林業の外国人材受入は、いまだ「緒についたばかり」の分野です。農業や建設が2019年に特定技能の対象になったのに対し、林業が加わったのは2024年3月。技能実習でも林業が移行対象職種に追加されたのは同じ2024年です。林業労働力が1980年の約14.6万人から2020年の約4.4万人へと大きく減ったいま、数は小さくても象徴的な意味を持つ動きです。
2024年、3つの制度が一気に動いた
日本の外国人受入制度は、技能実習・特定技能・育成就労がつながっています。技能実習が「国際貢献・人づくり」を建前にしてきたのに対し、特定技能は「人手不足分野への直接投入」をはっきり掲げる点が大きく違います。林業に関しては、2024年3月に「林業」「木材産業」が特定技能の対象分野へ追加され(閣議決定)、同じ2024年に技能実習の移行対象職種にも林業が加わりました。さらに2024年6月には、技能実習を発展的に解消する「育成就労制度」が法成立し、2027年の施行が予定されています。
林業の出遅れには理由があります。死傷年千人率22.8という労災の高さは全産業で最悪。急斜面でのチェーンソー作業という専門性も加わります。そのため制度設計はかなり慎重で、特定技能1号でも単独でのチェーンソー伐倒はいきなりは想定されず、造林系の補助作業から段階的に経験を積む運用が前提です。受入機関には、雇用管理体制や安全教育の計画が求められます。
数では解決しない。それでも意味がある
注意したいのは、外国人材が労働力の量的不足を埋める切り札ではない、という点です。5年で最大1,000人という規模は、現役4.4万人の数%にすぎず、毎年離職する数千人の穴を埋めるには遠く及びません。意義はむしろ、特定の事業体が直面する具体的な人員不足を補うこと、そして受入のための環境整備——住宅、通年雇用、安全教育、労務管理——が、そのまま日本人就業者の労働環境改善につながることにあります。
他分野の特定技能が数万人規模で受け入れているのと比べると、林業はまだ極小です。伐採・造材の危険性、地形の厳しさ、冬季に山仕事が止まる地域での通年雇用の難しさ、そして安全に直結する言葉の壁——こうした課題を一つずつ解いていく段階にあります。林業・木材製造業労働災害防止協会などが多言語の安全教材の整備を進めており、母国語版のテキストや動画、ピクトグラム標識、翻訳アプリの活用が現場で広がりつつあります。
育成就労へ。長く働ける道筋づくり
2027年に施行予定の育成就労制度は、特定技能1号への移行を前提とした人材育成、一定条件下での転籍の容認、受入機関の責任強化が柱です。林業も対象に含まれる方向で、今後の新規受入の主流は育成就労へ移っていきます。
運用上の論点が、特定技能で認められる転籍です。技能実習が原則転籍不可だったのに対し、特定技能では同分野内なら転籍でき、条件次第で隣接する建設・農業へ人が流れる可能性もあります。受入事業体には、入国前から将来のキャリアを丁寧に説明し、昇給の見通しを文書化し、家族帯同や在留期間の制限がない特定技能2号への道筋を示す——そうした対応で「短期労働力」ではなく「中長期の担い手候補」として迎える姿勢が求められます。制度の成熟は、これから10年ほどかけて段階的に進んでいくとみられます。

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