林業経営体数|個人・会社・組合・行政の構造

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日本の林業経営体は2020年農林業センサスで33,891経営体、2000年の119,344経営体から20年で71.6%減少しました。組織形態別では、家族経営体が30,000経営体超で全体の約88%を占める一方、年間素材生産2万m³以上の大規模経営体は約400に集約されています。本稿では林業経営体33,891を、個人経営体・会社・森林組合・行政機関の4類型に分けて構造的に解剖し、規模・素材生産・主伐実施・補助金依存度の各層別データから、産業集約のフェーズを数値で示します。

この記事の要点

  • 2020年農林業センサスの林業経営体数は33,891で、2000年の119,344から20年で71.6%減少。家族経営体は29,807で約88%を占める。
  • 会社経営体は2,159(6.4%)と数は少ないが、素材生産量シェアでは約60%に達し、産業の主要供給源は法人セクターに集約済み。
  • 森林組合は621組合(2022年)、認定林業事業体は1,832(2022年)で、両者を合わせた組織林業セクターが公的補助の主要受け皿となる。
  • 素材生産2,000m³以上の「実働経営体」は約1,900に絞られ、認定林業事業体1,832とほぼ重なる。素材生産2,200万m³の8〜9割をこの2,000経営体未満が担う。
  • 株式会社林業の新規参入が増加傾向で、合同会社(LLC)形態も登場。一方、自伐型林業は年間100〜300m³規模で全国に約2,000経営体が存在する。
目次

クイックサマリー:林業経営体の基本数値

指標 数値 出典・備考
林業経営体総数(2020年) 33,891 2020年農林業センサス
2000年経営体数 119,344 20年で71.6%減
家族経営体 29,807 全体の87.9%
会社経営体 2,159 全体の6.4%
森林組合・生産森林組合 1,290 全体の3.8%
その他(任意組合・行政等) 635 全体の1.9%
認定林業事業体(2022年) 1,832 林野庁2022年度集計
素材生産1万m³以上 約400 林業センサス推計
素材生産0m³(販売実績なし) 約20,000 全経営体の約59%
経営体保有山林面積 約400万ha 私有林の約57%

4類型の概要:森林組合・素材生産業者・自伐型・株式会社林業

林業事業体は、組織形態と事業性格の組み合わせで実務的に4類型に整理できます。第一は森林組合(協同組合)、第二は素材生産業者(伐出専業の中小企業)、第三は自伐型林業(小規模・自営)、第四は株式会社林業(法人格をもつ事業体)です。この4類型は法的区分(センサスの組織形態区分)と完全に一致するわけではなく、たとえば株式会社の素材生産業者は第二と第四にまたがり、森林組合の中にも素材生産を主体とする組合と育林・受託を主体とする組合があります。実務上は、事業体が「誰に何を売るか」「補助金にどう依存するか」で性格づけられ、4類型の境界は固定的ではありません。

類型ごとの規模感をざっくり並べると、森林組合は1組合あたり平均従業員30〜40名・年間素材生産量3,000〜5,000m³規模が中心、素材生産業者は5〜30名・素材生産5,000〜30,000m³規模、自伐型林業は1〜3名・素材生産100〜300m³規模、株式会社林業は10〜50名・素材生産5,000〜50,000m³規模というスケールです。森林組合と素材生産業者・株式会社が大型供給を担い、自伐型は地域内の小ロット供給と多面的機能を担う、という棲み分けが進みつつあります。

林業経営体33,891の組織形態別構造

2020年農林業センサスの定義では、林業経営体とは「権原に基づいて育林もしくは伐採または林産物の採取を行う者で、過去1年間に保有山林の面積が3ha以上かつ過去5年間に林業作業を実施した者」または「育林面積3ha以上の受託」「素材生産200m³以上」のいずれかを満たすものをいいます。この定義に該当する経営体は2020年で33,891で、2000年の119,344から20年間で約3分の1に縮小しました。

