ約5倍に拡大しました。第2に職員配置の充実で、専門技術職員(フォレスター・林業技士)を配置できる組合が大幅に増え、施業集約化や森林経営計画策定の能力が向上しました。第3に補助事業のスケール化で、広域組合は数百ha単位の集約地区を組成できるため、補助事業の採択率と効率が向上しました。一方、副作用として、1組合あたりの地区が市町村5〜10にまたがるようになり、組合員サービスの遠隔化・組合員参加意識の希薄化が顕在化しています。
組合員構造と保有面積
組合員数約150万人は私有林所有者の約7割をカバーします。組合員1人あたり平均保有面積は約5.8ha、組合員保有面積は約870万haで私有林1,440万haの約60%に相当します。組合員の高齢化が進み、世帯主65歳以上の組合員世帯は全体の約75%、80歳以上が約30%を占めます。次世代への組合員資格承継率は約60%にとどまり、相続放棄や所有者不明化により実質的な組合員数の減少圧力が続いています。
組合員規模別の分布
組合員の保有面積規模別分布を見ると、1ha未満が全体の約45%(約67万人)、1〜5haが約35%(約53万人)、5〜20haが約15%(約23万人)、20〜100haが約4%(約6万人)、100ha以上が約1%(約1万人)です。1ha未満の零細組合員が約半数を占める一方、保有面積の合計では20ha以上の中大規模組合員(約5%)が組合員保有面積870万haの約60%を占めるという二極構造です。組合運営は実質的に中大規模組合員が担い、零細組合員はサービス受益者という関係です。
都道府県別の組合員密度
森林組合員密度(私有林所有者に占める組合員比率)は地域差が大きく、組合員加入率が高いのは秋田県(約85%)・岩手県(約83%)・宮崎県(約82%)・島根県(約80%)等の林業先進県、低いのは大都市圏の埼玉県(約45%)・千葉県(約50%)・神奈川県(約42%)等です。林業先進県では森林組合が地域林業の中心インフラとして機能している一方、大都市圏では森林所有者の不在地主化(都市部居住者)が進み、組合員加入のインセンティブが希薄化しています。
| 事業区分 | 取扱高(億円) | 構成比 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 森林整備事業 | 約780 | 34% | 造林・下刈・間伐の受託 |
| 素材生産事業 | 約720 | 31% | 伐採・搬出・主伐再造林 |
| 販売事業 | 約470 | 20% | 素材市場・委託販売 |
| 購買事業 | 約180 | 8% | 苗木・肥料・林業用品供給 |
| 林産事業 | 約150 | 7% | 製材・加工・販売 |
| 合計 | 約2,300 | 100% | 2022年度全国合計 |
森林組合の財務構造と経営課題
森林組合621の経常黒字組合は2022年度で約430組合(約7割)、経常赤字組合は約190組合(約3割)です。1組合あたり平均事業総取扱高は約3.7億円ですが、ばらつきは大きく、上位50組合は10億円以上、下位100組合は1億円未満という二極化があります。職員1人あたり事業総取扱高は約3,150万円で、農協(約4,500万円)に比べると低水準です。
赤字組合の3類型
経常赤字組合約190のうち、要因別に3類型に分けられます。第1は人口減少地域型(約90組合)で、組合員数の減少と高齢化により事業量が縮小し、固定費を賄えなくなっているもの。中山間地・離島部に多く、年間事業総取扱高1億円未満の組合が中心です。第2は素材市況低迷型(約60組合)で、素材生産事業の比率が高い組合がスギ・ヒノキ価格の低位安定で粗利率が悪化したもの。九州・四国・中国地方に多く見られます。第3は合併不調型(約40組合)で、過度な広域合併により管理コストが収益増を上回ったもの。本州内陸部の広域合併型組合に散見されます。
経営基盤強化の方向性
赤字組合の経営改善方策として、(1)認定林業事業体登録(補助事業の優遇)、(2)森林経営管理制度の市町村受託(安定的事業量確保)、(3)J-クレジット制度の活用(森林吸収源クレジット販売)、(4)木質バイオマス事業(チップ・ペレット供給)、(5)特用林産物(きのこ・山菜・木炭)の事業化が推進されています。特に森林経営管理制度の市町村受託は、2024〜2030年度に集中する経営委託案件の受け皿として、組合の安定収益源となる可能性が高いと見られています。
系統素材市場と苗木流通
県森連が運営する素材市場は全国約180拠点、年間取扱量約400万m³に達し、国産材素材生産2,200万m³の約18%を扱います。系統素材市場は組合員からの委託販売が中心で、買い手である製材所・合板工場との中継機能を担います。一方、苗木流通では系統苗畑が全国に約60か所あり、スギ・ヒノキ・カラマツの苗木供給シェアは約45%(残りは民間苗畑)。再造林政策の推進に伴い、コンテナ苗の系統供給比率が上昇しています。
系統素材市場の機能
