林業の女性参入|林業女子の現状と支援制度

林業で働く女性6.2%の現在地

林業で働く女性は、2020年の国勢調査で2,730人。就業者全体に占める割合は6.2%で、全産業平均(4割超)と比べるとかなり低い水準です。ただ、新しく林業に入ってくる層に目を移すと景色は変わります。「緑の雇用」の女性研修生は増え、林業女子会のような支援ネットワークも全国へ広がりました。ここでは数字と現場の動きから、林業への女性参入の今を見ていきます。

目次

少ないけれど、若い

女性就業者の年齢構成には、はっきりした特徴があります。高齢化が進む男性に比べて、女性は35歳未満の若い世代の比率が高いのです。男性就業者の平均年齢が上がっていくなか、女性の参入はそのまま労働力の若返りにつながる構造になっています。

職種で見ると、女性は造林・下刈・苗木育成や管理事務の比率が高め。なかでも苗木育成は重い物を扱う場面が少なく、コンテナ苗や大型育苗ハウスの導入が進んだ現場では女性の割合が高くなる傾向があります。

機械化が、参入のハードルを下げた

女性が増えてきた背景には、機械化の進展があります。1990年代までの林業は、チェーンソーで木を倒し、人力で集め、人力で植えるという力仕事の連続でした。それが2000年代以降、ハーベスタやフォワーダといった高性能機械が普及し、現場の物理的な負担が大きく減りました。

こうした機械の多くは、運転席に座ったままジョイスティックとモニターで操作する「キャブ式」で、筋力差の影響が小さい構造です。チェーンソー作業でも軽量機が普及し、下刈りの機械化も進んでいます。今後、ICT支援や遠隔操作・自動化が進めば、性差の影響はさらに小さくなっていきそうです。

「緑の雇用」と林業女子会が入口に

新規参入の主な入口が、全国林業労働力確保支援センターの「緑の雇用」事業です。未経験者を数年間の研修で育てる仕組みで、女性研修生の比率は既存就業者の6%を上回る水準まで伸びてきました。研修修了後の就業継続率も、女性は男性を下回らない水準を保っています。

もうひとつの入口が、2010年に京都で生まれた「林業女子会」です。全国に地域ごとの会が広がり、現役の従事者だけでなく、学生や移住希望者など林業に関心のある人も集まります。体験イベントやSNS発信を通じて、これまで林業に縁のなかった層へ間口を広げる役割を果たしています。活動が盛んな地域では、女性比率が全国平均を上回る例もあります。

本当の壁は「両立」にある

「林業は給料が低い」というイメージがありますが、同じ職種・同じ勤続年数で比べると男女差は大きくありません。平均年収で女性が低く見えるのは、女性に管理事務職が多く現場手当・資格手当が乗りにくいことと、勤続年数が短めであることが効いています。

むしろ深刻なのは、両立の壁です。結婚・出産・育児と現場仕事の両立の難しさが、女性の離職理由の上位を占めます。出産で一度離れると林業に戻りにくく、現場職は人員に余裕がなく、日給・出来高給で休業中の所得補償が弱いことが背景にあります。男性の育休取得も進んでおらず、育児負担が女性に偏りがちなことも、根は同じ問題です。

これから

林野庁は森林・林業分野での女性の活躍推進を掲げ、支援メニューも整ってきました。女性用トイレ・更衣室の整備補助、女性用のヘルメット・ハーネスなど装備の購入補助、育休中の代替人材費の補助など。地域おこし協力隊を経由した参入も増え、入口は着実に多様化しています。

残る課題は、現場のトイレ・更衣室といった物理的環境、子育てと両立しにくい早朝・遠隔地の働き方、そして将来像を描くためのロールモデルの少なさです。どれも一朝一夕には解けませんが、機械化で力仕事の壁が下がり、ネットワークと制度が育ちつつある今、林業の担い手確保にとって女性の参入は中核の課題になっています。

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この記事を書いた人

ハウスメーカーで住宅の構造を担当したのち、林業の世界へ。林業・木材・建築の3領域を横断する視点で、Forest Eight の記事を編集しています。

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