林業経営体33,891の組織形態別構成 家族経営体29,807・会社2,159・組合1,290・その他635の構成比を横帯と内訳で表示 林業経営体33,891の内訳(2020年農林業センサス) 家族経営体 29,807(87.9%) 会社 6.4% 組合 3.8% 他 1.9% 経営体数の20年推移(千経営体) 2000 119 2005 94 2010 87 2015 86 2020 34
図1:林業経営体33,891の組織形態別構成と20年推移(出典:農林業センサス2020年・林野庁集計)

家族経営体29,807の中身

家族経営体29,807のうち、保有山林3〜10ha層が約13,000、10〜50ha層が約12,000、50〜100ha層が約3,000、100ha以上層が約1,800という分布です。素材生産実績で見ると、家族経営体のうち過去1年間に素材を販売した経営体は約9,000にとどまり、約20,000は販売実績ゼロです。すなわち家族経営体の3分の2は実質「育林のみ」または「休眠状態」にあり、産業統計上の経営体ではあっても、現実の素材供給チェーンには参加していません。

家族経営体内部でさらに細かく見ると、世帯主年齢が65歳以上の経営体が約75%を占め、後継者が「決まっている」経営体は18%程度にとどまります。50ha以上の中規模家族経営体では後継者率が30%台に上昇しますが、3〜10haの零細層では10%を切ります。労働力構成は家族労働2人未満が約8割で、雇用労働者を持つ家族経営体は1割未満です。家族経営体の山林面積平均は約25haで、会社経営体平均500ha超とは20倍の規模差があります。

会社経営体2,159の役割

会社経営体2,159は経営体総数の6.4%にすぎませんが、素材生産量シェアでは約60%を占めると推計されます。1経営体あたり平均従業者数は12〜15名で、家族経営体(平均1.8名)の約7倍です。法人格の内訳は株式会社が約1,400、有限会社が約500、合資・合同会社が約260で、株式会社化の進行が見られます。年間素材生産5,000m³以上の中堅以上経営体の約7割はこの会社セクターに属します。

会社経営体の事業構成を細かく分けると、素材生産専業(伐出のみ)が約900、育林・素材生産併営が約700、素材生産+木材流通併営が約400、製材・木材加工兼営が約160という構成です。素材生産専業層は林野庁・都道府県の補助事業を主収入源とし、補助金依存度(売上に占める補助金比率)が30〜50%に達する経営体も少なくありません。一方、製材・加工兼営型は補助金依存度が10〜20%にとどまり、垂直統合による収益安定化を図っています。会社経営体の平均年商は1.5〜3億円で、業界トップ層では年商10億円超の事業体も複数存在します。

森林組合621の経営構造と再編史

森林組合は森林組合法に基づく協同組合組織で、出資組合員(森林所有者)の協同事業として林業を営みます。2022年時点で全国に621組合(市町村森林組合)が存在し、組合員数は約146万人、出資金総額は約1,200億円規模です。1990年代の組合数は約1,800で、平成の大合併と並行して30年で約3分の1に集約されました。1組合あたり組合員数は平均約2,300人、出資金は平均約2億円、職員数は平均30〜40名で、組合長と専務理事を中心とする理事会が経営を決定します。

森林組合の事業内容は4本柱で構成されます。第一は森林整備事業(造林・下刈・間伐の受託)で、収入の約45%を占めます。第二は素材生産事業(主伐・搬出)で、収入の約30%です。第三は森林保険・木材販売・林産物販売の販売事業で約15%、第四は森林経営計画作成・指導等の指導事業で約10%です。森林整備事業は補助金(造林補助・森林整備事業費)への依存度が高く、平均で事業収入の60〜70%が公的補助金で構成されます。

森林組合の経営課題は、組合員の高齢化と組合運営の世代交代、合併による広域化と地域密着性の両立、補助金依存からの脱却、職員の通年雇用確保の4点です。素材生産規模の大きい上位50組合は、年間5万m³以上の素材生産能力をもち、認定林業事業体としても機能していますが、零細組合の中には組合員数500名未満・職員10名未満で常勤事業がほぼ造林補助受託のみという組合もあり、二極化が進行中です。全国森林組合連合会(全森連)と47都道府県の県森連は、共同販売・系統金融・指導活動でこの経営格差を緩和する役割を担っています。