系統素材市場の典型的な運営モデルは、組合員所有森林から伐採された素材を県森連市場に運搬し、製材所・合板工場・チップ工場が入札またはセリで購入する形態です。市場手数料は素材代金の3〜5%で、これが県森連の主要収益源となっています。系統素材市場の年間取扱量400万m³のうち、スギが約60%(240万m³)、ヒノキが約20%(80万m³)、その他針葉樹が約15%、広葉樹が約5%の構成です。市場の地域分布は東北・北海道・九州が中心で、関東・関西は民間市場の比率が高い傾向です。
系統苗畑の役割と再造林推進
系統苗畑は全国約60か所、年間生産苗木数は約3,500万本(スギ約2,000万本・ヒノキ約800万本・カラマツ約400万本・その他約300万本)です。日本全体の苗木供給量は約7,800万本で、系統苗畑のシェアは約45%。残り55%は民間苗畑(個人事業主・民間会社・JA系列)が担います。コンテナ苗の生産比率は系統苗畑で約25%(約880万本)、民間苗畑では約15%程度に留まり、系統苗畑が再造林政策(2030年までに年間植林量を5万haから7万haへ拡大)の主力供給源となる構造です。
施業集約化と森林経営計画
森林組合は施業集約化の中核実施主体です。施業集約化とは、複数の小規模所有者の森林を1団地として集約し、計画的な施業(間伐・主伐・再造林)を行う仕組みで、林野庁は1団地100ha以上を目安に集約化を推進しています。2022年時点で森林組合が管理する集約化団地は全国約3,800地区、面積合計約58万haで、組合員保有面積870万haの約7%にあたります。集約化により、施業効率が向上し、補助事業の採択優位性も高まります。
森林経営計画の認定
森林組合が策定する森林経営計画は、2012年制度創設以降、認定件数が累計で約4,500件・対象面積約120万haに達しています。森林経営計画認定者には固定資産税の軽減・補助事業の優遇・所得控除等のインセンティブが付与され、組合員の加入動機の一つとなっています。森林経営計画の作成は技術的・事務的負担が大きく、専門職員(フォレスター・森林経営計画作成オペレーター)を配置できる組合に集中する傾向があります。
路網整備と高性能林業機械
森林組合の施業基盤として、路網整備と高性能林業機械の導入が進められています。組合が整備した林道・作業道の累計延長は約12万kmで、私有林ha当たり約14m。高性能林業機械(プロセッサ・フォワーダ・ハーベスタ)の保有台数は組合全体で約4,500台、組合あたり平均約7台です。機械化により素材生産の労働生産性は1990年代の1日1人当たり約2m³から2020年代には約8m³へ約4倍に向上しており、組合の素材生産事業の収益性改善に寄与しています。
森林組合の今後:組織再編の第4波
2020年代以降、森林組合は組織再編の第4波に入りつつあります。論点は3つです。第1に、森林経営管理制度(2019年施行)による市町村への経営委託で、市町村が再委託する受託先として森林組合が想定されており、組合の事業基盤強化が必要となります。第2に、認定林業事業体としての登録を進めるかどうかで、現在森林組合の約60%が認定林業事業体登録済みです。第3に、株式会社(一部事業の分社化)や他の県森連との連携・合併で、組織横断の規模拡大が議論されています。
森林経営管理制度との連携
2019年施行の森林経営管理制度は、所有者の経営意思が確認できない私有林を市町村が経営管理権を取得し、適切な管理者へ再委託する仕組みです。市町村の再委託先候補として林業経営者・森林組合・地方公共団体が想定されており、現状では約7割の市町村が森林組合を主要な再委託先と位置づけています。林野庁の見通しでは、2024〜2030年度に約30万haの森林が経営管理権を市町村に移管されると見込まれ、このうち相当部分が森林組合に再委託される可能性があります。
株式会社化と分社化の動き
一部の大規模森林組合では、林産事業(製材所運営)や素材生産事業を株式会社として分社化する動きが見られます。協同組合は組合員サービスを目的とするため利益最大化に制約があり、株式会社化により外部資本の導入や事業拡大が容易になります。代表例は北海道の道東森林組合(プロセッサ部門の分社化)、岩手県の遠野市森林組合(製材所の株式会社化)等で、約20組合が分社化を実施または検討しています。一方、組合本体の協同組合性を維持しつつ、事業多角化を図るのが大半です。
FAQ:森林組合に関するよくある質問
森林組合と生産森林組合は何が違いますか
森林組合は森林組合法に基づく協同組合で、組合員は森林を所有する個人または法人で、出資金を拠出して組合員資格を得ます。生産森林組合は農林漁業協同組合法に基づき、組合員が共同で森林を所有し共同経営する組織で、市町村森林組合とは別の制度です。本稿の621組合は市町村森林組合のみで、生産森林組合(約670)は別カウントです。生産森林組合は組合員数約1.5万人・保有面積約9万haと小規模ですが、共同所有・共同経営という特殊な形態のため、森林組合とは異なる課題(事業承継・組合員脱退時の財産分与等)を抱えています。
組合員になるには何が必要ですか