素材生産業者:1,000社超が支える伐出セクター

素材生産業者は、立木の伐倒・造材・搬出を専門に請け負う事業体で、認定林業事業体1,832のうち約1,000がこの類型に属します。組織形態は株式会社が約650、有限会社が約280、合同会社・合名会社が約70で、ほぼすべてが法人格をもちます。1事業体あたり平均従業員は8〜12名、年間素材生産量は5,000〜15,000m³が中心で、上位層では年間3万〜5万m³を扱う中堅企業も存在します。

素材生産業者の収益構造は、立木買取+伐出+市場販売(買取型)と、森林所有者からの伐採請負(請負型)の2系統に分かれます。買取型は素材市況の変動を直接受けるが利幅が大きく、請負型は変動リスクが低いが補助金依存度が高い、という対比的特性があります。近年は立木価格の低位安定により、買取型から請負型へのシフトが進行し、地域の森林組合や認定林業事業体協会との協業も増加しています。

素材生産業者の地理的分布は林業県への偏在が顕著で、北海道(約120社)、宮崎(約90社)、岩手(約75社)、秋田(約70社)、大分(約60社)、熊本(約55社)、高知(約50社)の7道県で全体の半数超を占めます。一方、関東圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)は合計でも50社未満で、近畿圏も類似の希薄さです。素材生産業者の集積地域は、ほぼそのまま「素材生産10万m³/年以上」の素材供給拠点県と一致しており、産業立地の歴史的経緯を反映しています。

自伐型林業:1〜3名の小規模・自営モデル

自伐型林業は、森林所有者またはその家族が自ら伐倒・造材・搬出を行う小規模林業で、業界団体の推計では全国に約2,000経営体(家族経営体内訳)が存在します。1経営体あたり従事者は1〜3名、年間素材生産量は100〜300m³規模が中心で、機械装備は小型ハーベスタ・軽架線・林内作業車・チェーンソーが基本セットです。「自伐型林業推進協会」など全国組織の研修受講者数は近年累計で5,000人超に達し、参入希望者は地方移住層と退職後の二地域居住層で増加しています。

自伐型林業の収益モデルは、補助金に頼らずに立木価格と労務費の差で利益を確保する独立採算型と、市町村の森林整備事業・特定間伐補助を活用する補助受託型の2形態が主流です。独立採算型では年間労務時間2,000時間で粗利200〜400万円程度が現実的なライン、補助受託型では同程度の労務で500〜800万円の所得を確保するケースもあります。重要なのは1ha施業あたりの利益率で、大型機械を使う集約化施業では薄利多売型になるのに対し、自伐型は単位面積あたりの利益率を高めることで小規模経営の成立を可能にしています。

自伐型林業の最大の制約は、安定した施業地(伐採対象林)の確保です。所有林面積が10ha未満の経営体では、年間100〜200m³の素材を継続的に出すには、近隣の森林所有者から長期施業委託を受ける必要があります。地域の森林組合や認定林業事業体との競合も発生しやすく、近年は自伐林家組合・自伐型協同組合といった集合的な施業地確保の枠組みが各地で形成されています。高知県を中心に2010年代から普及した「土佐の森・救援隊」型のモデルは、自伐型の基本枠組みとして全国に波及しています。

株式会社林業:新規参入と垂直統合の動き

株式会社形態の林業経営体は2020年センサスで約1,400に達し、会社経営体2,159のうち65%を占めます。2000年の株式会社林業は約700で、20年で倍増しました。新規参入の主体は、地域材の安定調達を目的とする製材・住宅・木材流通企業の川上進出、森林所有者からの既存家族経営の法人化、他産業(建設・運輸・農業)からの林業参入の3つに大別できます。

株式会社化のメリットは、補助事業・公共調達への参加要件を満たしやすいこと、銀行借入による設備投資(高性能機械1台3,000万〜6,000万円)が容易になること、通年雇用を前提とした人材採用が可能になること、事業承継が明確化することの4点です。一方、税負担と社会保険料負担の増加、決算公告と会計監査の義務といった負担も発生します。

合同会社(LLC)形態の林業経営体は2010年代以降増加し、2020年センサスでは約260存在します。設立費用が安く出資者全員の合意による意思決定が可能で、農林漁業に親和的な持分会社形態として注目されています。地域商社・地域材ブランド事業を兼ねるハイブリッド型の株式会社・合同会社も登場し、製材+素材生産+設計施工までの一貫体制を構築する「6次産業化型」林業会社が地方圏で目立ち始めています。

森林組合1,290と認定林業事業体1,832の重なり

林業経営体センサスの「森林組合」区分1,290には、市町村森林組合(広域合併型を含む)と生産森林組合の双方が含まれます。市町村森林組合は2022年時点で621組合、生産森林組合は約670組合です。一方、林野庁が認定する「認定林業事業体」は2022年で1,832あり、その内訳は森林組合系が約580、会社が約1,000、その他(NPO・任意組合・第3セクター等)が約250という構成です。

経営体類型別の素材生産量シェア 家族・会社・森林組合・行政等の素材生産量シェアを比較 経営体類型別の経営体数シェアと素材生産量シェア 経営体数シェア(%) 家族 87.9 会社 6.4 組合 3.8 素材生産量シェア(%、推計) 家族 25 会社 60 組合13 他2 経営体数では家族経営体が9割近いが、素材生産量では会社セクターが6割を占める二極化構造。 1経営体あたり平均素材生産量は会社≒6,000m³/組合≒2,300m³/家族≒180m³。 ※素材生産量シェアは2020年センサス・林野庁需給表からの推計値。区分の境界は概数。
図2:経営体類型別の経営体数シェアと素材生産量シェアの比較(出典:農林業センサス2020年・林野庁木材需給表より推計)

認定林業事業体の制度と認定率

認定林業事業体は1996年施行の「林業労働力の確保の促進に関する法律」に基づき、都道府県知事が認定する林業事業体です。認定要件は、雇用管理(就業規則・労働保険・社会保険)の整備、改善計画(経営改善・労働力確保の5年計画)の作成、年間労働日数200日以上の雇用、適正な経理処理の4点が中核で、これらを満たす事業体に対して認定が与えられます。認定の有効期間は5年で、計画達成度のチェックのうえ更新されます。

認定の経済的メリットは、第一に補助事業(造林補助・路網補助・高性能機械補助)の優先採択、第二に雇用管理改善助成金(緑の雇用事業)の申請資格、第三に金融支援(日本政策金融公庫の林業改善資金)の利用、第四に公共発注(国有林・都道府県有林の事業)の入札参加要件適合の4点です。これらの制度的特典が認定取得の経済的インセンティブを形成しており、結果として年間素材生産1,000m³以上の中堅事業体の大半が認定取得に動いています。

認定取得率は組織形態によって大きく異なります。会社経営体2,159のうち認定取得は約1,000で約46%、森林組合621のうち認定取得は約580で約93%、その他(NPO・任意組合等)約250という分布で、森林組合の取得率が突出しています。これは森林組合がもともと労働保険・社会保険を整備しているため、追加的な負担なく認定要件を満たせるためです。会社経営体側でも、年間素材生産1,000m³以上の中堅以上層では認定取得率が80%超に達するのに対し、零細層では30%未満にとどまり、認定の有無が事業規模と相関する関係が定着しています。

規模別分布と「20m³未満」群の存在

素材生産規模別に林業経営体を分けると、「実績なし(0m³)」が約20,000、「1〜20m³」が約4,000、「20〜200m³」が約4,500、「200〜2,000m³」が約3,500、「2,000〜20,000m³」が約1,500、「20,000m³以上」が約400という分布になります。素材生産2,000m³未満層が経営体数の約9割を占めますが、素材生産量シェアでは約2割にとどまります。逆に20,000m³以上の400経営体(全体の1.2%)が素材生産量の約3割を担います。