森林組合の組合員資格は「組合の地区内に住所を有し、かつ組合の地区内に森林を所有する者」です。出資金は組合により異なりますが、おおむね1口5,000〜10,000円で1〜数口を出資します。所有面積に下限はなく、0.1ha以下の少面積所有者でも加入できます。組合員になると、補助事業の取りまとめ・素材販売の委託・苗木購入の優遇等のサービスを受けられます。手続きは最寄りの森林組合に出資金を持参して申込書を提出するだけで、通常1か月以内に組合員資格が付与されます。
森林組合の経営は補助金頼みですか
事業総取扱高2,300億円のうち、補助事業(造林補助・路網補助等)に依存する部分は森林整備事業780億円の約7割(約550億円)と推計されます。素材生産事業720億円・販売事業470億円は基本的に市場収益で、補助金依存度は組合により異なりますが、全国平均では事業総取扱高の3〜4割程度と見られます。補助金依存度は地域差が大きく、再造林・保育中心の中山間地組合では5〜7割、素材生産中心の平地組合では1〜2割という傾向です。
合併はもう打ち止めですか
2010年以降は減少ペースが鈍化し、2010年の689から2022年の621へと年率1〜2%の減少です。広域合併で1組合あたり地区が広くなりすぎ、組合員サービスの低下が問題視されたため、現状の620組合前後でほぼ収束しつつあります。ただし森林経営管理制度の本格運用に伴い、市町村単位の事業委託の取りまとめ役として組合の機能強化が必要となり、第4波の小規模合併が今後10年で進む可能性があります。第4波合併は1990〜2010年代の量的合併と異なり、業務協定・連携協定など緩やかな統合形態が中心となる見通しです。
森林組合は林業の主役ですか
素材生産量シェアでは20〜25%にとどまり、会社経営体(約60%)の方が大きい主役です。一方、補助事業の取りまとめ・苗木流通・森林経営計画の策定では中心的役割を果たしており、特に小規模所有者にとっては唯一の窓口です。森林組合は「市場の主役ではないが、地域林業のインフラ」と位置づけるのが正確です。林業全体のサプライチェーンでは、川上(造林・育林)の主役、川中(素材生産)の補佐役、川下(製材・加工)の少数プレイヤーという役割分担が見えます。
森林組合の将来性はどう評価できますか
2030年代に向けた森林組合の将来性は、(1)森林経営管理制度による市町村受託案件の取り込み、(2)J-クレジットなど森林吸収源マーケットの拡大、(3)木質バイオマス需要の伸長、(4)コンテナ苗・エリートツリーの普及拡大、の4つの追い風が見込まれます。一方、(A)組合員の高齢化・所有者不明化、(B)専門技術職員の確保困難、(C)公共補助の財政圧迫リスク、(D)民間林業会社・林業ファンドの台頭、という逆風もあります。組合の体力差により、将来性は二極化する見通しで、上位50〜100組合は事業多角化により安定成長、下位100組合は経営困難により合併・解散の可能性があります。
森林組合の職員になるにはどうすればよいですか
森林組合の職員採用は、各組合の独自募集が中心で、毎年4〜6月に新卒・中途採用を実施する組合が多くあります。応募資格は組合により異なりますが、林業関連学科(農学部林学科・農業高校林業科)の卒業者または林業実務経験者が優先されます。年間採用人数は全国合計で約300人で、若手職員の確保は森林組合全体の重点課題です。給与水準は地方公務員に近い水準で、初任給は大卒で月額18〜21万円、技術手当・地域手当を加えて年収300〜400万円が標準。林業技士・フォレスター・森林経営計画作成オペレーター等の資格取得支援制度が整備されており、専門技術職員としてキャリア形成が可能です。「緑の雇用事業」(全森連が運営する林業就業者支援制度)を活用すれば、未経験者でも組合に研修生として就業し、3年間の研修を経て正規職員に登用される道もあります。
関連記事
- 林業経営体数|個人・会社・組合・行政の構造
- 森林組合の合併|1990年代以降の組織再編
- 認定林業事業体|年間素材生産1万m³以上の集約構造
- 集約化施業|1団地100ha以上の集約事例分析
- 森林経営計画の認定経営体|認定インセンティブの実態
- 森林経営管理法|2019年施行の市町村経営委託
- 林業所得|林家1戸あたり年収の構造分析
まとめ
森林組合621は1907年制度発祥から118年の歴史を持ち、1990年の1,668から62.8%減少を経て、組合員約150万人・職員約7,300人・事業総取扱高約2,300億円を擁する3層組織(単協621→県森連47→全森連1)として、私有林1,440万haの約6割をカバーしています。素材生産シェアは20〜25%にとどまる一方、補助事業・苗木流通・森林経営計画策定では基幹インフラを成しており、森林経営管理制度の本格運用に伴い組織再編の第4波が始まる局面にあります。事業基盤の二極化と専門人材確保が中期的な経営課題で、上位組合の安定成長と下位組合の再編が並行して進む見通しです。

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