素材生産規模 経営体数 構成比 生産量シェア
0m³(実績なし) 約20,000 59.0% 0%
1〜20m³ 約4,000 11.8% 0.2%
20〜200m³ 約4,500 13.3% 2.0%
200〜2,000m³ 約3,500 10.3% 15%
2,000〜20,000m³ 約1,500 4.4% 53%
20,000m³以上 約400 1.2% 30%

20年で7割減:何が消えたのか

2000年の119,344経営体から2020年の33,891経営体への減少(85,453経営体・71.6%減)の中身を分解すると、ほぼすべてが家族経営体の縮小によるものです。家族経営体は2000年の約114,000から2020年の29,807まで約7割減少した一方、会社経営体は2,400から2,159へとわずか1割の減少にとどまり、認定林業事業体に至っては2003年の1,000程度から2022年の1,832へと約8割増えています。

家族経営体の減少要因は、林業所得の低迷による世代交代の断絶、相続による山林の細分化と所有者不明化、自伐林業の縮小、そして補助事業を受託できる規模に達しない零細経営の自然消滅です。林野庁の経営体動向調査では、家族経営体の世帯主の70%以上が65歳以上で、後継者が「決まっている」と答えた経営体は2割未満にとどまります。

もう一段深く要因を分解すると、第一に立木価格の長期低落が決定的な役割を果たしました。スギ立木価格は1980年の約22,700円/m³から2020年の約3,200円/m³まで約86%下落し、家族経営体の主たる収入源であった50年生立木の経済価値が大きく毀損されました。第二に林業労働の機械化が進み、軽架線・小型ハーベスタなどの初期投資(500万〜2,000万円規模)を負担できる経営体と、できない経営体の格差が拡大しました。第三に、補助事業の交付要件が「森林経営計画の認定」「認定林業事業体への発注」を前提とするように変わり、これらの認定をもたない零細家族経営体は補助の輪から外されました。

会社経営体2,159の地理的偏り

会社経営体2,159の都道府県別分布を見ると、北海道が約190、岩手・宮城・秋田の北東北3県で計約180、九州(宮崎・大分・熊本)で計約230、四国(高知・愛媛)で約140と、伝統的な林業県への集中が顕著です。一方、近畿・関東圏は数が少なく、東京都の会社経営体は10未満です。1経営体あたり平均素材生産量は北海道で約8,000m³、九州で約7,500m³、東北で約6,000m³と地域差があります。

林業経営体数の20年推移(経営体数千経営体) 2000年から2020年までの家族・会社・組合別経営体数の推移を折れ線で表示 林業経営体数の20年推移(千経営体) 0 30 60 90 120 2000 2005 2010 2015 2020 119 34 会社2.4 2.2 家族経営体(劇的減少) 会社経営体(横ばい)
図3:林業経営体数の20年推移(出典:農林業センサス2000・2005・2010・2015・2020年)

政策的含意:3万経営体時代の組織林業

林業経営体3.4万のうち、年間素材生産2,000m³以上の「実働経営体」は約1,900に絞り込めます。これは認定林業事業体1,832とほぼ重なる集合で、日本の素材生産2,200万m³の8〜9割はこの2,000経営体未満が担う構造です。森林経営計画の認定経営体(約2,500)、森林組合(621組合)、認定林業事業体(1,832)の3つの認定枠組みが重なり合い、結果として「2,000経営体規模の組織林業セクター」が補助事業・路網整備・主伐再造林の主体となっています。

政策上の論点は、約20,000の「素材生産0m³」家族経営体をどう扱うかです。所有者不明化を防ぎ、森林経営管理制度(2019年施行)による市町村への経営委託を進めるか、自伐型林業として小規模経営の自立を支援するかで方向性は分岐します。前者は集約化と効率化を優先し、後者は地域の多様性と雇用の裾野を重視する立場で、両者の最適バランスは地域の森林資源密度と人口動態に依存します。

FAQ:林業経営体に関するよくある質問

林業経営体と林家の違いは何ですか

林家は保有山林1ha以上の世帯を指し、農林業センサスでは約83万戸(2020年)に達します。これに対し林業経営体は林業作業を実施した者に限定され、3ha以上の保有山林か200m³以上の素材生産が要件です。林家の大部分は「保有しているが作業していない」休眠保有者で、実働するのは経営体3.4万に絞り込まれます。

家族経営体が9割なのに会社経営体が素材生産の6割を占めるのはなぜですか

家族経営体は1経営体あたり平均素材生産量が180m³に対し、会社経営体は約6,000m³と30倍以上の差があります。さらに家族経営体の3分の2は実質「素材生産0」のため、生産現場で稼働している家族経営体は実質1万足らずです。結果として産業統計上は会社が素材生産の6割を担うことになります。

森林組合と認定林業事業体は何が違いますか

森林組合は森林組合法に基づく協同組合組織で、出資組合員(森林所有者)の協同事業として林業を営みます。認定林業事業体は林業経営基盤強化法に基づき都道府県が認定する事業体で、組織形態は株式会社・有限会社・森林組合・任意組合と多様です。森林組合の約半数は認定林業事業体としても登録されており、両者は重なり合う集合です。

林業経営体は今後も減り続けますか

家族経営体の高齢化と相続の進行で、2030年までにさらに数千の家族経営体が消滅する見通しです。一方で会社経営体・認定林業事業体は新規参入と地域内合併で2,000程度を維持する見込みです。経営体総数は2030年に2万台後半まで減少し、産業集約はさらに進行する公算が大きいと推計されます。

新規参入する場合、どの組織形態が選ばれますか

新規参入の主流は「会社経営体(株式会社・合同会社)」と「自伐型林業の家族経営体」の二極化です。前者は補助事業・素材生産事業を主軸に5名以上の従業員雇用を目指し、後者は森林所有者自らが小規模機械(軽架線・小型ハーベスタ)で年間100〜300m³規模の自伐に従事します。森林組合への新規加入も可能ですが、組合員枠は森林所有が要件となります。

株式会社林業の経営規模はどの程度が多いですか

株式会社林業約1,400社の中央値は、従業員10〜15名・年間素材生産5,000〜10,000m³・年商1.5〜3億円というレンジに集まります。上位2割の中堅クラスは従業員30〜50名・素材生産2万〜5万m³・年商5億〜15億円規模で、これらの経営体は地域の素材供給拠点として機能します。下位3割の零細層は従業員5名未満・素材生産1,000m³未満・年商5,000万円未満で、補助事業への依存度が高い構造です。

自伐型林業で生計を立てるのは現実的ですか

自伐型林業単独で生計を維持するには、安定した施業地(年間100〜200m³以上を継続して伐れる山林)、初期投資(軽架線・小型ハーベスタ等で500万〜1,000万円)、林業技術(伐倒・造材・搬出)の3点が必要です。現実には「林業+他産業の複業」(特用林産・観光・農業との兼業)で年収500万〜700万円を実現するモデルが多く、専業自伐で1,000万円超を稼ぐケースは限定的です。地域の自伐型協同組合や研修プログラムの活用が定着への近道とされています。

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まとめ

林業経営体33,891は、家族経営体29,807(87.9%)・会社経営体2,159(6.4%)・森林組合1,290(3.8%)・その他635(1.9%)という4類型で構成され、20年で71.6%の縮小を経験しました。家族経営体の3分の2は素材生産実績ゼロで実質休眠状態、産業の供給機能は会社経営体2,159と認定林業事業体1,832に集約されています。実務的な4類型(森林組合・素材生産業者・自伐型・株式会社林業)の棲み分けが進み、補助金依存度・規模・参入形態で性格づけが固まりつつあります。森林経営管理制度・集約化施業・自伐型林業の3つの政策軸が、今後10年の経営体構造を再編する主役となります。

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